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ていむスライム3
しおりを挟むまた妙に寒くて目が覚めた。
ああくそ、と眉間に皺を寄せながらベッドをまさぐり、その冷たい感触に飛び起きる。
その拍子でぱさりと毛布が落ちて、冷気がすうっと肌を撫でた。
あいつがいない。
いつも俺が起きるとすぴょすぴょと間抜けな寝息を立てているのに。
毛布をぜんぶぶんどられて、寒くて起きることも珍しくないのに。
慌ててベッドから飛び降りようとしたところで、窓の近くにいるのを見つけた。
こちらに背を向けてぼうっと何かを見つめていて、その頼りない姿に眉根を寄せる。
これだけ寒いのに寝巻きの裾からはすらりとした生脚が覗いていて、見ているだけで寒々しい。
背後に忍びよって抱き寄せると、小さな身体は冷えきっていた。
「おい、何してる」
「あ、ごしゅじんさま、おっはよー」
「まだ夜だから、こんばんはだ。何見てたんだ?」
「えへへー、見て見て、これ、くびわみたい!」
俺の肩に後頭部を預けるようにして、顔いっぱいでふにゃふにゃと笑う。
その指は首に浮かんだ黒い紋様を指していて、思わず眉間に皺を寄せた。
……首輪みたいというのは、果たして喜ぶところなのか。
刻みつけた俺のほうは、罪悪感と昏い喜びとがちょうど半々くらいなんだが。
「ああ、似合ってる。……おそろいだ」
ほら、と同じ紋様の刻まれた左手首を差し出してやると、その手がぎゅっと握られた。
大きな目でまじまじとそこを見つめて、また窓のほうへと視線を向けて―――外が暗いせいで室内を映し込んでいるそれを、鏡のように使っているらしい。
忙しなく視線を行き来させたと思ったら、勢いよく振り向いて思い切り飛びついてくる。
こいつくらい軽ければびくともしないが、驚くからせめて前置きはしろ。
「……お前なあ…………」
「おそろい! はじめて!」
「おーおー、初めて初めて。発音へったくそになってんぞ、落ち着け」
「すき!」
……それは、おそろいが好きと言う意味か、俺が好きという意味か。
ぎゅうぎゅうと抱きついてくる背中をぽんぽんと叩き、そのままベッドに連れ戻す。
ただでさえひんやりとしたスライムの身体が、今はすっかり冷えきっている。
いったいどれだけ眺めていたんだか。
「わかったから、寝ろ。おはようは朝だろ」
「くっついていい?」
「ちょっとだけな」
と言った瞬間俺の腹の上に乗っかって、ぺたりと伏せてふにゃりと笑う。
……それは全然、ちょっとだけじゃないだろ。
昨日こうして眠ったせいで、妙なことを覚えたらしい。
やれやれとため息を吐いて毛布を掴み、スライムを包み込んでやる。
重いし邪魔だし寝づらいが、こうしていると寒くはない。
これも悪くないかと小さく笑って、さらさらした髪をそっと撫でる。
俺の体温に馴染んだ身体を抱きしめていれば、朝までよく眠れそうな気がした。
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いいですねぇ(*´﹃`*)
面白かったです!スライムくんの天然が好き…♡
続き読みたいなー、なんて思います
コメ失礼しました
感想ありがとうございます!!!
続きは今のところないのですが、また思いついたら投稿させて頂きます🙏✨