177 / 1,062
本編
23話 裏山にて その6
しおりを挟む
「そうなりますと、こちらへ住み込みでは如何でしょうか?」
エレインは暫し思案してそう提案した、エレインが領主邸へ木簡を届け商工ギルドに顔を出して事務所に戻ると、サビナが一人の女性を連れて事務所の中を覗いていた、エレインの姿を見付けると、事の次第を告げ、エレインはあらあらと二人を事務所に通すとそのまま3人による面談が始まった、
「住み込みですか?私としては願ったりかなったりですが」
エレインの前に座る女性はやや驚いた顔である、エレインはその女性から渡された羊皮紙に目を落としつつ、
「はい、テラさんが良ければこちらには問題はありません、但し、そうですね・・・」
エレインは顔を上げ階段口を睨む、女性はテラ・ベイエルと名乗った、クロノスが紹介するといった件の人物である、クロノスの評する通り、女性から見ても美しい顔立ちと佇まいである、年齢は30台後半であるが肌や目元を見る限り20台と言っても誰も疑わないであろう、スッと伸ばした背筋と言葉使いはそこらのメイドでは太刀打ちが出来ない程の気品が感じられた。
エレインに提出された羊皮紙にはその来歴と職歴が細かく記載されていたが、エレインにとってはまるで馴染みのない商店名と商会名の羅列であった、辛うじてその職場でどのような職務を担っていたかも表記されていた為、クロノスが推薦する理由は十分に理解できた、
「この屋敷の3階がその部屋になります、問題があるとすればこの屋敷は現在、誰も住んでいないのですね、来春には私とオリビア・・・私の専属ですが、その二人が暮らす予定なのです」
「なるほど」
とテラが小首を傾げると、
「わかりました、来春となると半年以上はありますね、であれば、その間は私が住み込みつつ管理をすれば良いかなとも思います、で、商会長がこちらに住まわれる頃にはある程度こちらの街にも慣れるでしょうし、そうなれば、別の住居も見付けるのは難しく無いと考えます」
テラはニコリと笑みする、
「それは良かった、でも、そうね、部屋は余ってるし、テラさんが良ければそのまま住んで貰ってかまいませんよ、ま、その時になったらまた考えましょうか、では、住居についてはそんな感じで、給与についても了解を得た・・・と、後は・・・」
エレインはうーんと眉間に皺を寄せ、
「一番大事な点を忘れていましたわね」
自嘲気味に笑みすると、
「仕事そのものについてですが」
と切り出し、商会の現状と展望について静かに語りだした、
「すると、暫くはあちらの店舗の運営とガラス鏡?ですか、そちらの商品展開が私の業務となるという事ですか」
「そうね、それとソーダ粉末についても力を入れていかないといけません、こちらはクロノス様の肝いりなので、より重要かとも思っております」
テラはなるほどと頷く、
「あ、それと、研究所製品も忘れないでね」
唐突にサビナが口を挟んだ、
「そうですね、そちらも対応していこうと考えております」
エレインは静かに受け取る、
「あ、なるほど、そうですね、その点もクロノス様から伺っておりました、向こうの研究所は宝の山だぞって笑ってましたけど」
「宝の山?・・・確かにそうね、ちゃんとすれば売れそうなものばかりだわ」
サビナがニヤリと笑みする、
「ちゃんとしてないんですか?」
テラは不思議そうに問う、
「研究所だからね、商品にする事はあまり考えてないのよ、でも、ね」
とサビナがエレインに目配せすると、
「そうですね、商品というよりも便利で役に立つ技術が貯め込まれている感じです、店舗の方を見て頂ければわかりますが、恐らくびっくりしますよ」
「・・・それは楽しみです」
テラは今一つ理解していない様子であるが、取り合えず納得したらしい、
「そういえば、テラさんは魔法についてはどんなもんなの?」
サビナが問う、
「そうですね、それなりだと自負していましたが、向こうの研究所では下の方でした、知識についても適正についてもまるでまるで」
テラはフルフルと首を振る、
「あー、研究所に雇われるような人達と比べるのはどうかと思いますよ」
エレインが苦笑いを浮かべ、
