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第六章.醜い■■の■
7.頭が痛い
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「やぁ、お姉さん」
「……なんで貴女がここに居るのよ」
執務室を出てから少しした程度の所で、当たり前の様に現れては話し掛けてくるアンジュに面食らってしまう……見張りを付けて、半ば軟禁状態にしたはずなのに、この娘ったら……なにシレッと脱走してるのよ。
「大人しく部屋で待てなかったの?」
「ちゃんと良い子にしてたさ!」
「……」
どうしてかしら……どうしようもなく、この子の満面の笑みが物凄く胡散臭く感じる……そもそも良い子にしてたらちゃんと部屋で待っていると思うのだけれど?
むむむ、やはり彼女もホテルに残しておくべきだったかしら……でも抜け出して来そうだったし、仕方ないか。
「……なんだい、その顔は? せっかく僕が一仕事して来たってのにさ!」
「一仕事?」
え、何をやらかしたのこの子……凄く不安なんだけれど、監督責任として聞いておくべき……よね? ……内容によっては回れ右してゼイポ騎士爵に謝罪する羽目になりそうで怖いのたけれど。
「……い、一応聞いておくわ」
「なんでおっかなびっくりなのさ……まぁいいさ、はいこれ」
「? なにこれ?」
アンジュから渡された書類の束を受け取り、なんのもなしにそれを捲って内容を──
「──っ?!」
──最初の一枚を読んで即座に周囲を警戒し、誰も居ない事を確認してから速やかに懐に仕舞う……なんて物を手に入れてるのよ。
「驚いてくれた?」
「……えぇそりゃもちろん……とんだサプライズもあったものよ」
「あっ、あっ、痛い痛い!」
アンジュのこめかみを拳でグリグリとしながら廊下を歩き、さっさとこの屋敷から出る事を目標とする……ゼイポ騎士爵の嫌がらせといして、お見送りすら無いのが今は都合がいい。
この書類の事実と合わせてどう動くか……リーゼリットやお婆さんに話す訳にもいかないし……。
「……いいアンジュ? この書類の内容は誰にも話しちゃダメよ?」
「わかってるて!」
「ならよろしい」
出入り口が近付いてきたため、アンジュの頭から手を離して何事もなかったのように振る舞いながら外へと出る……疎らに見かける使用人達の視線を気にしつつ、足早に屋敷から出てリーゼリット達の居るホテルを目指す。
「とりあえず周囲は僕が見ておくからさ、ホテルに着く前に読んじゃいなよ」
「……そうね、そうするわ」
今はアンジュの言葉に甘えて書類の束を捲っていく……読めば読むほど頭が痛くなってくるこの紙とインクの塊にうんざりとする。……よくもまぁ、こんな厳重に保管されてそうな物を手に入れる事が出来たわね?
「……はぁ」
「それで? その書類を読んだ感想は?」
「最悪の一言ね……下手をしたら、ここら一帯が海に沈むわ」
まさかホラド伯爵が肥沃する褐色の大地と通じていたなんて……本当にきな臭くなってきたわね? まだ分からない事は多いけれど、狩人として動かないといけないわ。
「……ちなみにだけど、どうやってこの書類の束を手に入れたの?」
「ん? これだよ?」
「……まさかそれで?」
「うん、これでちょちょいっと」
そう言ってアンジュが取り出したのは先の形状が様々な種類用意された、明らかに盗賊なんかが使っていそうなピッキングツールで……本当にそんな物で貴族の金庫などを突破できたのかは分からないけれど、事実として手元に書類があるのだから……素直に驚く。
「……とりあえずホテルでリーゼリット達と合流するわよ」
「はーい」
……折を見て、バルバトス本部に連絡を取らないといけないわね。私の手じゃ余るし、応援を寄越して貰わないと。
▼▼▼▼▼▼▼
「今戻ったわ……子どもの様子はどうかしら?」
「おかえり、アリシア」
……? あれ、アリシアってばなんだか思い詰めた表情をしてる? ゼイポ騎士爵の所で何か言われたのかな? 本人は何でもない風を装ってるけど、親しい人が見たら『まーた一人で悩んでる』とか感想を抱かざるを得ない顔をしてる。
……まぁこういう時は聞いても教えてくれないけどね。
「お婆さんが言うには今夜には目覚めるだろうってさ」
「……そう、それは良かったわ」
安堵の息を吐きながら、そっと寝ている子どもの横に座り、その手を握りながら頭を撫でるその様はまるで母の様で……本当にアリシアって偶に分からなくなるわね。
まぁ綺麗なものが見れて悪い気はしないし、良いけれどね?
