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本編
19話 スリッパとお掃除?魔法 その5
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それからソフィアはミナとレインを連れて街中へ繰り出した、上履き用の材料一式を購入し夕飯の食材を仕入れつつ寮へ帰る、店舗の前には子供連れの顧客がひしめき合っており、盛夏の陽射しの中でもそこだけ賑わっている、
「そうねぇ、何か頂こうかしら、ミナは何食べる?」
ソフィアは店舗を指差してミナに問う、
「いいのー?うんとね、イチゴのブロンパン」
「うん、レインは?」
「そうじゃのう、ミルクアイスケーキじゃな、あっさりといきたいのう」
「そっか、じゃ、並びましょうか」
「ソフィは、ソフィは何にするの?」
三人ははしゃぎながら列と思しき集団の最後尾に並んだ、
「あら、御三人なら並ばずとも出来たら持って行きますよー」
接客を担当していたマフレナが三人に気付いて声をかける、
「それは悪いわよ、それに並んで食べるというのもなんか楽しそうじゃない?」
ソフィアはミナの肩を抑えながら答えると、
「そうですか、なら、ごゆっくり・・・は駄目ですね、迅速に対応致します」
マフレナは笑みし、ソフィアも笑顔で答えた。
それから三人はそれぞれにスイーツを手にすると寮に入る、やれやれと食材を厨房に運び入れ食堂に戻ると今度は上履き用の材料一式をテーブルに広げた、
「なんじゃ、もう作るのか?」
美味そうにミルクアイスケーキを舐めるレインの隣りには、ブロンパンを頬張ってこれまた嬉しそうに微笑むミナがソフィアを見上げている、
「そうね、取り合えず作ってみて、生徒達にはそれぞれに作らせましょうか、来客用のも作らないとだから結構な量になりそうなのよねー」
「それもそうじゃの、うん、ミナ、手伝うか」
「うん、勿論」
「あら、ありがとう、でも、ゆっくり食べてからね、私も、ちょっとゆっくりするから」
とソフィアはソーダ水に手を伸ばす、三人はそれぞれに甘味を楽しんだ後で上履き作りに取り掛かるのであった。
「ほら、ほら、イチゴ、イチゴだよー」
帰寮したケイスを迎えたのは両手に布製の何かをはめてピョンピョン飛び跳ねるミナであった、
「わ、ほんとだ、おっきいイチゴだー」
「ね、おっきいでしょ」
「うん、それに可愛いねぇー、作ってもらったの?」
「そだよー、ソフィがねミナ専用のウワバキ?作ってくれたのー、でね、レインは葡萄なのー、可愛いのよー」
はしゃぐミナの後ろにはジャネットがなにやら真剣な顔で作業しており、その向かいにはエレインの丸めた背中があった、さらにその隣りではレインが頬杖を突き、したり顔で二人の手元を注視している、
「えっと、何をやってるの?」
とケイスがミナに問うと、
「うんとね、ウワバキを作ってるの、今日中に作るのがシジョウメーダイ?何だって、これ、これ、これの事よ」
ケイスがウワバキとは、と考えつつミナを愛想よくあしらい作業中の3人のテーブルに向かった、
「えっと、一体何ですか?」
と問うと、
「おう、ケイスも作るのじゃ、ほれ材料は選り取り見取りじゃぞ」
とレインはニヤーと何とも意味深な笑みでケイスを見る、
「はー・・・」
と事情を呑み込めないままに勉強道具を床に下ろしながらエレインの隣りの席に座ると、
「ケイスさん、あなた裁縫はいかほどできまして?」
エレインがキッとケイスを睨む、
「や、何ですか怖い顔で・・・」
「お願い、ケイス先生、私こういうのダメダメなのー」
今度はジャネットが、らしくもない弱気な悲鳴を上げた、
「はー」
ケイスは二人の手元を見る、サンダルの形の板となめした皮、それと端切れ布でなにやらを作っている様子であるが、確かにジャネットの手の中にあるものは何とも縫いかたが乱雑で不格好な物であり、エレインの手の中の物も似たような有様となっていた、