「そうかもね、でも、それが分かるのであれば優秀だと思うわよ、でも、今、商品化に当たって必要なのは普通の人の普通の感覚なのよね、だからこそ六花商会の御婦人方は有用でね、エレインさんには今後嫌でも協力して貰おうって所長とも話していたのよ」
「あら、それは怖いですわ」
エレインはニコヤカに笑みする、
「なるほど、そうですよね、どのような品にしろ誰にでも使える品でないと売り捌くのも難しいですし、クロノス様も個人適正によらない技術を開発しなければならないと仰ってました」
「そうね、うちの研究所というか所長の主張も同じでね、魔法をまったく使えない人でも使える品でなければならないと常々言ってるわ、少し聞いたところによるとね」
サビナは思い出し思い出し話し出す、
「所長が冒険者やってるときに傭兵だったかな、大戦時だから相手は魔族軍だったと思われるんだけど、6人でパーティー組んで行動してたらしいのね、で、魔族軍の罠にかかって魔力を吸い取られたらしいのよ」
「まぁ、そんな罠があるんですか?」
エレインは初めて聞く話しだと興味津々である、
「そうね、でね、そのパーティーのうち5人がその罠でぶっ倒れちゃって、勿論所長も、詳しくは聞いてないけど恐らくはソフィアさんもかしら、で、一人残ったのがまったく魔力の無かった人らしくて、所長曰くあの時その人がいなかたっら全滅してたわってね」
「へーへー、興味深いですね」
テラも真面目に聞き入っている、
「つまり、魔力の無い人はそれ以上魔力を吸われる事が無いから魔力欠乏になる事は無いという事よね、それと魔族軍のその珍奇な罠ね、スカウトの人もいたらしいんだけどまるで気付かなかったらしいわ、で」
とサビナは言葉を区切ると、
「所長はそこで、魔力重視のそれまでの考え方を改めたらしいのよ、正確な数字は不明だけど私達の周りだと、10人のうち3人か4人くらいは魔力を持たないじゃない、で、魔力はあっても使えない人が2から3人くらい、ここまででほぼ半数ね、残りの半数は使えるとしても個人差が激しいでしょ」
「そうですね、さらにそこに適正云々が加わりますので、誰もが炎を出せるわけではないですよね」
「そうね、所長曰く何故使える人と使えない人がいるかも疑問なんだけど、それ以上に使えない人の有用性を重視したいらしいのね、だから、さっきの罠にかかった後に、傭兵がパーティーを組む場合は魔力がまったく無い人を2人は必ず編成するようにしたらしいのよ」
「あ、それ、学園でも習いました、今では冒険者も騎士も倣っているとかなんとか」
エレインはポンと手を叩く、
「そうね、その元になったのが所長の発案らしいわよ、何気に凄いんだからうちの所長は」
サビナはニヤリと微笑んだ、
「へー、所長ってあのユーリ先生ですよね」
テラも関心している、
「そうよ、普段はほら、なんか適当な感じだけど、やる時はやる人だから、優しくしてあげてね」
サビナはテラを見てそう言うと、
「で、そういった経験を踏まえてかな?所長の価値観?なんだけど、技術というものは誰にでも使えるようにするべき、っていうのがあってね、そうでないと魔法に関してはしようがないとしても、普通の生活を送る上で人によって使える使えないがあっては不便極まりないでしょ」
「確かに」
「そしてこれは最近仕入れた話しなんだけど、旧帝国か、200年前のその時代は魔力を持つ人が迫害されていたらしいってのもあってね、魔力の有無で差別されるのはおかしいぞっと、所長はいよいよ考えたらしいのよ」
「あー、そんな事言ってましたね」
エレインは腕を組んで思い出す、
「そうね、下手するとこれからの時代は魔力を持たない人を迫害する風潮が生まれるかもしれない、でも、それは間違っているという事よね、生まれた時から持っている持ってないで区別されたらたまったもんじゃないし、先の話しのように有用性は認識できていて、さらに現在の日常生活にはまるで影響が無い事だからね」
「確かにそうですね、日常生活だと、殆ど使わないですもんね魔法なんて」
テラもしみじみと語り、
「魔法ってどうやって使ったかしら?」
やや不安気な事を言う、
「で、今、カトカが取り組んでいるのが例の魔法石への魔力の貯蔵ね、構想だとあれが上手くいけば魔力の扱いが不自由な人でも魔法を仕込んだ道具を扱えるようになると思うのよ」