「あれ、お婆ちゃんは?」
「なんか持病だってさ」
「持病? お婆ちゃん持病なんてあったんだ……大丈夫かな?」
アンジュの心配も分からないでも無いけど、あれくらいの年齢の年寄りで何かしらの病気を持ってない方がおかしいからねぇ……多分外の空気を吸いに行っただけじゃないかな?
「あぁ多分──なんでもないわ」
「アリシア?」
「お姉さん?」
「ただの勘違いよ」
何が勘違いなのやら……完全に『しまった!』って顔してるし、絶対に隠してる事があるでしょ? ほら見てみなさい? 私はともかく、アンジュが目をキラキラさせながら『秘密の香りがする……!』とかほざいてるじゃないのよ。
……まぁどうせ? 魔法使いの彼から教わった事で、私達には教えられない事なんでしょうけどね?
「ねぇねぇ、お姉さん? ちょっと教えておくれよ」
「……お婆さんの極度のプライバシーに関わるからダメよ」
「……じゃあ仕方ないか」
今さら誤魔化し切れないと悟ったのか、そんな事を言うアリシアだけれど……極度のプライバシーに関わるって何かしら? アリシアほど魔法使いに詳しい訳では無いけれど、少なくとも帝都の士官学校で学んだ私でもまったく検討も付かないわ。
「とりあえず二人共? 危険だから、暫くは夜は出歩かないで」
「はぁーい」
「? どうして?」
あのアンジュが大人しく言うことを聞くのを少し驚きながらも、アリシアに問い返す……まぁ殺人事件が起きたり、魔法使いが行き倒れているのを発見したりと……立て続けに不穏な事が起きてはいるけれど、別にそれら自体は珍しい事ではないし……。
「……ちょっとヤバい情報をアンジュが手に入れてね」
「ふふーん! どうだい、見直したかい?」
「褒めたいところだけれど、知りたくもなかったわね……」
「……そんなに?」
アンジュはお手柄だけど、余計な事をしたみたいね? アリシアがここまで頭を悩ませているのも珍しい──いやこの親友は結構な頻度で何かしらに悩んでたな。うん。
「とりあえず了解したけれど、アリシアはどうするの?」
「……暫くは夜に出掛ける事になるわね」
「……アリシアは一人で大丈夫なのかい?」
自分で夜出歩くのは危険って言っておいて、自分は一人で出歩くつもりなの? ……それはさすがにちょっとどうかと思うんだけどなぁ?
「夜にしか出来ない捜査があるのと、帝都から信頼できる応援を呼ぶだけだから」
「……本当に危険な事はないんだね?」
「……えぇ、もちろん」
……これは嘘をついてるね。今さらそんな嘘が通じると思ってるなら、ちょっと心外だなぁ……まぁでも警察武官だし、守秘義務も多いんだろうけれど……心配くらいはさせて欲しいよね。
私だって半分軍人だし、戦えない訳じゃないのにさ……自分とアンジュの身を守る程度なら余裕だよ。
「ハァ、仕方ないか……何かあったら空に向けて曳光弾を打ち上げるからよろしく」
「確認したら全てに優先してでも駆け付けるわ」
「そっちも何かあったら打ち上げてよ?」
「約束するわ」
「ならよし」
あーあ、私も警察武官ほど武器の携行が許可されてたらなぁ……武装司書程度だとナイフが二本に、拳銃が二丁、威力小さめのフラッシュバンが五つ程度だもんねぇ……弾倉も少ないし、警察武官のアリシアに比べて足でまといになるのは仕方ないか。
「……アリシア、本当に気を付けてね? アンタってば、何かしら任務がある度に怪我して帰って来るだから」
「……ふふ、分かったわ」
「お姉さん達、仲良いんだねぇ」
「まぁね?」
とりあえずアリシアからは『気を付ける』っていう言質は取ったし、後は親友を信じるだけね……まぁアリシアには〝魔法使いの彼〟が居るから、大丈夫でしょうけどね。……ちゃんと護りなさいよ? 顔も知らないけど、しくじったらボコボコにしてからね。
「くしゅん!」
「おや風邪かい?」
「いや、大丈夫だ……それよりも早くリーシャを見てくれ」
「はいはい……余命幾ばくもない老婆をこき使いおってからに」
▼▼▼▼▼▼▼
「……なんで貴女がここに居るのよ」
執務室を出てから少しした程度の所で、当たり前の様に現れては話し掛けてくるアンジュに面食らってしまう……見張りを付けて、半ば軟禁状態にしたはずなのに、この娘ったら……なにシレッと脱走してるのよ。
「大人しく部屋で待てなかったの?」
「ちゃんと良い子にしてたさ!」
「……」
どうしてかしら……どうしようもなく、この子の満面の笑みが物凄く胡散臭く感じる……そもそも良い子にしてたらちゃんと部屋で待っていると思うのだけれど?
