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放課後の化学室で……
放課後の化学室で……(2)※
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「……先生?」
化学室には誰もいないみたいだった。
「火神先生……?」
先に行ったはずの火神はどこだろう?
きょろきょろと室内を見回すひな子の目に強烈な陽の光が差しこんだ。
「んっ……まぶしい」
窓際に置かれた試験管が窓から差しこむ光を反射している。
ひな子は窓際まで歩いていくと、カーテンを引いて光を遮った。室内が途端に暗くなる。
「羽澄」
聞き覚えのある低い声がひな子の耳朶をくすぐった。
「ぁ……」
いつのまにか、ひな子の背後に立っていた火神がすっぽりと自分の懐に閉じ込めるように、ひな子の身体を抱きすくめた。
「!!」
ひな子は息を飲んだ。
火神の身体がひな子の背中に圧しかかった。生温かい息がひな子の頭にかかる。
「たしかに……いい匂いだな」
「なっ……!?」
龍一郎が言っていたのと同じことを言われて、さっきのやり取りを見られていたのだと悟る。
動揺したひな子の動きを封じるかのように、火神が彼女の胸元に回していた腕に力を込めた。
「ぁ……」
火神はひな子の頭の形をなぞるように、ゆっくりと唇を下ろしていく。長く垂れたポニーテールを払うと、剥き出しになったうなじをべろりと舐め上げた。
「きゃ……!」
小さく悲鳴を上げたひな子をよそに、火神はそのまま首筋に顔を埋めて、かすかに汗の滲む肌をちゅうぅぅ……と強く吸った。
「や……ダメ……っ、」
――そんなに強く吸ったら、痕が付いちゃう。
声に出したいのに、火神の唇が肌に触れると、蕩けるように身体の力が抜けてしまう。
ひな子がされるがままになっていると、火神の手がゆっくりと下がっていって、彼女の胸を包んだ。大きめの乳房は火神の手にも余るほどだ。彼は掬いあげるように下乳を持ち上げて、柔らかなその感触を楽しんでいるみたいだった。
果穂は羨ましいと言ってくれたけど、ひな子自身はこの大きな胸がずっと嫌で仕方なかった。この胸のせいで……。
「あ……っ」
火神の指が胸の先端を軽く引っ掻いた。
「……固くなってるな、ここ」
耳元で囁かれて、ひな子の身体が、かぁっ……と熱くなった。
ブラジャーの上からでもわかるくらいに尖ったそこを、火神は容赦なく指の腹で捏ねくりまわした。
「あ、ん……っ、どうして、こんなこと……するん、ですか」
「…………」
「せんせいなら、私なんか相手にしなくても……他にいっぱい……女のヒト、いるでしょ?」
ひな子は首を捻って火神の顔を睨めた。その目には今にも溢れそうなくらい涙が溜まっている。それが火神への嫌悪から来るものなのか、それとも他の何かなのか……ひな子には涙の理由がわからなかった。
「ダメだ」
しばらくひな子の顔を見つめていた火神が口を開いた。
「……羽澄じゃなきゃ、ダメだ」
「え……?」
「だって、お前は……」
火神はそこで口をつぐむと、右手を胸から離した。脇腹から腰、そして太腿へと……ひな子の身体をなぞりながら、手のひらを下へと這わしていく。
「あっ……」
火神の手が制服のスカートをめくりあげて、中へと侵入してくる。内股をすべすべと撫でまわされて、ひな子は思わず火神の手を挟み込むように脚を擦り合わせてしまった。
「待ってろ……いま、触ってやるから」
笑いを含みながら愉しそうにそう言うと、火神の指がひな子の一番敏感なトコロに触れた。やさしく、摩るように……何度も指を上下させる。
「ぁ……んぅ…………っ」
ひな子の鼻から息が漏れた。
堪えようとしても、我慢できない……。
身体の中心がじわりと潤んでいくのが、自分でもわかった。
「ほら、そうやってお前は……」
指の動きを速めながら、火神がさっきの続きを口にする。
「俺に触られて……嫌で嫌でたまらない、って表情するくせに……」
火神の長い指が下着の隙間から差し込まれる。
「はぁあ……んんっ!」
「身体のほうは……こんなに反応してる」
すっかり濡れそぼったひな子の膣内を、火神の指が掻きまわす。
くちゅくちゅ……という水音が、薄暗い化学室に響いた。それが自分の漏らした愛液の音だと思うと、恥ずかしくて堪らないのに。ひな子の身体はますます潤っていく。……本人の気持ちとは裏腹に。
「もぅ……やめて、ください……」
「そう……その、ほかの男を想って耐えてる表情が、最高にそそるんだよ」
――嫌な男……。
そう思っているはずなのに。
言うことを聞かない身体は男の指に翻弄されて……ひな子は何度も何度も達しつづけた。
*****
「羽澄さん」
化学室を出たところで、廊下の柱の影から姿を現した真山先生に呼び止められた。
「遅かったわね。あれ、何も持ってないの? A組に運んでほしいものがある……って、火神先生、言ってなかったっけ?」
真山が訝しげに眉を寄せる。
「え、えーと、その……あ、なんか火神先生が勘違いしてたみたいで。もう誰かほかの人が持っていってくれた……みたい、です」
しどろもどろに答えるひな子の顔を、真山が無表情で見つめていた。
「えっと、じゃあ、あの、私は帰ります」
軽く会釈をして、この場を立ち去ろうとしたひな子を――
「待って、羽澄さん。首のところ、赤くなってるわよ」
再び、真山が呼び止めた。
ひな子は慌てて首に手を当てる。火神が執拗に吸いついていた、その辺りを……。
「虫かしら? まだ蚊も多いから気をつけないとね」
真山が何気なくそう言って、にこっと笑ってみせた。
三日月の形に歪められた唇には、ローズ色のルージュが綺麗に引かれている。
「あ、はい……そうですね。気を付けます」
「気を付けてね。じゃあ、さようなら」
「……さようなら」
ひな子は逃げるように真山の前を通りすぎた。
――真山先生……まさか、ずっとあそこで待っていた?
ひな子は真山の顔を思い出して、肩をぶるっと震わせた。
自分に向けられた真山先生の笑顔が……恐くて仕方なかったから。
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