「なるほど」
テラもまたクロノスの研究所で見聞きした事を思い出しつつ相槌を打った、
「で・・・長くなったわね」
サビナは自嘲気味に笑みしつつ、
「つまり何を言いたいかというと」
サビナは右手の人差し指を自身の鼻に押し付けると、
「自分で言っておいてなんだけど・・・研究所関連の商品化ってまだまだ先って事ね」
らしくない可愛らしい笑顔となる、
「もう、別に急がせてないじゃないですか」
エレインはズルッと身体を傾け、テラも困った顔で笑顔になるのであった。
エレインは暫し思案してそう提案した、エレインが領主邸へ木簡を届け商工ギルドに顔を出して事務所に戻ると、サビナが一人の女性を連れて事務所の中を覗いていた、エレインの姿を見付けると、事の次第を告げ、エレインはあらあらと二人を事務所に通すとそのまま3人による面談が始まった、
「住み込みですか?私としては願ったりかなったりですが」
エレインの前に座る女性はやや驚いた顔である、エレインはその女性から渡された羊皮紙に目を落としつつ、
「はい、テラさんが良ければこちらには問題はありません、但し、そうですね・・・」
エレインは顔を上げ階段口を睨む、女性はテラ・ベイエルと名乗った、クロノスが紹介するといった件の人物である、クロノスの評する通り、女性から見ても美しい顔立ちと佇まいである、年齢は30台後半であるが肌や目元を見る限り20台と言っても誰も疑わないであろう、スッと伸ばした背筋と言葉使いはそこらのメイドでは太刀打ちが出来ない程の気品が感じられた。
エレインに提出された羊皮紙にはその来歴と職歴が細かく記載されていたが、エレインにとってはまるで馴染みのない商店名と商会名の羅列であった、辛うじてその職場でどのような職務を担っていたかも表記されていた為、クロノスが推薦する理由は十分に理解できた、
「この屋敷の3階がその部屋になります、問題があるとすればこの屋敷は現在、誰も住んでいないのですね、来春には私とオリビア・・・私の専属ですが、その二人が暮らす予定なのです」
「なるほど」
とテラが小首を傾げると、
「わかりました、来春となると半年以上はありますね、であれば、その間は私が住み込みつつ管理をすれば良いかなとも思います、で、商会長がこちらに住まわれる頃にはある程度こちらの街にも慣れるでしょうし、そうなれば、別の住居も見付けるのは難しく無いと考えます」
テラはニコリと笑みする、
「それは良かった、でも、そうね、部屋は余ってるし、テラさんが良ければそのまま住んで貰ってかまいませんよ、ま、その時になったらまた考えましょうか、では、住居についてはそんな感じで、給与についても了解を得た・・・と、後は・・・」
エレインはうーんと眉間に皺を寄せ、
「一番大事な点を忘れていましたわね」
自嘲気味に笑みすると、
「仕事そのものについてですが」
と切り出し、商会の現状と展望について静かに語りだした、
「すると、暫くはあちらの店舗の運営とガラス鏡?ですか、そちらの商品展開が私の業務となるという事ですか」
「そうね、それとソーダ粉末についても力を入れていかないといけません、こちらはクロノス様の肝いりなので、より重要かとも思っております」
テラはなるほどと頷く、
「あ、それと、研究所製品も忘れないでね」
唐突にサビナが口を挟んだ、
「そうですね、そちらも対応していこうと考えております」
エレインは静かに受け取る、
「あ、なるほど、そうですね、その点もクロノス様から伺っておりました、向こうの研究所は宝の山だぞって笑ってましたけど」
「宝の山?・・・確かにそうね、ちゃんとすれば売れそうなものばかりだわ」
サビナがニヤリと笑みする、
「ちゃんとしてないんですか?」
テラは不思議そうに問う、
「研究所だからね、商品にする事はあまり考えてないのよ、でも、ね」
とサビナがエレインに目配せすると、
「そうですね、商品というよりも便利で役に立つ技術が貯め込まれている感じです、店舗の方を見て頂ければわかりますが、恐らくびっくりしますよ」
「・・・それは楽しみです」
テラは今一つ理解していない様子であるが、取り合えず納得したらしい、
