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15. これは罰だからね
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「んっ……やめ、て……ください」
沸騰する直前のお湯みたいに、自分の内側から沸々と湧きあがってくる快感の泡に目を背けて、琴子は拒絶の言葉を絞り出した。
「やめていいの? こんなに固くなってるのに」
サクちゃんに触れられてからそんなに時間も経っていないというのに、琴子の胸の先はすっかり固くなってしまっている。痛いくらいに敏感になったソコをぴん、と弾かれて、
「あぁ……っ!」
琴子は思わず声をあげて身をよじった。
彼女の反応に気をよくしたのか、サクちゃんはグリグリとその膨らんだ先端を指の腹で押しつぶしてくる。
「や……だめ、それ……」
だめ。やめて。
ジワジワと与えられる快感のなかで、琴子は願った。
だめ。やめて。
そうやって触られるの……好きなの。
気持ちいいの。気持ちいいから。気持ちよすぎて――
我慢できなくなっちゃう……!
「やぁ……っ! だめって、言ってるのに……それ、やめて……」
琴子がどれだけお願いしても、
「はいはい、もっとね」
鴻上はもちろん聞き入れてはくれない。
それどころか、爪の先でカリカリ、と新たな刺激を与えてくるもんだから――
「んぅ……っ、や、ぁ、あぁ……」
声が、声が……琴子の意思とは無関係に溢れ出てきて……止まらない。抑えられない。
仕事中なら絶対に出さないような甘ったるい声が室内に反響していて、琴子は思わず自分の耳も鴻上の耳も塞ぎたくなる。
これが「サクちゃん」なら、サクちゃんの前だったら、いくらでも気兼ねしないで乱れることができた。
だって、彼は知らないヒトだから。
名前すらろくに知らない……身体にしか用のない男だったから。お互いに。
だけど、いまは違う。
彼の名前を知ってしまった。
その素性も、職場での姿も。
もう何も知らなかった頃のように、ただの「肉体」として欲望のままに欲することはできないし、してはいけないのだ。
なのに――
「はぁ、っ……! あ……ぁ、んぅ……あっ…あ…」
今にも弾けてしまいそうなほど膨れあがった赤い実を鴻上が口に含んで、ちゅうぅぅ……とキツめに吸い上げた。
少し痛いくらいのその刺激に、琴子の身体が反応する。疼いて疼いてたまらない。
ダメだ。
この男は熟知しているのだ。琴子の身体を。もしかしたら琴子本人よりも。
琴子の身体の中心にほわりと情欲の火が灯る。
こうして灯った小さな火が、サクちゃんに触られるうちに、どんどんどんどん大きくなって、やがて身体全体に燃え広がっていくことを、琴子は長年の経験から知っていた。
だから早めに消さなくてはいけないのに……。
琴子はもどかしくて太ももを擦り合わせた。
「ごめんごめん。そろそろこっちも触ってあげないとな」
琴子の動きを見逃さなかった鴻上がスカートをめくり上げて太ももの内側をすりすりと撫ではじめた。
その手は脚の付け根のきわどいトコロを軽く掠めては離れていく。
さらなる刺激への期待で琴子の内側から女の蜜がとろりと染み出してくる。
「かちょ、う……だめ、です……もう、これ以上……は」
理性を保つために、琴子は敢えて鴻上の肩書きを口にした。
「だから『課長』はやめてくれ、って。でも職場での控えめで大人しい『咲坂さん』を知ってると、逆に萌えるな。これは新しい発見だ」
サクちゃん……じゃない、鴻上課長が感心したように琴子を見下ろす。
「もっと聞かせて。咲坂さんの可愛い声」
琴子の耳元で鴻上が囁く。そして――
「ひゃあ……っ!」