「えっとね、これを作るのよ、ウワバキっていうの」
ミナがケイスの隣りにピョコンと顔を出すと、両手にはめたそれをケイスの眼前に突き付けた、
「ウワバキですか?えっと、何に使うのですか?」
「うん、お部屋の中で使う履物なの、明日の午後からはこれを使わないと入れないのよ」
「お部屋の中で使う履物?」
ケイスは首を傾げる、
「えっと、ですね」
とエレインは手を止めると事の次第をケイスに説明した、
「へー、それは凄いです、何か、良さそうですね、わー、いいかもいいかも」
ケイスは素直に感心しつつ喜んだ、
「え、そう?私的にはすんごい面倒なんだけど・・・」
ジャネットはジトッとした目でケイスを見る、
「そうですか?あれですよ、ソフィアさんのいう事ですから、あれです、清潔になる事ですよ、綺麗になりますよ、そういう事ですよね」
「うーん、まぁ、そういう事なのかしら?よく考えれば・・・外の汚れを家の中に入れないって事・・・なのかしらね」
とエレインは呟き、
「そういう事ですよ、やー、やっと分かりました、で、どうすればいいんです?」
「うむ、やっと、やる気のある娘が来たようだの、まずはじゃ」
とレインが事細かに上履きの作り方を教示する、
「ふふ、そっか、それでこの上の部分がイチゴなのね、ミナちゃんやっと分かったよ」
ケイスが満面の笑みでミナを見る、
「うふふ、分かった?分かった?」
ミナはピョンピョンとイチゴを頭上に掲げて飛び跳ねる、
「うんうん、ならねー、そうだなー、私は何にしようかなぁー」
嬉々として端切れの山を見繕い始めたケイスに、
「あのー、出来ればお手伝いお願いできます?」
とジャネットは弱弱しく上目遣いとなり、
「まったく、オリビアがいればこんな事には・・・」
エレインは悔しそうに歯噛みする、
「あ、オリビアさんは・・・あ、今日は店舗ですよね」
「そうなのよ、そうなの、もー」
とエレインの悲しい叫びが食堂内に木霊するのであった。
「そうねぇ、何か頂こうかしら、ミナは何食べる?」
ソフィアは店舗を指差してミナに問う、
「いいのー?うんとね、イチゴのブロンパン」
「うん、レインは?」
「そうじゃのう、ミルクアイスケーキじゃな、あっさりといきたいのう」
「そっか、じゃ、並びましょうか」
「ソフィは、ソフィは何にするの?」
三人ははしゃぎながら列と思しき集団の最後尾に並んだ、
「あら、御三人なら並ばずとも出来たら持って行きますよー」
接客を担当していたマフレナが三人に気付いて声をかける、
「それは悪いわよ、それに並んで食べるというのもなんか楽しそうじゃない?」
ソフィアはミナの肩を抑えながら答えると、
「そうですか、なら、ごゆっくり・・・は駄目ですね、迅速に対応致します」
マフレナは笑みし、ソフィアも笑顔で答えた。
それから三人はそれぞれにスイーツを手にすると寮に入る、やれやれと食材を厨房に運び入れ食堂に戻ると今度は上履き用の材料一式をテーブルに広げた、
「なんじゃ、もう作るのか?」
美味そうにミルクアイスケーキを舐めるレインの隣りには、ブロンパンを頬張ってこれまた嬉しそうに微笑むミナがソフィアを見上げている、
「そうね、取り合えず作ってみて、生徒達にはそれぞれに作らせましょうか、来客用のも作らないとだから結構な量になりそうなのよねー」
「それもそうじゃの、うん、ミナ、手伝うか」
「うん、勿論」
「あら、ありがとう、でも、ゆっくり食べてからね、私も、ちょっとゆっくりするから」
とソフィアはソーダ水に手を伸ばす、三人はそれぞれに甘味を楽しんだ後で上履き作りに取り掛かるのであった。
「ほら、ほら、イチゴ、イチゴだよー」
帰寮したケイスを迎えたのは両手に布製の何かをはめてピョンピョン飛び跳ねるミナであった、