「そういえば、テラさんは魔法についてはどんなもんなの?」
サビナが問う、
「そうですね、それなりだと自負していましたが、向こうの研究所では下の方でした、知識についても適正についてもまるでまるで」
テラはフルフルと首を振る、
「あー、研究所に雇われるような人達と比べるのはどうかと思いますよ」
エレインが苦笑いを浮かべ、
「そうかもね、でも、それが分かるのであれば優秀だと思うわよ、でも、今、商品化に当たって必要なのは普通の人の普通の感覚なのよね、だからこそ六花商会の御婦人方は有用でね、エレインさんには今後嫌でも協力して貰おうって所長とも話していたのよ」
「あら、それは怖いですわ」
エレインはニコヤカに笑みする、
「なるほど、そうですよね、どのような品にしろ誰にでも使える品でないと売り捌くのも難しいですし、クロノス様も個人適正によらない技術を開発しなければならないと仰ってました」
「そうね、うちの研究所というか所長の主張も同じでね、魔法をまったく使えない人でも使える品でなければならないと常々言ってるわ、少し聞いたところによるとね」
サビナは思い出し思い出し話し出す、
「所長が冒険者やってるときに傭兵だったかな、大戦時だから相手は魔族軍だったと思われるんだけど、6人でパーティー組んで行動してたらしいのね、で、魔族軍の罠にかかって魔力を吸い取られたらしいのよ」
「まぁ、そんな罠があるんですか?」
エレインは初めて聞く話しだと興味津々である、
「そうね、でね、そのパーティーのうち5人がその罠でぶっ倒れちゃって、勿論所長も、詳しくは聞いてないけど恐らくはソフィアさんもかしら、で、一人残ったのがまったく魔力の無かった人らしくて、所長曰くあの時その人がいなかたっら全滅してたわってね」
「へーへー、興味深いですね」
テラも真面目に聞き入っている、
「つまり、魔力の無い人はそれ以上魔力を吸われる事が無いから魔力欠乏になる事は無いという事よね、それと魔族軍のその珍奇な罠ね、スカウトの人もいたらしいんだけどまるで気付かなかったらしいわ、で」
とサビナは言葉を区切ると、
「所長はそこで、魔力重視のそれまでの考え方を改めたらしいのよ、正確な数字は不明だけど私達の周りだと、10人のうち3人か4人くらいは魔力を持たないじゃない、で、魔力はあっても使えない人が2から3人くらい、ここまででほぼ半数ね、残りの半数は使えるとしても個人差が激しいでしょ」
「そうですね、さらにそこに適正云々が加わりますので、誰もが炎を出せるわけではないですよね」
「そうね、所長曰く何故使える人と使えない人がいるかも疑問なんだけど、それ以上に使えない人の有用性を重視したいらしいのね、だから、さっきの罠にかかった後に、傭兵がパーティーを組む場合は魔力がまったく無い人を2人は必ず編成するようにしたらしいのよ」
「あ、それ、学園でも習いました、今では冒険者も騎士も倣っているとかなんとか」
エレインはポンと手を叩く、
「そうね、その元になったのが所長の発案らしいわよ、何気に凄いんだからうちの所長は」
サビナはニヤリと微笑んだ、
「へー、所長ってあのユーリ先生ですよね」
テラも関心している、
「そうよ、普段はほら、なんか適当な感じだけど、やる時はやる人だから、優しくしてあげてね」
サビナはテラを見てそう言うと、
「で、そういった経験を踏まえてかな?所長の価値観?なんだけど、技術というものは誰にでも使えるようにするべき、っていうのがあってね、そうでないと魔法に関してはしようがないとしても、普通の生活を送る上で人によって使える使えないがあっては不便極まりないでしょ」
「確かに」
「そしてこれは最近仕入れた話しなんだけど、旧帝国か、200年前のその時代は魔力を持つ人が迫害されていたらしいってのもあってね、魔力の有無で差別されるのはおかしいぞっと、所長はいよいよ考えたらしいのよ」
「あー、そんな事言ってましたね」
エレインは腕を組んで思い出す、
「そうね、下手するとこれからの時代は魔力を持たない人を迫害する風潮が生まれるかもしれない、でも、それは間違っているという事よね、生まれた時から持っている持ってないで区別されたらたまったもんじゃないし、先の話しのように有用性は認識できていて、さらに現在の日常生活にはまるで影響が無い事だからね」