ふいに強烈な刺激がもたらされて、ひときわ高い嬌声を上げてしまう琴子。
目線を下げると、鴻上の指が琴子の股のあいだに挿し込まれているのが見えた。
乳首にしたのと同じように、いちばん敏感な芽をグリグリといじくってくる。
「やっ、だめ……だめです、そこは……」
琴子がうわ言のように繰り返しても、
「嘘つき」
鴻上は軽く一笑に付すだけで、指の動きを止めようとはしない。
「や、だめ……だめ、って……言ってる、のに……!」
琴子は「だめ、だめ」と言いつづけたけれど、それが本心ではないことは自分でも嫌というほど充分わかっていた。
鴻上の言ったことは当たっている。
いまの琴子は嘘つきだ。
その証拠に、腰が……もっともっと、とでもいうようにイヤらしく蠢いている。
「やめてほしい」なんて、嘘。
もっと、もっと、もっと。
もっと強い刺激が欲しかった。
なのに――
「しょうがないなぁ。そんなにダメダメ言うなら、この辺でやめておくよ」
そう言うやいなや、鴻上は身を起こして、琴子から離れていった。
「…………え」
ついさっきまで、あれほど琴子を弄んでいたイタズラな指もさっさと離れていってしまう。
「え? え? え?」
琴子の身体はじゅくじゅくと熱を持ったまま唐突に放置された。
「やっ……! だめ、やめない、で……やめちゃ、だめ……!」
琴子は思わず懇願した。
自分でも驚くほど切実な声だった。
手首の拘束がなければ、鴻上に追い縋っていたかもしれない。
こんなにも理性が吹き飛んでしまったのは大量に摂取したアルコールのせいなのか。
違う。
サクちゃんのせいだ。
琴子の思考を置き去りにして、身体が勝手に悦んでいる。
「俺が欲しい? 咲坂さん」
鴻上が琴子の脚のあいだに顔を埋めて尋ねた。熱い呼気が当たって、琴子の秘部がヒクヒクと震える。
「欲しい?」
「…………」
「欲しいか、って聞いてるんだけど」
「…………はや、く」
琴子の声が掠れた。
「ちゃんと『欲しい』って言って。じゃないと……」
途中で口をつぐんだ鴻上が顔を上げる。
「あっ……」
離れていくぬくもりが切なくて泣きそうになる。琴子は目に涙を溜めながら、鴻上の顔を一心に見つめた。
「そんなに欲しいんだ?」
琴子が目の動きだけで微かに頷いてみせると、鴻上が相好をくずした。穏やかに綻んだ表情に琴子の胸がドクンと音を立てる。しかし。
「でも、ダメ。あげないよ」
鴻上がペロリと舌でも出しそうな調子で言ってのけた。
「…………へ?」
思ってもいなかった返答に、琴子の口から気の抜けた声が漏れた。
「当たり前だろう。さすがに部下に手を出すのはマズいよ。しかも社長の息子さんの婚約者に」
呆気に取られる琴子に向かって、鴻上がニコリと微笑んでみせる。整った容貌がくしゃりと歪んだ。
「これは罰だからね、サキちゃん。こう見えて俺はけっこう傷ついてるんだよ」
沸騰する直前のお湯みたいに、自分の内側から沸々と湧きあがってくる快感の泡に目を背けて、琴子は拒絶の言葉を絞り出した。
「やめていいの? こんなに固くなってるのに」
サクちゃんに触れられてからそんなに時間も経っていないというのに、琴子の胸の先はすっかり固くなってしまっている。痛いくらいに敏感になったソコをぴん、と弾かれて、
「あぁ……っ!」
琴子は思わず声をあげて身をよじった。
彼女の反応に気をよくしたのか、サクちゃんはグリグリとその膨らんだ先端を指の腹で押しつぶしてくる。
「や……だめ、それ……」
だめ。やめて。
ジワジワと与えられる快感のなかで、琴子は願った。
だめ。やめて。
そうやって触られるの……好きなの。
気持ちいいの。気持ちいいから。気持ちよすぎて――
我慢できなくなっちゃう……!
