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本編
17話 再会の夏祭り その5
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「ふーん、そっかー、5年振りかー、そりゃ泣いちゃうわねー」
カトカとサビナ、それとソフィアがブロンパンとソーダ水を両手に持って最奥のベンチを占めていた、
「うんうん、それに仲が良かったらしくてね、前にエレインさんに聞いた事があるわ、感動の再会ってわけなのよ」
ソフィアが知った風に話す、
「それにしても、パトリシア様の悪戯好きは聞いていましたが、なるほどと思ってしまいました」
カトカは何とも複雑な表情である、
「えー、でもこんな事できるのってパトリシア様かクロノス様以上の人じゃないの?レイモンド子爵家って確か王様の直参じゃなかったかなぁ?」
サビナが視線を斜め上に向ける、
「そうですね、私もそう記憶しております、恐らくですがウルジュラ様経由でマリア様を呼び出して連れて来たんでしょうか、しかし、そうなるとあれですね、王女様に呼ばれたマリア様の心中は大変だったでしょうね」
「あー、それはそうかもね、いくら直参と言ってもそれは旦那の仕事だし、子爵様って上から何番目なのかしら?えっと、王様が一番上で、公爵、侯爵、伯爵の後に子爵で男爵か、それを考えると、精々パーティーかなんかで顔をあわせられれば光栄って感じだったでしょうしね、ま、私だったら逃げるわね、うん」
ソフィアは頷きつつブロンパンを口に運ぶ、
「確かに、でも、逃げられるんでしょうか?相手は王様ですよ」
「それに、旦那の上司でしょ」
「なるほど、無理ね」
素直に負けを認めたソフィアに二人は押さえた笑い声を上げる、それから暫く3人の井戸端会議は続いたが、
「あら、皆さん出てきましたね」
ソフィアがオリビアを先頭にした一団に気付く、
「作業風景も面白いですからね、大したもんですよあの商品は」
「お客さんの邪魔にならないかしら?」
「んー、まぁ、それほど混んでもいなさそうですよ、今はほらお祭りに行く人の方が多いでしょうし、多分ですがここの店が混むとするとお祭り帰りの時間帯じゃないかなー?」
「そっかー、なら、ほっといてもいいわよね、と言っても私達じゃ大した事は出来ないけど」
「そうですね、でも、お店の人達も生き生きしてますよね、あの前掛けのお陰かしら?うっすらと輝いているから顔色も良く見えるんですよね」
「なるほど、そういうのも研究してみたら面白いかも、分野としては何になるんだろう?」
「うーん、服飾?とか宝飾関係かしら・・・ドレスの仕立てとかの学術的な分類ってどうなんでしょう?」
「もう、あなた達はお仕事大好きね」
ソフィアの苦笑いに二人はエヘヘとだらしない笑みを見せる、
「あら、こちらにいらしたの」
3人の姿を見付けたパトリシアがアフラを伴って歩み寄る、
「リシア様、今日は少しばかり遣り過ぎではないですか?」
「そうかしら?私としては最高の贈り物をと思っての事ですのよ」
パトリシアはそっぽを向く、
「そうですね、エレインさんにとっては最高の贈り物のようですね」
ソフィアは素直に認めた、
「そうでしょう?それに予め伝えてしまっては面白味がないですわ」
「いやいや、そういう所ですよ、何ならエレインさんをそちらに連れて行く事もできましたのに」
ソフィアの言にパトリシアはハッとする、
「なるほど、それも面白かったかも・・・その方がもっと凝った仕掛けも出来たかしら・・・うぬぬ、ソフィアさん、私の相談役になりませんか」
パトリシアは悔しそうにソフィアを見る、
「そうですね、考えておきます」
二人はそこで朗らかに笑みする、
「そうなると、どうしますお祭りの方は?」
「えぇ、軽く回りたいと思っておりますの、カトカさん、サビナさん、御一緒して下さる?」
エレインは静かにしている二人に微笑みかける、
「勿論です、お供致します」
「はい、喜んで」
