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本編
1話 寮母就任 その3
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「遅くなったわね、ダナも来てたのありがとう」
「いえいえ、仕事ですから」
ダナと呼ばれた女性事務員が席から軽く腰を上げて会釈する、
「では早速だけど顔合わせという事で、ジャネットも席について」
ユーリは慣れた調子で場を仕切り始め、ジャネットが席に着くのを見計らってゴホンとわざとらしく咳をすると、
「ソフィアはこっちに」
ソフィア達をテーブル脇に手招きすると、
「こちらが今日からここ王国立バーク魔法学園ユーフォルビア第2女子寮の寮母として勤務して頂くこととなったソフィア・・・なんだっけ」
ユーリは頼りなげにソフィアを見る、もう、と小さく溜息をついたソフィアはユーリの言葉を引き継いで、
「ソフィア・カシュパルです、どうぞ宜しく」
柔和な笑顔で短く自己紹介をする、
「はい、カシュパルだったっけ、覚えてなかったわ、ごめんごめん」
ユーリはあっけらかんと笑って誤魔化すと、
「で、ソフィアの脚に隠れてるのがミナ・カシュパル、堂々としてるのがレイン・カシュパル?」
「レインはレインじゃ、家名も氏も無いぞ」
レインは踏ん反り返ってそう言った、
「あら、そう、ではレインちゃんね、えーと噂では聞いたかもしれないけど、ソフィアは私の冒険者時代の仲間で、ミナもそうね一時期一緒に旅をしていたわ、カシュパル一家は私の大事な友人です、寮母としての仕事はしっかりやってもらうのは当然ですが、実は私としては教師としてその経験を活かして欲しかった程の人でもあります、寮母としてのみならず人生の先達として皆さんの指導に当たって頂けるものと考えております」
言葉を区切りユーリは威圧するように席に着いた生徒3人を見渡し、
「特に、一家と仲良くする事、ミナを泣かせるような事があれば、ソフィアはともかく私はどうなるかわかりませんので御注意下さい・・・ね」
駄目押しの一睨みがはいる、生徒は皆困ったような表情を浮かべた後、一目で年長と判断できる生徒が軽く挙手をし了解の旨を伝え、残りの生徒もそれに続いた、
「はい、宜しい、では生徒の紹介ね、えーと」
ユーリは手にした書類に眼を落すと、
「貴族科のエレイン・アル・ライダーね、簡単に挨拶を」
名を呼ばれた生徒が立ち上がる、3人のうち最も年長者であり身なりの整った女性である、
「貴族科・・・何年だっけ、まぁいいですわ、エレイン・アル・ライダーです、エレインと呼ぶことを許してますわ、どうぞ宜しく」
軽く会釈をすると席に着いた、
「次は、生活科のオリビア・ラトランド」
「はい、私です」
エレインの隣りに座していた少女が立ち上がった、黒髪を後ろで纏め質素な服装の清潔感のある女性である、
「生活科1年のオリビア・ラトランドです、オリビアかオリビーと呼んでください、生活科の生徒ですのでその分野で御指導頂く事ともあるかと思います、どうぞよしなに」
オリビアは慎ましやかな礼をすると席に着いた、生活科とはメイドの為の基礎学問を修める学科である、その学習内容は寮母の仕事と重なる部分が大であった。
「戦術科のジャネット・コーネル」
「はぁい、私っす」
3人目の女生徒が元気よく立ち上がった、先程ソフィア達を見付けた娘である、短めの赤毛と薄っすらとした日焼けがその言動と相まって健康的な美しさを放っている。
「戦術科1年のジャネット・コーネルでっす、ジャネットもいいけどジニーと呼んでくれたら嬉しいかな、上級兵士から騎士になりたくて学校に入ったんだけど冒険者もいいなぁなんて思ってきてます、是非、経験談等お話頂ければと思います、ついでにユーリ先生の過去話なんかにも興味あります、宜しくです」
立ち上がった勢いのまま席に着く、
「あー、ジャネット、仲良くするのはいいけれど、必要以上の情報収拾は控える事、ソフィアもいらない事はしゃべらない事」
ユーリは怒りを秘めた笑顔をジャネットに向け、ソフィアを横目で睨み付けた、
「善処しまぁーす」
実に信用できない心無い返事をしてジャネットはそっぽを向き、ソフィアはどうでもいいかしらと微笑む、