「やぁ……っ! だめって、言ってるのに……それ、やめて……」
琴子がどれだけお願いしても、
「はいはい、もっとね」
鴻上はもちろん聞き入れてはくれない。
それどころか、爪の先でカリカリ、と新たな刺激を与えてくるもんだから――
「んぅ……っ、や、ぁ、あぁ……」
声が、声が……琴子の意思とは無関係に溢れ出てきて……止まらない。抑えられない。
仕事中なら絶対に出さないような甘ったるい声が室内に反響していて、琴子は思わず自分の耳も鴻上の耳も塞ぎたくなる。
これが「サクちゃん」なら、サクちゃんの前だったら、いくらでも気兼ねしないで乱れることができた。
だって、彼は知らないヒトだから。
名前すらろくに知らない……身体にしか用のない男だったから。お互いに。
だけど、いまは違う。
彼の名前を知ってしまった。
その素性も、職場での姿も。
もう何も知らなかった頃のように、ただの「肉体」として欲望のままに欲することはできないし、してはいけないのだ。
なのに――
「はぁ、っ……! あ……ぁ、んぅ……あっ…あ…」
今にも弾けてしまいそうなほど膨れあがった赤い実を鴻上が口に含んで、ちゅうぅぅ……とキツめに吸い上げた。
少し痛いくらいのその刺激に、琴子の身体が反応する。疼いて疼いてたまらない。
ダメだ。
この男は熟知しているのだ。琴子の身体を。もしかしたら琴子本人よりも。
琴子の身体の中心にほわりと情欲の火が灯る。
こうして灯った小さな火が、サクちゃんに触られるうちに、どんどんどんどん大きくなって、やがて身体全体に燃え広がっていくことを、琴子は長年の経験から知っていた。
だから早めに消さなくてはいけないのに……。
琴子はもどかしくて太ももを擦り合わせた。
「ごめんごめん。そろそろこっちも触ってあげないとな」
琴子の動きを見逃さなかった鴻上がスカートをめくり上げて太ももの内側をすりすりと撫ではじめた。
その手は脚の付け根のきわどいトコロを軽く掠めては離れていく。
さらなる刺激への期待で琴子の内側から女の蜜がとろりと染み出してくる。
「かちょ、う……だめ、です……もう、これ以上……は」
理性を保つために、琴子は敢えて鴻上の肩書きを口にした。
「だから『課長』はやめてくれ、って。でも職場での控えめで大人しい『咲坂さん』を知ってると、逆に萌えるな。これは新しい発見だ」
サクちゃん……じゃない、鴻上課長が感心したように琴子を見下ろす。
「もっと聞かせて。咲坂さんの可愛い声」
琴子の耳元で鴻上が囁く。そして――
「ひゃあ……っ!」
ふいに強烈な刺激がもたらされて、ひときわ高い嬌声を上げてしまう琴子。
目線を下げると、鴻上の指が琴子の股のあいだに挿し込まれているのが見えた。
乳首にしたのと同じように、いちばん敏感な芽をグリグリといじくってくる。
「やっ、だめ……だめです、そこは……」
琴子がうわ言のように繰り返しても、
「嘘つき」
鴻上は軽く一笑に付すだけで、指の動きを止めようとはしない。
「や、だめ……だめ、って……言ってる、のに……!」
琴子は「だめ、だめ」と言いつづけたけれど、それが本心ではないことは自分でも嫌というほど充分わかっていた。
鴻上の言ったことは当たっている。
いまの琴子は嘘つきだ。
その証拠に、腰が……もっともっと、とでもいうようにイヤらしく蠢いている。
「やめてほしい」なんて、嘘。
もっと、もっと、もっと。
もっと強い刺激が欲しかった。
なのに――
「しょうがないなぁ。そんなにダメダメ言うなら、この辺でやめておくよ」
そう言うやいなや、鴻上は身を起こして、琴子から離れていった。
「…………え」
ついさっきまで、あれほど琴子を弄んでいたイタズラな指もさっさと離れていってしまう。
「え? え? え?」
琴子の身体はじゅくじゅくと熱を持ったまま唐突に放置された。
「やっ……! だめ、やめない、で……やめちゃ、だめ……!」
琴子は思わず懇願した。
自分でも驚くほど切実な声だった。
手首の拘束がなければ、鴻上に追い縋っていたかもしれない。
こんなにも理性が吹き飛んでしまったのは大量に摂取したアルコールのせいなのか。
違う。
サクちゃんのせいだ。
琴子の思考を置き去りにして、身体が勝手に悦んでいる。
「俺が欲しい? 咲坂さん」
鴻上が琴子の脚のあいだに顔を埋めて尋ねた。熱い呼気が当たって、琴子の秘部がヒクヒクと震える。
「欲しい?」
「…………」
「欲しいか、って聞いてるんだけど」
「…………はや、く」
琴子の声が掠れた。
「ちゃんと『欲しい』って言って。じゃないと……」
途中で口をつぐんだ鴻上が顔を上げる。
「あっ……」
離れていくぬくもりが切なくて泣きそうになる。琴子は目に涙を溜めながら、鴻上の顔を一心に見つめた。
「そんなに欲しいんだ?」
琴子が目の動きだけで微かに頷いてみせると、鴻上が相好をくずした。穏やかに綻んだ表情に琴子の胸がドクンと音を立てる。しかし。
「でも、ダメ。あげないよ」
鴻上がペロリと舌でも出しそうな調子で言ってのけた。
「…………へ?」
思ってもいなかった返答に、琴子の口から気の抜けた声が漏れた。
「当たり前だろう。さすがに部下に手を出すのはマズいよ。しかも社長の息子さんの婚約者に」
呆気に取られる琴子に向かって、鴻上がニコリと微笑んでみせる。整った容貌がくしゃりと歪んだ。
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