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本編
8話 宵宮の喧騒の中で その5
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招待客がそれぞれに帰宅し、屋台の掃除を終えて椅子を並べただけの会場を片付けて漸く一同は一息吐けた、しかし、鉄は熱い内にとばかりに食堂に集まるとそれぞれの組に別れて反省点と改良点を出し合っている、ブノワトがテーブルの間を細かく動き回って各組から上がって来る改良点を一つ一つ黒板に列挙していた、
「だいぶ出てきたわね、この中で実現可能なものは」
討論が煮詰まってきたあたりでブノワトはまとめに入る、
「ゴミの回収は必要よね、ジャネット組の方の木片については使い捨てになっちゃうのはしょうがないとして、どうだろう、本番だと食べ歩きになると思うけど、うん、ジャネットの方にもベンチを用意しましょうか、それとゴミ箱ね、これは分かり易く設置して、接客対応する人が案内もするという事で」
「そうですね、今日の感じですと食べ歩きというよりもその場でサッと食べきってしまってましたので、当日も食べ歩く人もいると思いますが食べる速度は大きく変わらないでしょうし・・・」
パウラが冷静に分析する、今日は屋台内で調理担当であったが作業中でも顧客の観察は忘れていなかったようである、
「それと、木片に模様を入れるってのも面白いと思うよ、まぁ、今回は保留でいいと思うけど」
ジャネットは常に能天気な意見を優先している印象である、
「うーん、模様っていちいち書くの?それも食品が触れるものに?墨で?」
アニタは懐疑的である、
「模様ってほどにはならないかもしれないけど、焼き印なら入れられるわよ、単純な絵と文字であれば可能ね、勿論20日には間に合わないけども」
ブノワトの意見にジャネットはほらねぇと楽しそうに笑顔を見せる、
「でも、20日に合わせての打合せなのだからその点を重視しましょうよ、今日は・・・その商品の掲示に関しての案はいいと思いますわよ」
エレインが黒板を見詰めながら指摘する、
「えっと、あ、これね、確かに看板だと地面に置いてあるから見えにくいのよね」
それぞれの商品説明として置き看板を設置していたが、高さのあるものでは無く、人波に隠れてその視認性は著しく悪かった、
「えぇ、そこで屋根の所に大き目の看板・・・よりも黒板の方が利便性が高いという意見ですわね、その壁掛けの黒板をそのまま設置できれば・・・面白そうですわね・・・」
「なるほど・・・それは実現可能ね・・・発注する?在庫あるわよ」
ブノワトはにこやかに語り掛ける、一同は何とも渋い顔をしているが、
「分かりました、こちらはお願い致しますわ、設置費用込みでお願い致します」
エレインは決断する、
「なら・・・こちらも、でもその場合屋台そのものはどうしましょう?」
「そう言えば、借り物でしたね・・・」
ケイスがボソリと言った、
「それもあったわね、もし貴女達がいいのであれば、そのまま使ってもらっていいわよ」
ブノワトは言ってなかったっけと続けて、
「もう、古い物だし、売れる型では無いしね、そのかわり、保管もそっちで頼むわよ、言い方を変えれば無料で上げるわって事ね」
「いいんですか?」
アニタが嬉しそうに確認する、
「えぇ、元々廃棄予定の物らしいし、倉庫の肥しだったしね」
「そうなると、保管場所が必要になりますね」
「納屋を改造して保管場所にならないかしら?」
「ソフィアさんに相談しましょう」
ソフィアは厨房で夕食の支度中であり、ミナははしゃぎ過ぎて昼寝中、レインもミナに付き合って昼寝中である、ついでに大人達はいまだ3階を占有していた、
「ならばこそ、黒板は必要ですわね、正式に発注で2台分、一旦私が費用を持ちますわ、屋台の売り上げでお支払い下さいね」
「おお、流石エレイン様ですわ」
ジャネットが早速茶化す、
「はい、毎度、明日には設置させるわね」
「それでと、あー、人手の件もあるわね、エレインさんの方、洗い物係が欲しいかしら?」
「はい、そうですね、ただ、当日は仕込みの量を増やそうかと考えておりました」
オリビアが答える、
「本日は、目の前で焼く事で視覚的に楽しんでもらおうと考えたのですが、それだと数が捌けないかなと、ですので、ある程度焼き溜めておいてそれを販売しつつ、現地でも焼き作業はするのですが、それは2次的な客寄せかなと考えております」
「なるほど、そうすると前日の仕込みが大変そうね」
「頑張ります」