むむむ、やはり彼女もホテルに残しておくべきだったかしら……でも抜け出して来そうだったし、仕方ないか。
「……なんだい、その顔は? せっかく僕が一仕事して来たってのにさ!」
「一仕事?」
え、何をやらかしたのこの子……凄く不安なんだけれど、監督責任として聞いておくべき……よね? ……内容によっては回れ右してゼイポ騎士爵に謝罪する羽目になりそうで怖いのたけれど。
「……い、一応聞いておくわ」
「なんでおっかなびっくりなのさ……まぁいいさ、はいこれ」
「? なにこれ?」
アンジュから渡された書類の束を受け取り、なんのもなしにそれを捲って内容を──
「──っ?!」
──最初の一枚を読んで即座に周囲を警戒し、誰も居ない事を確認してから速やかに懐に仕舞う……なんて物を手に入れてるのよ。
「驚いてくれた?」
「……えぇそりゃもちろん……とんだサプライズもあったものよ」
「あっ、あっ、痛い痛い!」
アンジュのこめかみを拳でグリグリとしながら廊下を歩き、さっさとこの屋敷から出る事を目標とする……ゼイポ騎士爵の嫌がらせといして、お見送りすら無いのが今は都合がいい。
この書類の事実と合わせてどう動くか……リーゼリットやお婆さんに話す訳にもいかないし……。
「……いいアンジュ? この書類の内容は誰にも話しちゃダメよ?」
「わかってるて!」
「ならよろしい」
出入り口が近付いてきたため、アンジュの頭から手を離して何事もなかったのように振る舞いながら外へと出る……疎らに見かける使用人達の視線を気にしつつ、足早に屋敷から出てリーゼリット達の居るホテルを目指す。
「とりあえず周囲は僕が見ておくからさ、ホテルに着く前に読んじゃいなよ」
「……そうね、そうするわ」
今はアンジュの言葉に甘えて書類の束を捲っていく……読めば読むほど頭が痛くなってくるこの紙とインクの塊にうんざりとする。……よくもまぁ、こんな厳重に保管されてそうな物を手に入れる事が出来たわね?
「……はぁ」
「それで? その書類を読んだ感想は?」
「最悪の一言ね……下手をしたら、ここら一帯が海に沈むわ」
まさかホラド伯爵が肥沃する褐色の大地と通じていたなんて……本当にきな臭くなってきたわね? まだ分からない事は多いけれど、狩人として動かないといけないわ。
「……ちなみにだけど、どうやってこの書類の束を手に入れたの?」
「ん? これだよ?」
「……まさかそれで?」
「うん、これでちょちょいっと」
そう言ってアンジュが取り出したのは先の形状が様々な種類用意された、明らかに盗賊なんかが使っていそうなピッキングツールで……本当にそんな物で貴族の金庫などを突破できたのかは分からないけれど、事実として手元に書類があるのだから……素直に驚く。
「……とりあえずホテルでリーゼリット達と合流するわよ」
「はーい」
……折を見て、バルバトス本部に連絡を取らないといけないわね。私の手じゃ余るし、応援を寄越して貰わないと。
▼▼▼▼▼▼▼
「今戻ったわ……子どもの様子はどうかしら?」
「おかえり、アリシア」
……? あれ、アリシアってばなんだか思い詰めた表情をしてる? ゼイポ騎士爵の所で何か言われたのかな? 本人は何でもない風を装ってるけど、親しい人が見たら『まーた一人で悩んでる』とか感想を抱かざるを得ない顔をしてる。
……まぁこういう時は聞いても教えてくれないけどね。
「お婆さんが言うには今夜には目覚めるだろうってさ」
「……そう、それは良かったわ」
安堵の息を吐きながら、そっと寝ている子どもの横に座り、その手を握りながら頭を撫でるその様はまるで母の様で……本当にアリシアって偶に分からなくなるわね。
まぁ綺麗なものが見れて悪い気はしないし、良いけれどね?
