ぼくはスライム

桃瀬わさび

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ぼくはスライム 4

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あれ。ぼく、どうなったんだろ?
いっぱいを超えて呑み込んで、体がばらばらになったのに、なんでまたぽよぽよしてるんだろう?
それにちょっと大きくなってる?
いっぱい食べてふとったのかなぁ?

ぽにゅぽにゅ跳ねて確認してたら、ご主人さまが戻ってきた。
ぼくを見ていっしゅん固まって、すぐにぎゅうぎゅう抱きしめてくる。
ぽよぽよだから苦しくないけど、ちゅうぶらりんで変な感じ。おててがないとぎゅーもできない。
むーんと気持ちを集中して、前とおなじニンゲンになった。
けど、やっぱりちょっと大きくなってて、頭の先がご主人さまの肩くらい。

あ。しまった。

ご主人さま、小さい方が良かったんだっけ。


「ねーねーご主人さま、ぼく大きくなっちゃった」
「……そうだな。ヌシのコアを入れたからな」
「えっ、それってあのきらきらしたやつのこと?たくさんのお金になるんでしょ?」
「…………この馬鹿」

ぐしゃりとご主人さまが顔をゆがめて、またぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。
肩のあたりが濡れたんだけど、もしかしてまた水が出てるのかな。
どういうしくみで出るんだろう。

「無事で、よかった」
「えへへ、ご主人さまもー」

ぎゅうぎゅうとご主人さまに抱きついて、ぐりぐりと頭をこすりつける。
難しいことはよくわかんないけど、ご主人さまは元気みたい。
だったらあとは、なんでもいいや。


にへーと笑って見上げたら、ご主人さまが口をぱくりと食べてきた。


……これは、なんて言うんだろう?



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