オリビアとケイスが気合を見せる、
「それと、ジャネットさんの方で櫛が余っているのであれば融通して頂けないでしょうか?」
「櫛?うん、いいよ、100本組のが二束手付かずであった筈」
「ありがとうございます、スポンジケーキ用に必要かなと思いまして」
「あぁーそうだよね、手掴みになってたもんね、うん、上げちゃっていいよね?」
ジャネットはアニタとパウラに確認をとる、二人共無言で頷いた、
「では、次に・・・」
「わー、皆いるー、お話し中?」
寝起きのミナが食堂に入ってきた、スッキリした顔をしているがその動作にはいつもの快活さが欠けている、
「そろそろ、夕食の時間ですが、どうします?」
ソフィアもその後ろから現れて一同に問う、
「では、続きは食事の後にしましょうか」
オリビアの言葉に皆は同意の声を上げた、
「では、オリビアさん、レイン、お願いしていい?私、上を確認してくるわ」
ソフィアは二人に準備を任せて3階へ向かった、3階の集会所兼ホールにはクロノスと学長と事務長、いつのまにやらストラウクが合流して数本の巻物を前に沈黙していた、こちらも打合せと称する会議の時間はかなり経っている様子である、皆、憔悴しており覇気が感じられない。
「えーと、夕食出来ました、休憩がてらお食事になさって下さい」
ソフィアの呼び掛けに大人達はもうそんな時間かと大きく伸びをする、
「いや、ソフィアさん、いつも済まないね」
アウグスタ学長が目頭を押さえながらソフィアを労うもアウグスタの方が疲労の度合は濃いようである、
「何をそんなに根を詰めていらしたのです?」
「いや、スイランズ様に帝国時代の書物を発掘してきて頂いたのですが、これが悪筆が過ぎる上に帝国初期の文字でして、わたくしでもお手上げなのですよ」
ストラウクは手にした分厚い巻物を手にして気落ちしている、
「ソフィアよ、タロウは何処だあいつに翻訳させよう」
クロノスは投げやりにそう言って立ち上がった、
「ん、模擬販売とやらは?」
「とっくに終わりましたわ」
ソフィアのつれない返事に、
「なに、リシアは?」
「帰られたましたよ、御機嫌で」
「そうか、うん、なら良い」
「そうだな、皆、飯にしよう」
クロノスはまるで自分の屋敷のように先に立って階下へ降りた。
驚いたのは学生達である、ソフィアが学長達大人を連れて降りてきたのだ、3階で打合せをしていたとの説明であるが、突然の事であった為少々ざわついてしまう、しかし、
「はいはい、今日のメインであります肉料理はこちらのスイランズ様の差し入れです、感謝するように」
ソフィアの一言で驚きと不満の声は歓待に変わったようだ、クロノスの正体を知るエレインはその手のひら返しに気が気ではなかったが、クロノス自身は大様に笑顔を見せている。
「さ、頂きましょう」
スイランズ達のテーブルを用意し、食事を運び込むと、ソフィアが音頭を取った、本日は特に主催がいるわけではない普通の食事である、見慣れた客が増えた程度であるので挨拶等も不用とソフィアは考え、その意が理解されたのか皆静かに食事を始めた、しかし、その途端、
「この肉料理は絶品だなどう料理したのだ?」
スイランズの大声が食堂に響いた、それに呼応するようにそれぞれが絶賛の声を上げる、
「はいはい、これは簡単よ、頂いた獣肉を薄切りにして塩で下味をつけて卵とチーズをまぶして焼いただけ、そのままでも美味しいけど、いつものホワイトソースも合うでしょ」
「なるほど、この独特の旨味はチーズのものですね」
「オリビア、しっかり覚えたんでしょうね?」
「お嬢様、本日はわたしお手伝いしておりませんよ」
「なんですって・・・くっ」
「うんうん、いかんなぁ、ソフィアさんに餌付けされとるのう」
「いや、まったく、実に斬新でありながら何処か懐かしい味ですね」
「ソフィ、すんごく美味しいよ」
「おかわり希望の方はーって、皆すごい勢いね、大皿で持ってきますから皆さんゆっくり食べて下さい、パンが欲しい方も言って下さいね、レイン、ちゃんと野菜も食べなさい」
「うぐ、食べておるじゃろう、もう」
ソフィアは自身も食事中であるにも係わらず腰を上げると厨房に向かった、焼き上げた獣肉を大鍋で保温していたがそれを3つの大皿に取り分けてそれぞれのテーブルの中心に置く、やがて、ソフィアとしては充分な量を作ったと思っていたがあっと言う間に大皿分も空となっていた。
「ふむ、満足だ、ソフィア茶を頂けるか」
スイランズは自宅の様に寛ぎ始める、見事に緊張感の無い顔であった、
「オリビア、皆さんにお茶を点ていただける?ソフィアさんばかり動かしては申し訳ないわ」