「あれ、お婆ちゃんは?」
「なんか持病だってさ」
「持病? お婆ちゃん持病なんてあったんだ……大丈夫かな?」
アンジュの心配も分からないでも無いけど、あれくらいの年齢の年寄りで何かしらの病気を持ってない方がおかしいからねぇ……多分外の空気を吸いに行っただけじゃないかな?
「あぁ多分──なんでもないわ」
「アリシア?」
「お姉さん?」
「ただの勘違いよ」
何が勘違いなのやら……完全に『しまった!』って顔してるし、絶対に隠してる事があるでしょ? ほら見てみなさい? 私はともかく、アンジュが目をキラキラさせながら『秘密の香りがする……!』とかほざいてるじゃないのよ。
……まぁどうせ? 魔法使いの彼から教わった事で、私達には教えられない事なんでしょうけどね?
「ねぇねぇ、お姉さん? ちょっと教えておくれよ」
「……お婆さんの極度のプライバシーに関わるからダメよ」
「……じゃあ仕方ないか」
今さら誤魔化し切れないと悟ったのか、そんな事を言うアリシアだけれど……極度のプライバシーに関わるって何かしら? アリシアほど魔法使いに詳しい訳では無いけれど、少なくとも帝都の士官学校で学んだ私でもまったく検討も付かないわ。
「とりあえず二人共? 危険だから、暫くは夜は出歩かないで」
「はぁーい」
「? どうして?」
あのアンジュが大人しく言うことを聞くのを少し驚きながらも、アリシアに問い返す……まぁ殺人事件が起きたり、魔法使いが行き倒れているのを発見したりと……立て続けに不穏な事が起きてはいるけれど、別にそれら自体は珍しい事ではないし……。
「……ちょっとヤバい情報をアンジュが手に入れてね」
「ふふーん! どうだい、見直したかい?」
「褒めたいところだけれど、知りたくもなかったわね……」
「……そんなに?」
アンジュはお手柄だけど、余計な事をしたみたいね? アリシアがここまで頭を悩ませているのも珍しい──いやこの親友は結構な頻度で何かしらに悩んでたな。うん。
「とりあえず了解したけれど、アリシアはどうするの?」
「……暫くは夜に出掛ける事になるわね」
「……アリシアは一人で大丈夫なのかい?」
自分で夜出歩くのは危険って言っておいて、自分は一人で出歩くつもりなの? ……それはさすがにちょっとどうかと思うんだけどなぁ?
「夜にしか出来ない捜査があるのと、帝都から信頼できる応援を呼ぶだけだから」
「……本当に危険な事はないんだね?」
「……えぇ、もちろん」
……これは嘘をついてるね。今さらそんな嘘が通じると思ってるなら、ちょっと心外だなぁ……まぁでも警察武官だし、守秘義務も多いんだろうけれど……心配くらいはさせて欲しいよね。
私だって半分軍人だし、戦えない訳じゃないのにさ……自分とアンジュの身を守る程度なら余裕だよ。
「ハァ、仕方ないか……何かあったら空に向けて曳光弾を打ち上げるからよろしく」
「確認したら全てに優先してでも駆け付けるわ」
「そっちも何かあったら打ち上げてよ?」
「約束するわ」
「ならよし」
あーあ、私も警察武官ほど武器の携行が許可されてたらなぁ……武装司書程度だとナイフが二本に、拳銃が二丁、威力小さめのフラッシュバンが五つ程度だもんねぇ……弾倉も少ないし、警察武官のアリシアに比べて足でまといになるのは仕方ないか。
「……アリシア、本当に気を付けてね? アンタってば、何かしら任務がある度に怪我して帰って来るだから」
「……ふふ、分かったわ」
「お姉さん達、仲良いんだねぇ」
「まぁね?」
とりあえずアリシアからは『気を付ける』っていう言質は取ったし、後は親友を信じるだけね……まぁアリシアには〝魔法使いの彼〟が居るから、大丈夫でしょうけどね。……ちゃんと護りなさいよ? 顔も知らないけど、しくじったらボコボコにしてからね。
「くしゅん!」
「おや風邪かい?」
「いや、大丈夫だ……それよりも早くリーシャを見てくれ」
「はいはい……余命幾ばくもない老婆をこき使いおってからに」
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