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4. よくできました
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二人は風呂から出ると、軽く水気だけ拭って、そのままベッドへと直行した。
さっき湯船に浸かっていたときと同じように、ベッドの上で琴子はサクちゃんの固い胸板へ凭れかかる。
背後からまわされたサクちゃんの手がやわやわと琴子の胸をまさぐってくる。
「んぅ……っふ、ぅ……ぁ、んん……は、ぁ」
大きくて熱い手のひらに揉みしだかれるたびに、琴子の口から悩ましげな声が漏れた。
やがて片方の手が琴子の腹をなぞって脚の付け根へと下ろされていくと、サクちゃんの節くれだった長い指が、ぬぷり、と琴子の深部へ沈んでいく。指の動きに合わせて、くちゅくちゅ、というイヤラしい水音が室内に響く。
お腹の奥のほうからドロドロとした蜜が次から次へと溢れ出てくる。
サクちゃんの指に翻弄されるまま、どうしてこのひとの指はこんなに気持ちイイんだろう……と琴子は不思議に思う。
何回もシてるのに、全然飽きない。
これまで「もう会わないようにしよう」と決めて「二度と連絡しない」と誓ったことが何回かあった。だけど一ヶ月もすると、どうしようもなく欲しくなってしまうのだ。サクちゃんの身体が。
「そろそろ挿れていい?」
頭の上からサクちゃんの声が降ってきた。
少し掠れているのは劣情のためだろうか。だったらいいのだけれど。もし自分ばかりが一方的に欲しがっているのだとしたら、なんか嫌だし。
すでに思考が蕩けはじめている琴子は頷くより先に自ら彼に向かって脚を開いてみせる。
サクちゃんは琴子の脚のあいだに膝をつくと、彼女に覆いかぶさるようにして距離をつめていく。
サクちゃんの唇が触れる瞬間、琴子の目にサクちゃんの顎にあるホクロが映った。いまはメガネをしていないせいで琴子の視界はぼやけていたけれど、さすがにこれだけ近づけば目に入る。
「このホクロ好き」
琴子は舌を出してサクちゃんの顎のホクロをひと舐めしてから、彼の唇を迎え入れた。
激しく舌を絡ませながら、琴子はまた思う。
どうしてこの人の舌はこんなに気持ちがイイのだろう……と。
それにしても「挿れていいか」と訊いておきながら、サクちゃんはなかなか挿入ってこない。さっきからずっと浅いトコロを行ったり来たり。
「んっ……!」
サクちゃんの先っぽがときどき敏感な肉芽を掠めるから、そのたびに琴子は物欲しげに腰を浮かせる羽目になる。
この男……また焦らしてる。
「ねぇ、ちょっと……」
琴子が不満を訴えようと唇を尖らすと、
「ん?」
サクちゃんが素知らぬ様子で首を傾げる。
「どうしたの、サキちゃん? 涙目になってる」
子供をあやすみたいに言って、サクちゃんは面白そうに琴子の目を覗きこんだ。
あー、ムカつく。この男、本当に……
「いじわる」
琴子がサクちゃんに恨みがましい視線を送ると、
「なにが? 俺のなにがいじわるなのかなぁ? サキちゃんはどうしてほしいの? ちゃんと言ってくれないとわかんないよ」
「あぁ……っ!」
さんざん焦らされて破裂しそうに膨らんだ肉芽をぐりっと押しつぶされて、琴子の口から悲鳴にも似た嬌声が迸った。
「もう……挿れて、はやく。お願い……!」
最後はもう懇願だった。
自分のものとは思えないくらい媚びを含んだ甘ったるい声。
切なくて、もどかしくて、恥ずかしくて……琴子の目から溜まっていた涙がこぼれ落ちる。
これじゃあまるでお預けをくらった犬みたいだ。
こんな姿……あの人には絶対に見せられない、と琴子は思った。恥も外聞も捨てて、みっともなく欲しがる姿なんて。
「よくできました」
嬉しそうに笑ったサクちゃんが琴子の頬に手を添える。彼の手のひらが触れた部分からじんわりと熱が広がる。
「ひゃ……っ!」
入り口で抜き差ししていたサクちゃんの肉棒がずぶっとひと息に押し込まれて、琴子の身体が大きく撓った。
「俺ももう限界だった」
笑いながら言ったサクちゃんがようやく動きはじめる。
「あっ、あ、んっ……あ、ぁ……は、んぅ……んぁ…………」
サクちゃんに動きに合わせて、琴子は鳴きつづけた。言葉を知らない動物みたいに。
声を我慢しなくなったのはいつからだろう?