二人はやや緊張した顔つきながらも快諾する、
「ふふ、ではいってらっしゃい、うーん、そうねぇ、どうします?もし宜しければですが夕食も御一緒しませんか?」
ソフィアは唐突に提案した、
「あら、それは楽しそうね、でも宜しいのですか?」
パトリシアの問いに、
「えぇ、勿論、そうですね、できるだけあの姉妹には時間を作ってあげたいですし、男共がいないので、お酒も無くていいかしらとも思うのですが・・・あー、あったほうがいいですね、そうなると、あっそうか、トーラーさんがいるか、えーと、お付きの方達と寮生とうちのと・・・」
とソフィアは指折り数えつつ、
「うん、食堂でも十分ですね、ふふ、折角ですし、腕によりをかけますよ」
ソフィアはニンマリと笑みする、
「ソフィアさんの料理は素晴らしいですからね、では、楽しみに致します、アフラ大丈夫かしら?」
パトリシアの後ろに控えるアフラは少しばかり思案し、
「祭りから戻られたら屋敷と王城へ連絡へ走ります、それで対応可能かと」
冷静な答えである、
「そう、では、そのようにお願い致します、そうですね、その時に秘蔵の樽を一つ持ってきなさい、クロノスの倉庫に隠してあるのをね」
パトリシアはにやりと笑みし、アフラは静かに了解する、
「楽しみが一つ増えましたわね、ソフィアさん期待しておりますよ」
「そのように言われると俄然やる気が出てきました」
パトリシアとソフィアは微笑み合う、
「では、カトカさん、サビナさん、案内をお願い致します」
そう言ってパトリシアは踵を返した、
「ソフィアさん、お手伝い必要ではないですか?」
カトカが心配そうに問う、
「大丈夫よ、なんなら戻ってからでもやる事あるし、そうね、午後の半分程度で引き上げてくればいいんじゃないかな、小さいお子さんもいるし、夏の暑さは思った以上に疲れるしね、まぁ、とりあえず二人はしっかりエスコートする事、ね」
「分かりました」
カトカとサビナは頷いてパトリシアの後を小走りで追う、
「さて、では、どうしてやりましょうかねぇ」
ソフィアは楽しそうに戦略を練るのであった。
カトカとサビナ、それとソフィアがブロンパンとソーダ水を両手に持って最奥のベンチを占めていた、
「うんうん、それに仲が良かったらしくてね、前にエレインさんに聞いた事があるわ、感動の再会ってわけなのよ」
ソフィアが知った風に話す、
「それにしても、パトリシア様の悪戯好きは聞いていましたが、なるほどと思ってしまいました」
カトカは何とも複雑な表情である、
「えー、でもこんな事できるのってパトリシア様かクロノス様以上の人じゃないの?レイモンド子爵家って確か王様の直参じゃなかったかなぁ?」
サビナが視線を斜め上に向ける、
「そうですね、私もそう記憶しております、恐らくですがウルジュラ様経由でマリア様を呼び出して連れて来たんでしょうか、しかし、そうなるとあれですね、王女様に呼ばれたマリア様の心中は大変だったでしょうね」
「あー、それはそうかもね、いくら直参と言ってもそれは旦那の仕事だし、子爵様って上から何番目なのかしら?えっと、王様が一番上で、公爵、侯爵、伯爵の後に子爵で男爵か、それを考えると、精々パーティーかなんかで顔をあわせられれば光栄って感じだったでしょうしね、ま、私だったら逃げるわね、うん」
ソフィアは頷きつつブロンパンを口に運ぶ、
「確かに、でも、逃げられるんでしょうか?相手は王様ですよ」
「それに、旦那の上司でしょ」
「なるほど、無理ね」
素直に負けを認めたソフィアに二人は押さえた笑い声を上げる、それから暫く3人の井戸端会議は続いたが、
「あら、皆さん出てきましたね」
ソフィアがオリビアを先頭にした一団に気付く、
「作業風景も面白いですからね、大したもんですよあの商品は」
「お客さんの邪魔にならないかしら?」
「んー、まぁ、それほど混んでもいなさそうですよ、今はほらお祭りに行く人の方が多いでしょうし、多分ですがここの店が混むとするとお祭り帰りの時間帯じゃないかなー?」