「次が、神聖魔法学科のケイス・クリップス」
ユーリが呼び上げると、生徒3人が不思議そうにお互いの顔を見て、ユーリを見た、暫し沈黙した後、
「ケイスさんは暫く見ていないですよ、除籍になったのでは無くて?」
エレインがおずおずと申し述べる、
「へ?でも在籍している事になってるわよ、うーん、ダナ何か聞いてる?」
「いえ、特には・・・、いらっしゃらないの?」
ダナは生徒を見渡すと、
「すいません、ここに来て半年ですがケイスさんですか?見てないと思います」
オリビアは困ったようにそう言った、
「私もです、たぶん隣りの部屋の人だよね、時々音はするけど?」
ジャネットは関心無さげである、
「音はするって、生活しているのかしら、そう言えば寮長って誰?」
「今は特にいないです、春入学組が卒業してから人数が減ったので決めてないですわ」
「うーん、ま、まぁいいわ、ダナ、ケイスの件は要確認で別途処理しておいて、寮長については仮でエレインさんお願いしますね」
ユーリはダナに申し送りをしエレインに指示を出す、ダナは素直に了解し、エレインは一瞬眉根を寄せるもしょうがないですわと了承した。
「生徒は以上ね、次にここの担当事務職員のダナ・エドワーズ」
ダナは席を立つと一礼して着席した、
「ソフィアに対する正式な辞令やら書類やら報酬やらそれと正確な業務内容等の説明ね、明日学校の事務室で、昼前位でいい?」
ユーリはダナに確認する、小さく頷いたダナに了承の意を汲み取ると、
「そうね、ダナは10日に一度はこちらに現場査察の名目で訪問する予定です、その際に資金や報酬の受け取り、問題等あったら相談して下さい、まぁ緊急の場合は学校事務室へ直接か私に一報くれても対処するから・・・、えーと取り合えず、こんなもんかしら何かある?」
ソフィアはユーリの確認に小首を傾げつつ、
「今晩の夕食からお世話するって事でいいかしら」
「そうね、材料があれば」
「向う10日間分の資金はこちらに用意してあります、食糧庫は確認してないですが、そちらにあるものは提供可能です」
ダナはスッと立ち上がり資金の入った革袋をソフィアに渡しつつ厨房横の倉庫へソフィアを誘う、その後ろ姿を眺めながらジャネットは心底嬉しそうに、
「良かったぁ、久しぶりに温かい飯が食えるぜぇ」
「そうですね、ここ暫くは携帯食ばかりでしたわね」
「すいません、お嬢様、私が調理すれば良かったのですが」
「それは関係無いですわ、オリビアはここに学びに来ているのですよ、寮の業務は寮の担当官がこなすべきです」
「それはそうですが」
「そうそう、それにぶっちゃけオリビアの料理って・・・」
「ジャネットさん!!」
エレインはやや鋭い声でジャネットを制し、にこやかに微笑むとホント楽しみですわねと続けた、
「・・・そうだね、楽しみだね」
何かを察したジャネットはやや口の端を上げて歪に笑う。
食糧庫を確認した2人が戻ると、
「では、最後にソフィアから何かある?」
「それでは・・・」
ソフィアは一息飲み込むと、
「ただ今より、大掃除を始めます、参加者はこの場にいる全員、否も応も無しです、ミナ、レイン、木戸を全て開けなさい、掃除道具は何処ですか」
突然のソフィアの宣言に参加者はポカンと彼女の顔を見る、しかしミナとレインはちょこまかと走り回り木戸を開け各部屋の扉を開け放った、独特の臭気に澱んだ寮一階に埃っぽくはあっても新鮮な外気が吹き込んでソフィアはさらに檄を飛ばす、
「さぁ、動きなさい、子供ばかりを働かせるつもりですか、貴女方にはまず最低限の清潔の概念が必要です、立ちなさい」
”ドガッ”
と4人が座するテーブルを力一杯叩き付けるソフィアに突き動かされそろそろと女生徒は腰を上げる、
「えーと、寮母センセ、マジでやるの?」
「掃除等、それこそ寮母さんのお仕事でございましょう?」
「・・・お手伝いはやぶさかではないですが・・・」
3人娘はそれぞれにブーたれている、
「否も応も無いといったな、私が寮母となった以上、このような不衛生な環境は一切許しません、貴女達よく周りを御覧なさい、これが王国立学園に通う優秀な生徒が住まう環境ですか、うら若き乙女の住まう環境ですか、ゴミため以下の空間ですよ、目を覚ましなさい」
”ドォン!!”