なけなしの理性を動員して琴子は思い出そうとした。さすがに最初の頃はもう少し恥じらっていたはずだ。
「あぁ……っ!」
サクちゃんの動きが速くなって、琴子の思考が吹き飛ばされる。
身体も頭の中もぐちゅぐちゅに蕩けてしまう。何も考えられない、ただの肉の塊になって最後を迎えた。
汗ばんだサクちゃんの身体が琴子の隣に横たわっている。
二人の荒い息づかいが、やけに耳についた。
サクちゃんの身体が離れてからも、琴子の奥に灯った火はなかなか消えてくれなかった。
じゅくじゅくと消えない疼きを抱えたまま、琴子はぼんやりと思う。
自分を突き上げるのがあの人だったら、ここまで乱れることができるだろうか。
この男――サクちゃんにだったら、どう思われたっていい。
軽蔑されようが、失望されようが。呆れられようが。
だってこの男のことはよく知らないし、向こうも私のことを知らない。
その距離感は心地よかった。何よりラクだ。
男のひとに抱かれるときに余計なことは考えないほうがいい。
人間性も社会性もすべて剥ぎ取って、ただの動物として交わるほうがきっと愉しいだろうから――。
さっき湯船に浸かっていたときと同じように、ベッドの上で琴子はサクちゃんの固い胸板へ凭れかかる。
背後からまわされたサクちゃんの手がやわやわと琴子の胸をまさぐってくる。
「んぅ……っふ、ぅ……ぁ、んん……は、ぁ」
大きくて熱い手のひらに揉みしだかれるたびに、琴子の口から悩ましげな声が漏れた。
やがて片方の手が琴子の腹をなぞって脚の付け根へと下ろされていくと、サクちゃんの節くれだった長い指が、ぬぷり、と琴子の深部へ沈んでいく。指の動きに合わせて、くちゅくちゅ、というイヤラしい水音が室内に響く。
お腹の奥のほうからドロドロとした蜜が次から次へと溢れ出てくる。
サクちゃんの指に翻弄されるまま、どうしてこのひとの指はこんなに気持ちイイんだろう……と琴子は不思議に思う。
何回もシてるのに、全然飽きない。
これまで「もう会わないようにしよう」と決めて「二度と連絡しない」と誓ったことが何回かあった。だけど一ヶ月もすると、どうしようもなく欲しくなってしまうのだ。サクちゃんの身体が。
「そろそろ挿れていい?」
頭の上からサクちゃんの声が降ってきた。
少し掠れているのは劣情のためだろうか。だったらいいのだけれど。もし自分ばかりが一方的に欲しがっているのだとしたら、なんか嫌だし。
すでに思考が蕩けはじめている琴子は頷くより先に自ら彼に向かって脚を開いてみせる。
サクちゃんは琴子の脚のあいだに膝をつくと、彼女に覆いかぶさるようにして距離をつめていく。
サクちゃんの唇が触れる瞬間、琴子の目にサクちゃんの顎にあるホクロが映った。いまはメガネをしていないせいで琴子の視界はぼやけていたけれど、さすがにこれだけ近づけば目に入る。
「このホクロ好き」
琴子は舌を出してサクちゃんの顎のホクロをひと舐めしてから、彼の唇を迎え入れた。
激しく舌を絡ませながら、琴子はまた思う。
どうしてこの人の舌はこんなに気持ちがイイのだろう……と。
それにしても「挿れていいか」と訊いておきながら、サクちゃんはなかなか挿入ってこない。さっきからずっと浅いトコロを行ったり来たり。
「んっ……!」
サクちゃんの先っぽがときどき敏感な肉芽を掠めるから、そのたびに琴子は物欲しげに腰を浮かせる羽目になる。
この男……また焦らしてる。
「ねぇ、ちょっと……」
琴子が不満を訴えようと唇を尖らすと、
「ん?」
サクちゃんが素知らぬ様子で首を傾げる。
「どうしたの、サキちゃん? 涙目になってる」
子供をあやすみたいに言って、サクちゃんは面白そうに琴子の目を覗きこんだ。
あー、ムカつく。この男、本当に……
「いじわる」
琴子がサクちゃんに恨みがましい視線を送ると、
「なにが? 俺のなにがいじわるなのかなぁ? サキちゃんはどうしてほしいの? ちゃんと言ってくれないとわかんないよ」
「あぁ……っ!」
さんざん焦らされて破裂しそうに膨らんだ肉芽をぐりっと押しつぶされて、琴子の口から悲鳴にも似た嬌声が迸った。
「もう……挿れて、はやく。お願い……!」
最後はもう懇願だった。
自分のものとは思えないくらい媚びを含んだ甘ったるい声。
切なくて、もどかしくて、恥ずかしくて……琴子の目から溜まっていた涙がこぼれ落ちる。
これじゃあまるでお預けをくらった犬みたいだ。
こんな姿……あの人には絶対に見せられない、と琴子は思った。恥も外聞も捨てて、みっともなく欲しがる姿なんて。
「よくできました」
嬉しそうに笑ったサクちゃんが琴子の頬に手を添える。彼の手のひらが触れた部分からじんわりと熱が広がる。
「ひゃ……っ!」
入り口で抜き差ししていたサクちゃんの肉棒がずぶっとひと息に押し込まれて、琴子の身体が大きく撓った。
「俺ももう限界だった」
笑いながら言ったサクちゃんがようやく動きはじめる。
「あっ、あ、んっ……あ、ぁ……は、んぅ……んぁ…………」
サクちゃんに動きに合わせて、琴子は鳴きつづけた。言葉を知らない動物みたいに。
声を我慢しなくなったのはいつからだろう?
なけなしの理性を動員して琴子は思い出そうとした。さすがに最初の頃はもう少し恥じらっていたはずだ。
「あぁ……っ!」
サクちゃんの動きが速くなって、琴子の思考が吹き飛ばされる。
身体も頭の中もぐちゅぐちゅに蕩けてしまう。何も考えられない、ただの肉の塊になって最後を迎えた。
汗ばんだサクちゃんの身体が琴子の隣に横たわっている。
二人の荒い息づかいが、やけに耳についた。
サクちゃんの身体が離れてからも、琴子の奥に灯った火はなかなか消えてくれなかった。
じゅくじゅくと消えない疼きを抱えたまま、琴子はぼんやりと思う。
自分を突き上げるのがあの人だったら、ここまで乱れることができるだろうか。
この男――サクちゃんにだったら、どう思われたっていい。
軽蔑されようが、失望されようが。呆れられようが。
だってこの男のことはよく知らないし、向こうも私のことを知らない。
その距離感は心地よかった。何よりラクだ。
男のひとに抱かれるときに余計なことは考えないほうがいい。
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