リフレイン

桃瀬わさび

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本編

リフレイン 〚キサ〛

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ずるりとカナがずり落ちそうになって、華奢な体を抱き上げた。
泣かせてしまった。
カナはよく泣くけど、快感以外で泣くところをみたのはあまりない。泣いたのは、ゲイだと告白したときと、俺が屋上でカナリアを歌ったとき、元ボーカルに襲われそうになったときと、今日。
前の2つはどちらかと言えば安心や喜びの涙だったし、元ボーカルのときは泣いたことにさえ驚いていた。本当に泣かせたのは今日が初めてかもしれない。
全力の抵抗と、部屋の隅っこでまるまる姿。
布団越しでも震えは伝わって泣いてることはわかるのに、きっと声を堪えていたんだろう。
そう思ったらたまらなかった。

―――欲に駆られて好きなやつを泣かせてどーする。


汗ばんで貼り付く髪をかきあげてやり、頬を伝う涙をぬぐう。
あの動画を見て、カナリアを見て、真っ赤になったカナがかわいすぎて抑えがきかなかった。
触れると震える華奢な体に溺れるようにキスを落として。
ほぐしてない、という言葉に、やはりいつもほぐしてたのかと思い、すまなさそうに俯く姿に苛立った。
『男で、面倒でごめん』
そんなふうに聞こえてきそうな姿に、俺はカナと繋がるための準備を面倒だなんて思わねーのに、と苛立つまま、敢えて恥ずかしい体勢をとらせ、舐めてほぐそうとして。
そこからの、抵抗と、本気の号泣。熱く昂ぶっていた体は一気に冷え切った。
好きなやつを泣かすなんて最低だ。
そう思うのに、おいでと呼べば抱きついて泣く、そんなカナが愛しくて。

丸まって眠る小鳥を抱きしめて、額にひとつキスを落とす。
カナが起きたら、なんと言って謝ろうか。





カナが起きたのはすっかり日が暮れた頃だった。
身動(みじろ)ぎをして、ふわっと目を開けて、俺を認めて嬉しそうに笑う。
―――泣かせたのは俺なのに。

「すまない。」

抱き込んで耳に吹き込めば、ようやく目が覚めたのだろう、狼狽えたカナがもぞもぞと動く。
ピンクの髪は、出会った頃よりすこし長い。そこから覗く耳が真っ赤に染まっている。

「ぁの、俺こそ、その、ごっ、ごめん!」
「いや俺が全面的に悪い。カナと繋がりたくて、事を急いた。」

ばっと俺を見上げた顔は、真っ赤だ。目も潤んできらめいて、こんなときなのにふらふらと口付けたくなる。
すぐに恥ずかしげに目を伏せて、何かを逡巡するように視線を彷徨わせて、枕元に手を伸ばした。
小箱から取り出したのは、ローション。中身が半分くらいに減っている。

「あのっ、………いつもは、コレ、使ってて、それで、」
「してもいいのか?」

こくんと頷いたカナをぎゅうっと腕に閉じ込めた。
優しくすると耳に吹き込んで、そっと背中を撫で下ろす。
今度は、快感だけを、感じさせたい。





なるほど、まったくほぐれていないところからほぐすのは、確かに手間なのかもしれない。だが俺にとってこんなに楽しい作業はない。
見えないと傷つけそうだとなだめすかして、俺の上に逆さに跨がらせた。
かわいらしい花芯から、尻のあわいにひっそりと咲く蕾まで丸見え。
その蕾は、今は上手に二本を咥え込んでいる。
ぐじゅりとナカを広げるように指を広げ、弱いところを擦りながら内壁にローションを揉み込む。
その都度体を震わせて、控えめな喘ぎ声をあげるカナを、はやく俺ので串刺しにしたい。
ぶるぶると腕を震わせながら、ときどき俺のに口付けたりするから、無理矢理に突っ込みたくもなる。

「っ、カナ、あんま煽んな。」

ちゅうっと先端に吸い付かれて、カリ首をぺろりと舐められて、理性の糸が焼き切れそうだ。
半ば強引に三本目を突っ込めばカナが腰を引いて逃げようとして、それを捕まえて奥まで挿し込む。
腹に濡れた感触。―――ナカだけでイッたのか。
興奮に目の前が赤く染まって、突っ込んだ指で前立腺をかりりと引っ掻いた。指を広げながら出し入れを繰り返すと、蕾が応えるように花開いていく。
極上の楽器のような悲鳴をあげるカナの乳首を捻り上げ、かくんと腰を落としたカナの、放ったばかりの敏感な花芯に軽く歯を立てる。

「ぃ、ぶきぃ…………も、」

頭をぶんぶんと振ったカナが、ぐずぐずと泣きながら俺のそれに歯を立てた。
甘えるような、欲しがるような、そんな甘噛みに、理性なんて残るはずない。
指を一気に引き抜いて、カナをくるりと抱き上げた。
大きく脚を開かせ、柔らかいそこに先端を押し当てて少しずつ埋め込んでいく。
まだ少しキツいのだろう、必死に息を吐くカナのくちびるにキスをして、深く深く繋がった。

「ぁ………入っ、た、」

こつんと奥に行き当たって身を震わせたカナが、ふわふわと揺れる視線で結合部を見る。
俺のを確かめるようにするりと腹を撫でるから、ぐじゅりと奥まで突き上げた。

―――今のは、カナが、悪い。

肩を押しやり後ろ手に手をつかせてごりごりと突き上げる。
前側の弱いところを擦り上げて、奥まで。突き上げる度に跳ねる腰を押さえつけて、ぐりぐりと奥を嬲り、ふるふると震える花芯をぴんと弾く。
壊れたように白濁をこぼし続ける先端に爪を立てたら、ひときわ高くカナが啼いた。

そこからは、もう、欲望のまま。
身勝手に奥に放っては、そのぬめりでさらにカナを責め立てて。
ようやく理性を取り戻した時には、カナもシーツもひどい有様だった。




やっちまった。
いつも手加減してたのに、完全に貪り尽くしてしまった。

くったりとカナが力を失うと、いつもはそこで止まることができるのに。
今日はそれでも止まらずに、カナが眠っても貪り続けた。
ちゅうちゅうと吸い付くような奥にぬぷぬぷと先端を押し付けて、力が抜けてひたすらやわく包みこむ内壁を腰を揺らして味わって。
ずるりとナカから引き抜いたら、とぷりと白濁が溢れた。慌てて拭いても後から後から垂れてくるそれにまた劣情が湧き上がり、もう一度俺ので栓をして、今もまだ繋がったまま。
体の上に抱き上げて抱きしめて、それでも目覚めないカナの頬をつつく。
本当は後始末をすべきなのだろう。だけど今はこのかわいい生き物から、少しだって離れたくはなくて。

ぬくい体を抱きしめて、俺もまどろみに落ちていった。


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