再びテーブルを力任せに叩き付けるソフィア、舞い踊る埃が外気に煽られ舞っている。
再び静寂が場を制するが、
「ソフィ、箒あった、それと雑巾?だと思うものとバケツあった」
「ミナ、モップもあったぞ、どれ何から手を付けるかの?」
ミナとレインがそれぞれに道具を持ってくる、玄関の隣りが倉庫になっておりそこから持って来たらしい。
「ありがとう、じゃまず、ゴミを出しましょう、2人はこの部屋のゴミを中庭に出しちゃって、纏めておいて廃棄処分にしましょう」
明るく素直な了承の声が木霊して2人は作業にかかる、
「さて、貴女がたは自分達の蓄えたゴミを他人の・・・、それも子供に・・・、片付けさせるつもりなのかしら?」
怪しく光るソフィアの瞳に3人娘はスゴスゴと作業にかかり始めた。
「・・・それでは、ダナ、私達はお暇しましょうか?」
ユーリはソフィアの視線に入らぬようにダナの隣りに移動してそっと囁く、ダナが口を開き掛けた瞬間、
「ユーリ、ダナさん、貴女方も同罪です、その弛み切った性根を叩き直さなければならないと考えますが、如何ですか?」
ソフィアは女生徒に向けた圧以上の禍々しいオーラで大人である2人を睨み付ける、その眼光に2人は同時に承諾の言を発していた。
「いえいえ、仕事ですから」
ダナと呼ばれた女性事務員が席から軽く腰を上げて会釈する、
「では早速だけど顔合わせという事で、ジャネットも席について」
ユーリは慣れた調子で場を仕切り始め、ジャネットが席に着くのを見計らってゴホンとわざとらしく咳をすると、
「ソフィアはこっちに」
ソフィア達をテーブル脇に手招きすると、
「こちらが今日からここ王国立バーク魔法学園ユーフォルビア第2女子寮の寮母として勤務して頂くこととなったソフィア・・・なんだっけ」
ユーリは頼りなげにソフィアを見る、もう、と小さく溜息をついたソフィアはユーリの言葉を引き継いで、
「ソフィア・カシュパルです、どうぞ宜しく」
柔和な笑顔で短く自己紹介をする、
「はい、カシュパルだったっけ、覚えてなかったわ、ごめんごめん」
ユーリはあっけらかんと笑って誤魔化すと、
「で、ソフィアの脚に隠れてるのがミナ・カシュパル、堂々としてるのがレイン・カシュパル?」
「レインはレインじゃ、家名も氏も無いぞ」
レインは踏ん反り返ってそう言った、
「あら、そう、ではレインちゃんね、えーと噂では聞いたかもしれないけど、ソフィアは私の冒険者時代の仲間で、ミナもそうね一時期一緒に旅をしていたわ、カシュパル一家は私の大事な友人です、寮母としての仕事はしっかりやってもらうのは当然ですが、実は私としては教師としてその経験を活かして欲しかった程の人でもあります、寮母としてのみならず人生の先達として皆さんの指導に当たって頂けるものと考えております」
言葉を区切りユーリは威圧するように席に着いた生徒3人を見渡し、
「特に、一家と仲良くする事、ミナを泣かせるような事があれば、ソフィアはともかく私はどうなるかわかりませんので御注意下さい・・・ね」
駄目押しの一睨みがはいる、生徒は皆困ったような表情を浮かべた後、一目で年長と判断できる生徒が軽く挙手をし了解の旨を伝え、残りの生徒もそれに続いた、
「はい、宜しい、では生徒の紹介ね、えーと」
ユーリは手にした書類に眼を落すと、
「貴族科のエレイン・アル・ライダーね、簡単に挨拶を」
名を呼ばれた生徒が立ち上がる、3人のうち最も年長者であり身なりの整った女性である、
「貴族科・・・何年だっけ、まぁいいですわ、エレイン・アル・ライダーです、エレインと呼ぶことを許してますわ、どうぞ宜しく」