「はい、エレイン様」
オリビアがスッと立ち上がると茶の用意を始めた、
「茶を頂いたら先程の続きじゃな、しかし、ユーリ先生がおらんとのう、今日は来るとは聞いていたのだがなぁ」
腹を摩りながらアウグスタ学園長はボソリと呟いた。
「だいぶ出てきたわね、この中で実現可能なものは」
討論が煮詰まってきたあたりでブノワトはまとめに入る、
「ゴミの回収は必要よね、ジャネット組の方の木片については使い捨てになっちゃうのはしょうがないとして、どうだろう、本番だと食べ歩きになると思うけど、うん、ジャネットの方にもベンチを用意しましょうか、それとゴミ箱ね、これは分かり易く設置して、接客対応する人が案内もするという事で」
「そうですね、今日の感じですと食べ歩きというよりもその場でサッと食べきってしまってましたので、当日も食べ歩く人もいると思いますが食べる速度は大きく変わらないでしょうし・・・」
パウラが冷静に分析する、今日は屋台内で調理担当であったが作業中でも顧客の観察は忘れていなかったようである、
「それと、木片に模様を入れるってのも面白いと思うよ、まぁ、今回は保留でいいと思うけど」
ジャネットは常に能天気な意見を優先している印象である、
「うーん、模様っていちいち書くの?それも食品が触れるものに?墨で?」
アニタは懐疑的である、
「模様ってほどにはならないかもしれないけど、焼き印なら入れられるわよ、単純な絵と文字であれば可能ね、勿論20日には間に合わないけども」
ブノワトの意見にジャネットはほらねぇと楽しそうに笑顔を見せる、
「でも、20日に合わせての打合せなのだからその点を重視しましょうよ、今日は・・・その商品の掲示に関しての案はいいと思いますわよ」
エレインが黒板を見詰めながら指摘する、
「えっと、あ、これね、確かに看板だと地面に置いてあるから見えにくいのよね」
それぞれの商品説明として置き看板を設置していたが、高さのあるものでは無く、人波に隠れてその視認性は著しく悪かった、
「えぇ、そこで屋根の所に大き目の看板・・・よりも黒板の方が利便性が高いという意見ですわね、その壁掛けの黒板をそのまま設置できれば・・・面白そうですわね・・・」
「なるほど・・・それは実現可能ね・・・発注する?在庫あるわよ」
ブノワトはにこやかに語り掛ける、一同は何とも渋い顔をしているが、
「分かりました、こちらはお願い致しますわ、設置費用込みでお願い致します」
エレインは決断する、
「なら・・・こちらも、でもその場合屋台そのものはどうしましょう?」
「そう言えば、借り物でしたね・・・」
ケイスがボソリと言った、
「それもあったわね、もし貴女達がいいのであれば、そのまま使ってもらっていいわよ」
ブノワトは言ってなかったっけと続けて、
「もう、古い物だし、売れる型では無いしね、そのかわり、保管もそっちで頼むわよ、言い方を変えれば無料で上げるわって事ね」
「いいんですか?」
アニタが嬉しそうに確認する、
「えぇ、元々廃棄予定の物らしいし、倉庫の肥しだったしね」
「そうなると、保管場所が必要になりますね」
「納屋を改造して保管場所にならないかしら?」
「ソフィアさんに相談しましょう」
ソフィアは厨房で夕食の支度中であり、ミナははしゃぎ過ぎて昼寝中、レインもミナに付き合って昼寝中である、ついでに大人達はいまだ3階を占有していた、
「ならばこそ、黒板は必要ですわね、正式に発注で2台分、一旦私が費用を持ちますわ、屋台の売り上げでお支払い下さいね」
「おお、流石エレイン様ですわ」
ジャネットが早速茶化す、
「はい、毎度、明日には設置させるわね」
「それでと、あー、人手の件もあるわね、エレインさんの方、洗い物係が欲しいかしら?」
「はい、そうですね、ただ、当日は仕込みの量を増やそうかと考えておりました」
オリビアが答える、
「本日は、目の前で焼く事で視覚的に楽しんでもらおうと考えたのですが、それだと数が捌けないかなと、ですので、ある程度焼き溜めておいてそれを販売しつつ、現地でも焼き作業はするのですが、それは2次的な客寄せかなと考えております」
「なるほど、そうすると前日の仕込みが大変そうね」
「頑張ります」
オリビアとケイスが気合を見せる、
「それと、ジャネットさんの方で櫛が余っているのであれば融通して頂けないでしょうか?」
「櫛?うん、いいよ、100本組のが二束手付かずであった筈」
「ありがとうございます、スポンジケーキ用に必要かなと思いまして」
「あぁーそうだよね、手掴みになってたもんね、うん、上げちゃっていいよね?」
