リフレイン

桃瀬わさび

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本編

会いたかった 2 〚カナ〛 *

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「カナ。」

ふたりっきりになるのは、いつぶりだろうか。
俺の家に来て、玄関に入った途端抱きしめられた。
会いたかったって言うみたいに、ぎゅうぎゅう抱きしめて。

―――ああ。キサちゃんのにおいだ。

甘く掠れた低い声で俺の名前を呼ぶから、キスがしたくてそっと服を引っ張った。
顔をあげてくれたキサちゃんに、背伸びをして口付ける。
重ねるだけの、子供みたいなキス。
それはすぐに、貪るようなキスに変わった。

もどかしく靴を脱いでもつれ合うようにベッドに倒れ込み、心が急かすままに服を脱がし、脱がされていく。
まだ、昼下がり。
陽の差し込む部屋は明るいけれど、空気はとろりと淫靡にまとわりつく。
下着ごとズボンが降ろされて、おしりに手が掛かった。
朝十分に洗ってほぐしたそこを、キサちゃんの指が性急にまさぐり、つぷりと差し入れてかき混ぜる。

「やわらかい」

くにゅ、とナカで鉤状に指を曲げて、確かめるように壁を擦って。
こうなると、もう、だめだ。キサちゃんが指を動かすたびに悲鳴を上げて、快感に身を震わせるだけ。
焦らされてるのかと思うほど念入りにほぐされて、ぼろぼろと涙がこぼれてしまう。

「……っ、キサちゃ、………もっ、………ゃく」

はやく、きて。つながりたい。
ゆらりと手を伸ばせば、キサちゃんの目が鋭く光った。
指をずるりと引き抜いて、おおきいものを押し当てて、ゆっくりゆっくり隘路をひらく。
きつい。
久しぶりだから、狭くなったナカをじりじりとキサちゃんが進んでくる。
顔中にキスを落として、指を絡めて、俺をすっぽりと覆い隠して。
首に、鎖骨に、ちくりとした痛み。

「ぁっ…、キサちゃ……!」
「カナ。違うだろ?」

おおきいのがナカのいいところを掠めて身を捩ったら、キサちゃんがそこばっかりを責め立てる。
こねるみたいに腰を揺らして、抉るように突き上げて、けど、奥までは、来てくれない。
もっとふかく、つながりたいのに。

「ぃ、ぶきっ………!んっ、………おく、」
「良く出来ました」

ずんっと奥まで突き込まれて、目の前がちかちかと明滅する。
ぐりぐりと奥を嬲られて、悲鳴をくちで塞がれて、びくびくと身体が跳ねるまま。

「っは、カナ。エロい。」

ずっとイッてんの?ナカ、すげぇきゅうきゅうしてる。


言わないで。
甘く掠れた声で囁いて、熱のこもった瞳で俺を射抜いて。ぞくぞくと快感が駆け上っていく。

ぐじゅりと前を触った指が、とぷとぷとあふれる蜜を掬った。
敏感な先端に触れられて啼いた俺をキサちゃんが笑い、掬ったそれを、俺に見せる。
きれいな手にべっとりと白濁がついて、恥ずかしくてぶわっと顔が熱くなった。
キサちゃんがそれを見て愉しげに笑って、その手に顔を寄せて。
ま、待って………!!


「濃いな。」

掌から指先まで、舐めあげて笑う。
混乱と羞恥にぼろっと泣いたら、キサちゃんが笑った。

カナ、かわいい。


そんなことを耳に吹き込んで、色っぽく笑って。
そのまま激しく動き出すから、ただただ翻弄されるしか、なかった。







いい匂いで目が覚めた。
ギターを弾く時以外は開けっ放しのドアの向こうに、キサちゃんのきれいな背中が見える。
広い背中に、しなやかな筋肉。もう12月も近いのに、上半身裸で寒くないのかな。

―――ていうか、この匂い、もしかして、

寝起きで働かない頭のまま起き上がろうとしてもぞりと動く。
腰に力入んないな。あ、キスマーク。つけてくれたの初めてだ。
俺がキサちゃんのものだっていう、しるしみたい。

妙に嬉しくて笑ったら、キサちゃんが振り向いた。

「カナ。平気か?」

悪いがっついた、なんて言いながら俺を抱き込んで、頭のてっぺんにキスをする。
うう。キサちゃんが甘い。いつもそうだけど、久しぶりのせいか、なんかいつもより甘い気がする。
メシ作ったけど食うか、なんて言われて、返事より先にお腹が鳴った。

「いい返事だ。」

ふっと笑って、くしゃりと髪をかき混ぜて、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。
抱き起こして、腰に枕を当てて、ごはんまで持ってきてくれるとか。俺、べつに病人じゃないのに。
くすくすと笑ってキサちゃんにひっついて、むずむずするほどの幸せを噛み締めた。





ごはんはすごく美味しかったけど、ちょっと叱られた。
冷蔵庫の中空っぽだけどいつも何食ってんの、って言われてもっぱらコンビニか外食と答えたら、呆れた顔で「だからちっこいんだ、ちゃんと食え」なんて。
小さいって言っても165はぎりぎりあるし、どっちかっていうとキサちゃんが大きいんだと思うんだけど。(身長聞いたら190はぎりぎりないって言ってた。ってことは、189とか?でっかい。)

「ね、会えなかったのって、今日の話のせい?」
「いや、あれは片手間。単純に受験勉強。」

片手間。受験勉強。
なんか何から突っ込んでいいかわからずに黙り込んだら、キサちゃんに紙を渡された。
?……模試の、結果?…………はぁ!?なにこれ!?

「担当に勧められて志望校を変えたからな。“plena”の活動がしやすいほうがいいだろ。」

うん、その理屈はわかる。授業休んだらレポート対応とか振り替え授業とか、うちの大学もやってくれるし。でも、理屈はわかるんだけど、ここ!?
進学校と呼ばれるうちの高校からでも、毎年数人しか受からない超難関。その大学名の横に燦然と輝くAの文字。…………ここがA判定とか、嘘でしょ。
この分だとまずセンター出願で受かるだろうから、2月くらいから活動に専念できる、って。そりゃあそうだろうね!この模試はセンターよりよっぽど難しいって言われてるもんね!判定も鬼で、A判定は存在しないとか言われてるもんね!存在したんだね!

しかし、夏まではあんまり勉強している素振りもなく、会わなくなってからの2ヶ月でこの結果。もともと成績は良かったみたいだけど、夏に志望校上げるとか聞いたことない。さすがのキサちゃんでも、簡単ではなかっただろう。
いったいどんだけ頑張ったんだろ。

「カナに会うためだからな」

心配して見上げたら、そうやって優しく笑われて撃沈した。
うう。もう。キサちゃんは、ほんと、人たらしだ。








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