軽く会釈をすると席に着いた、
「次は、生活科のオリビア・ラトランド」
「はい、私です」
エレインの隣りに座していた少女が立ち上がった、黒髪を後ろで纏め質素な服装の清潔感のある女性である、
「生活科1年のオリビア・ラトランドです、オリビアかオリビーと呼んでください、生活科の生徒ですのでその分野で御指導頂く事ともあるかと思います、どうぞよしなに」
オリビアは慎ましやかな礼をすると席に着いた、生活科とはメイドの為の基礎学問を修める学科である、その学習内容は寮母の仕事と重なる部分が大であった。
「戦術科のジャネット・コーネル」
「はぁい、私っす」
3人目の女生徒が元気よく立ち上がった、先程ソフィア達を見付けた娘である、短めの赤毛と薄っすらとした日焼けがその言動と相まって健康的な美しさを放っている。
「戦術科1年のジャネット・コーネルでっす、ジャネットもいいけどジニーと呼んでくれたら嬉しいかな、上級兵士から騎士になりたくて学校に入ったんだけど冒険者もいいなぁなんて思ってきてます、是非、経験談等お話頂ければと思います、ついでにユーリ先生の過去話なんかにも興味あります、宜しくです」
立ち上がった勢いのまま席に着く、
「あー、ジャネット、仲良くするのはいいけれど、必要以上の情報収拾は控える事、ソフィアもいらない事はしゃべらない事」
ユーリは怒りを秘めた笑顔をジャネットに向け、ソフィアを横目で睨み付けた、
「善処しまぁーす」
実に信用できない心無い返事をしてジャネットはそっぽを向き、ソフィアはどうでもいいかしらと微笑む、
「次が、神聖魔法学科のケイス・クリップス」
ユーリが呼び上げると、生徒3人が不思議そうにお互いの顔を見て、ユーリを見た、暫し沈黙した後、
「ケイスさんは暫く見ていないですよ、除籍になったのでは無くて?」
エレインがおずおずと申し述べる、
「へ?でも在籍している事になってるわよ、うーん、ダナ何か聞いてる?」
「いえ、特には・・・、いらっしゃらないの?」
ダナは生徒を見渡すと、
「すいません、ここに来て半年ですがケイスさんですか?見てないと思います」
オリビアは困ったようにそう言った、
「私もです、たぶん隣りの部屋の人だよね、時々音はするけど?」
ジャネットは関心無さげである、
「音はするって、生活しているのかしら、そう言えば寮長って誰?」
「今は特にいないです、春入学組が卒業してから人数が減ったので決めてないですわ」
「うーん、ま、まぁいいわ、ダナ、ケイスの件は要確認で別途処理しておいて、寮長については仮でエレインさんお願いしますね」
ユーリはダナに申し送りをしエレインに指示を出す、ダナは素直に了解し、エレインは一瞬眉根を寄せるもしょうがないですわと了承した。
「生徒は以上ね、次にここの担当事務職員のダナ・エドワーズ」
ダナは席を立つと一礼して着席した、
「ソフィアに対する正式な辞令やら書類やら報酬やらそれと正確な業務内容等の説明ね、明日学校の事務室で、昼前位でいい?」
ユーリはダナに確認する、小さく頷いたダナに了承の意を汲み取ると、
「そうね、ダナは10日に一度はこちらに現場査察の名目で訪問する予定です、その際に資金や報酬の受け取り、問題等あったら相談して下さい、まぁ緊急の場合は学校事務室へ直接か私に一報くれても対処するから・・・、えーと取り合えず、こんなもんかしら何かある?」
ソフィアはユーリの確認に小首を傾げつつ、
「今晩の夕食からお世話するって事でいいかしら」
「そうね、材料があれば」
「向う10日間分の資金はこちらに用意してあります、食糧庫は確認してないですが、そちらにあるものは提供可能です」