「わ、ほんとだ、おっきいイチゴだー」
「ね、おっきいでしょ」
「うん、それに可愛いねぇー、作ってもらったの?」
「そだよー、ソフィがねミナ専用のウワバキ?作ってくれたのー、でね、レインは葡萄なのー、可愛いのよー」
はしゃぐミナの後ろにはジャネットがなにやら真剣な顔で作業しており、その向かいにはエレインの丸めた背中があった、さらにその隣りではレインが頬杖を突き、したり顔で二人の手元を注視している、
「えっと、何をやってるの?」
とケイスがミナに問うと、
「うんとね、ウワバキを作ってるの、今日中に作るのがシジョウメーダイ?何だって、これ、これ、これの事よ」
ケイスがウワバキとは、と考えつつミナを愛想よくあしらい作業中の3人のテーブルに向かった、
「えっと、一体何ですか?」
と問うと、
「おう、ケイスも作るのじゃ、ほれ材料は選り取り見取りじゃぞ」
とレインはニヤーと何とも意味深な笑みでケイスを見る、
「はー・・・」
と事情を呑み込めないままに勉強道具を床に下ろしながらエレインの隣りの席に座ると、
「ケイスさん、あなた裁縫はいかほどできまして?」
エレインがキッとケイスを睨む、
「や、何ですか怖い顔で・・・」
「お願い、ケイス先生、私こういうのダメダメなのー」
今度はジャネットが、らしくもない弱気な悲鳴を上げた、
「はー」
ケイスは二人の手元を見る、サンダルの形の板となめした皮、それと端切れ布でなにやらを作っている様子であるが、確かにジャネットの手の中にあるものは何とも縫いかたが乱雑で不格好な物であり、エレインの手の中の物も似たような有様となっていた、
「えっとね、これを作るのよ、ウワバキっていうの」
ミナがケイスの隣りにピョコンと顔を出すと、両手にはめたそれをケイスの眼前に突き付けた、
「ウワバキですか?えっと、何に使うのですか?」
「うん、お部屋の中で使う履物なの、明日の午後からはこれを使わないと入れないのよ」
「お部屋の中で使う履物?」
ケイスは首を傾げる、
「えっと、ですね」
とエレインは手を止めると事の次第をケイスに説明した、
「へー、それは凄いです、何か、良さそうですね、わー、いいかもいいかも」
ケイスは素直に感心しつつ喜んだ、
「え、そう?私的にはすんごい面倒なんだけど・・・」
ジャネットはジトッとした目でケイスを見る、
「そうですか?あれですよ、ソフィアさんのいう事ですから、あれです、清潔になる事ですよ、綺麗になりますよ、そういう事ですよね」
「うーん、まぁ、そういう事なのかしら?よく考えれば・・・外の汚れを家の中に入れないって事・・・なのかしらね」
とエレインは呟き、
「そういう事ですよ、やー、やっと分かりました、で、どうすればいいんです?」
「うむ、やっと、やる気のある娘が来たようだの、まずはじゃ」
とレインが事細かに上履きの作り方を教示する、
「ふふ、そっか、それでこの上の部分がイチゴなのね、ミナちゃんやっと分かったよ」
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「うふふ、分かった?分かった?」
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「うんうん、ならねー、そうだなー、私は何にしようかなぁー」
嬉々として端切れの山を見繕い始めたケイスに、
「あのー、出来ればお手伝いお願いできます?」
とジャネットは弱弱しく上目遣いとなり、
「まったく、オリビアがいればこんな事には・・・」
エレインは悔しそうに歯噛みする、
「あ、オリビアさんは・・・あ、今日は店舗ですよね」
「そうなのよ、そうなの、もー」
とエレインの悲しい叫びが食堂内に木霊するのであった。
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