ジャネットはアニタとパウラに確認をとる、二人共無言で頷いた、
「では、次に・・・」
「わー、皆いるー、お話し中?」
寝起きのミナが食堂に入ってきた、スッキリした顔をしているがその動作にはいつもの快活さが欠けている、
「そろそろ、夕食の時間ですが、どうします?」
ソフィアもその後ろから現れて一同に問う、
「では、続きは食事の後にしましょうか」
オリビアの言葉に皆は同意の声を上げた、
「では、オリビアさん、レイン、お願いしていい?私、上を確認してくるわ」
ソフィアは二人に準備を任せて3階へ向かった、3階の集会所兼ホールにはクロノスと学長と事務長、いつのまにやらストラウクが合流して数本の巻物を前に沈黙していた、こちらも打合せと称する会議の時間はかなり経っている様子である、皆、憔悴しており覇気が感じられない。
「えーと、夕食出来ました、休憩がてらお食事になさって下さい」
ソフィアの呼び掛けに大人達はもうそんな時間かと大きく伸びをする、
「いや、ソフィアさん、いつも済まないね」
アウグスタ学長が目頭を押さえながらソフィアを労うもアウグスタの方が疲労の度合は濃いようである、
「何をそんなに根を詰めていらしたのです?」
「いや、スイランズ様に帝国時代の書物を発掘してきて頂いたのですが、これが悪筆が過ぎる上に帝国初期の文字でして、わたくしでもお手上げなのですよ」
ストラウクは手にした分厚い巻物を手にして気落ちしている、
「ソフィアよ、タロウは何処だあいつに翻訳させよう」
クロノスは投げやりにそう言って立ち上がった、
「ん、模擬販売とやらは?」
「とっくに終わりましたわ」
ソフィアのつれない返事に、
「なに、リシアは?」
「帰られたましたよ、御機嫌で」
「そうか、うん、なら良い」
「そうだな、皆、飯にしよう」
クロノスはまるで自分の屋敷のように先に立って階下へ降りた。
驚いたのは学生達である、ソフィアが学長達大人を連れて降りてきたのだ、3階で打合せをしていたとの説明であるが、突然の事であった為少々ざわついてしまう、しかし、
「はいはい、今日のメインであります肉料理はこちらのスイランズ様の差し入れです、感謝するように」
ソフィアの一言で驚きと不満の声は歓待に変わったようだ、クロノスの正体を知るエレインはその手のひら返しに気が気ではなかったが、クロノス自身は大様に笑顔を見せている。
「さ、頂きましょう」
スイランズ達のテーブルを用意し、食事を運び込むと、ソフィアが音頭を取った、本日は特に主催がいるわけではない普通の食事である、見慣れた客が増えた程度であるので挨拶等も不用とソフィアは考え、その意が理解されたのか皆静かに食事を始めた、しかし、その途端、
「この肉料理は絶品だなどう料理したのだ?」
スイランズの大声が食堂に響いた、それに呼応するようにそれぞれが絶賛の声を上げる、
「はいはい、これは簡単よ、頂いた獣肉を薄切りにして塩で下味をつけて卵とチーズをまぶして焼いただけ、そのままでも美味しいけど、いつものホワイトソースも合うでしょ」
「なるほど、この独特の旨味はチーズのものですね」
「オリビア、しっかり覚えたんでしょうね?」
「お嬢様、本日はわたしお手伝いしておりませんよ」
「なんですって・・・くっ」
「うんうん、いかんなぁ、ソフィアさんに餌付けされとるのう」
「いや、まったく、実に斬新でありながら何処か懐かしい味ですね」
「ソフィ、すんごく美味しいよ」
「おかわり希望の方はーって、皆すごい勢いね、大皿で持ってきますから皆さんゆっくり食べて下さい、パンが欲しい方も言って下さいね、レイン、ちゃんと野菜も食べなさい」
「うぐ、食べておるじゃろう、もう」
ソフィアは自身も食事中であるにも係わらず腰を上げると厨房に向かった、焼き上げた獣肉を大鍋で保温していたがそれを3つの大皿に取り分けてそれぞれのテーブルの中心に置く、やがて、ソフィアとしては充分な量を作ったと思っていたがあっと言う間に大皿分も空となっていた。
「ふむ、満足だ、ソフィア茶を頂けるか」
スイランズは自宅の様に寛ぎ始める、見事に緊張感の無い顔であった、
「オリビア、皆さんにお茶を点ていただける?ソフィアさんばかり動かしては申し訳ないわ」
「はい、エレイン様」
オリビアがスッと立ち上がると茶の用意を始めた、
「茶を頂いたら先程の続きじゃな、しかし、ユーリ先生がおらんとのう、今日は来るとは聞いていたのだがなぁ」
腹を摩りながらアウグスタ学園長はボソリと呟いた。
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