ダナはスッと立ち上がり資金の入った革袋をソフィアに渡しつつ厨房横の倉庫へソフィアを誘う、その後ろ姿を眺めながらジャネットは心底嬉しそうに、
「良かったぁ、久しぶりに温かい飯が食えるぜぇ」
「そうですね、ここ暫くは携帯食ばかりでしたわね」
「すいません、お嬢様、私が調理すれば良かったのですが」
「それは関係無いですわ、オリビアはここに学びに来ているのですよ、寮の業務は寮の担当官がこなすべきです」
「それはそうですが」
「そうそう、それにぶっちゃけオリビアの料理って・・・」
「ジャネットさん!!」
エレインはやや鋭い声でジャネットを制し、にこやかに微笑むとホント楽しみですわねと続けた、
「・・・そうだね、楽しみだね」
何かを察したジャネットはやや口の端を上げて歪に笑う。
食糧庫を確認した2人が戻ると、
「では、最後にソフィアから何かある?」
「それでは・・・」
ソフィアは一息飲み込むと、
「ただ今より、大掃除を始めます、参加者はこの場にいる全員、否も応も無しです、ミナ、レイン、木戸を全て開けなさい、掃除道具は何処ですか」
突然のソフィアの宣言に参加者はポカンと彼女の顔を見る、しかしミナとレインはちょこまかと走り回り木戸を開け各部屋の扉を開け放った、独特の臭気に澱んだ寮一階に埃っぽくはあっても新鮮な外気が吹き込んでソフィアはさらに檄を飛ばす、
「さぁ、動きなさい、子供ばかりを働かせるつもりですか、貴女方にはまず最低限の清潔の概念が必要です、立ちなさい」
”ドガッ”
と4人が座するテーブルを力一杯叩き付けるソフィアに突き動かされそろそろと女生徒は腰を上げる、
「えーと、寮母センセ、マジでやるの?」
「掃除等、それこそ寮母さんのお仕事でございましょう?」
「・・・お手伝いはやぶさかではないですが・・・」
3人娘はそれぞれにブーたれている、
「否も応も無いといったな、私が寮母となった以上、このような不衛生な環境は一切許しません、貴女達よく周りを御覧なさい、これが王国立学園に通う優秀な生徒が住まう環境ですか、うら若き乙女の住まう環境ですか、ゴミため以下の空間ですよ、目を覚ましなさい」
”ドォン!!”
再びテーブルを力任せに叩き付けるソフィア、舞い踊る埃が外気に煽られ舞っている。
再び静寂が場を制するが、
「ソフィ、箒あった、それと雑巾?だと思うものとバケツあった」
「ミナ、モップもあったぞ、どれ何から手を付けるかの?」
ミナとレインがそれぞれに道具を持ってくる、玄関の隣りが倉庫になっておりそこから持って来たらしい。
「ありがとう、じゃまず、ゴミを出しましょう、2人はこの部屋のゴミを中庭に出しちゃって、纏めておいて廃棄処分にしましょう」
明るく素直な了承の声が木霊して2人は作業にかかる、
「さて、貴女がたは自分達の蓄えたゴミを他人の・・・、それも子供に・・・、片付けさせるつもりなのかしら?」
怪しく光るソフィアの瞳に3人娘はスゴスゴと作業にかかり始めた。
「・・・それでは、ダナ、私達はお暇しましょうか?」
ユーリはソフィアの視線に入らぬようにダナの隣りに移動してそっと囁く、ダナが口を開き掛けた瞬間、
「ユーリ、ダナさん、貴女方も同罪です、その弛み切った性根を叩き直さなければならないと考えますが、如何ですか?」
ソフィアは女生徒に向けた圧以上の禍々しいオーラで大人である2人を睨み付ける、その眼光に2人は同時に承諾の言を発していた。
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