「そっかー、なら、ほっといてもいいわよね、と言っても私達じゃ大した事は出来ないけど」
「そうですね、でも、お店の人達も生き生きしてますよね、あの前掛けのお陰かしら?うっすらと輝いているから顔色も良く見えるんですよね」
「なるほど、そういうのも研究してみたら面白いかも、分野としては何になるんだろう?」
「うーん、服飾?とか宝飾関係かしら・・・ドレスの仕立てとかの学術的な分類ってどうなんでしょう?」
「もう、あなた達はお仕事大好きね」
ソフィアの苦笑いに二人はエヘヘとだらしない笑みを見せる、
「あら、こちらにいらしたの」
3人の姿を見付けたパトリシアがアフラを伴って歩み寄る、
「リシア様、今日は少しばかり遣り過ぎではないですか?」
「そうかしら?私としては最高の贈り物をと思っての事ですのよ」
パトリシアはそっぽを向く、
「そうですね、エレインさんにとっては最高の贈り物のようですね」
ソフィアは素直に認めた、
「そうでしょう?それに予め伝えてしまっては面白味がないですわ」
「いやいや、そういう所ですよ、何ならエレインさんをそちらに連れて行く事もできましたのに」
ソフィアの言にパトリシアはハッとする、
「なるほど、それも面白かったかも・・・その方がもっと凝った仕掛けも出来たかしら・・・うぬぬ、ソフィアさん、私の相談役になりませんか」
パトリシアは悔しそうにソフィアを見る、
「そうですね、考えておきます」
二人はそこで朗らかに笑みする、
「そうなると、どうしますお祭りの方は?」
「えぇ、軽く回りたいと思っておりますの、カトカさん、サビナさん、御一緒して下さる?」
エレインは静かにしている二人に微笑みかける、
「勿論です、お供致します」
「はい、喜んで」
二人はやや緊張した顔つきながらも快諾する、
「ふふ、ではいってらっしゃい、うーん、そうねぇ、どうします?もし宜しければですが夕食も御一緒しませんか?」
ソフィアは唐突に提案した、
「あら、それは楽しそうね、でも宜しいのですか?」
パトリシアの問いに、
「えぇ、勿論、そうですね、できるだけあの姉妹には時間を作ってあげたいですし、男共がいないので、お酒も無くていいかしらとも思うのですが・・・あー、あったほうがいいですね、そうなると、あっそうか、トーラーさんがいるか、えーと、お付きの方達と寮生とうちのと・・・」
とソフィアは指折り数えつつ、
「うん、食堂でも十分ですね、ふふ、折角ですし、腕によりをかけますよ」
ソフィアはニンマリと笑みする、
「ソフィアさんの料理は素晴らしいですからね、では、楽しみに致します、アフラ大丈夫かしら?」
パトリシアの後ろに控えるアフラは少しばかり思案し、
「祭りから戻られたら屋敷と王城へ連絡へ走ります、それで対応可能かと」
冷静な答えである、
「そう、では、そのようにお願い致します、そうですね、その時に秘蔵の樽を一つ持ってきなさい、クロノスの倉庫に隠してあるのをね」
パトリシアはにやりと笑みし、アフラは静かに了解する、
「楽しみが一つ増えましたわね、ソフィアさん期待しておりますよ」
「そのように言われると俄然やる気が出てきました」
パトリシアとソフィアは微笑み合う、
「では、カトカさん、サビナさん、案内をお願い致します」
そう言ってパトリシアは踵を返した、
「ソフィアさん、お手伝い必要ではないですか?」
カトカが心配そうに問う、
「大丈夫よ、なんなら戻ってからでもやる事あるし、そうね、午後の半分程度で引き上げてくればいいんじゃないかな、小さいお子さんもいるし、夏の暑さは思った以上に疲れるしね、まぁ、とりあえず二人はしっかりエスコートする事、ね」
「分かりました」
カトカとサビナは頷いてパトリシアの後を小走りで追う、
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ソフィアは楽しそうに戦略を練るのであった。
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