「確かにそうですね、日常生活だと、殆ど使わないですもんね魔法なんて」
テラもしみじみと語り、
「魔法ってどうやって使ったかしら?」
やや不安気な事を言う、
「で、今、カトカが取り組んでいるのが例の魔法石への魔力の貯蔵ね、構想だとあれが上手くいけば魔力の扱いが不自由な人でも魔法を仕込んだ道具を扱えるようになると思うのよ」
「なるほど」
テラもまたクロノスの研究所で見聞きした事を思い出しつつ相槌を打った、
「で・・・長くなったわね」
サビナは自嘲気味に笑みしつつ、
「つまり何を言いたいかというと」
サビナは右手の人差し指を自身の鼻に押し付けると、
「自分で言っておいてなんだけど・・・研究所関連の商品化ってまだまだ先って事ね」
らしくない可愛らしい笑顔となる、
「もう、別に急がせてないじゃないですか」
エレインはズルッと身体を傾け、テラも困った顔で笑顔になるのであった。
0
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
悪行貴族のはずれ息子【第1部 魔法講師編】
白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン!
★第2部はこちら↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/450916603
「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」
幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。
東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。
本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。
容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。
悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。
さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。
自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。
アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。
そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…?
◇過去最高ランキング
・アルファポリス
男性HOTランキング:10位
・カクヨム
週間ランキング(総合):80位台
週間ランキング(異世界ファンタジー):43位
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界で趣味(ハンドメイド)のお店を開きます!
ree
ファンタジー
波乱万丈な人生を送ってきたアラフォー主婦の檜山梨沙。
生活費を切り詰めつつ、細々と趣味を矜持し、細やかなに愉しみながら過ごしていた彼女だったが、突然余命宣告を受ける。
夫や娘は全く関心を示さず、心配もされず、ヤケになった彼女は家を飛び出す。
神様の力でいつの間にか目の前に中世のような風景が広がっていて、そこには普通の人間の他に、二足歩行の耳や尻尾が生えている兎人間?鱗の生えたトカゲ人間?3メートルを超えるでかい人間?その逆の1メートルでずんぐりとした人間?達が暮らしていた。
これは不遇な境遇ながらも健気に生きてきた彼女に与えられたご褒美であり、この世界に齎された奇跡でもある。
ハンドメイドの趣味を超えて、世界に認められるアクセサリー屋になった彼女の軌跡。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる