月と秘密とプールサイド

スケキヨ

文字の大きさ
上 下
4 / 43
放課後の化学室で……

放課後の化学室で……(2)※

しおりを挟む

*****

「……先生?」

 化学室には誰もいないみたいだった。

火神かがみ先生……?」

 先に行ったはずの火神はどこだろう?
 きょろきょろと室内を見回すひな子の目に強烈な陽の光が差しこんだ。

「んっ……まぶしい」

 窓際に置かれた試験管が窓から差しこむ光を反射している。
 ひな子は窓際まで歩いていくと、カーテンを引いて光を遮った。室内が途端に暗くなる。

羽澄はすみ

 聞き覚えのある低い声がひな子の耳朶をくすぐった。

「ぁ……」

 いつのまにか、ひな子の背後に立っていた火神がすっぽりと自分の懐に閉じ込めるように、ひな子の身体を抱きすくめた。

「!!」

 ひな子は息を飲んだ。
 火神の身体がひな子の背中に圧しかかった。生温かい息がひな子の頭にかかる。

「たしかに……いい匂いだな」
「なっ……!?」

 龍一郎りゅういちろうが言っていたのと同じことを言われて、さっきのやり取りを見られていたのだと悟る。
 動揺したひな子の動きを封じるかのように、火神が彼女の胸元に回していた腕に力を込めた。

「ぁ……」

 火神はひな子の頭の形をなぞるように、ゆっくりと唇を下ろしていく。長く垂れたポニーテールを払うと、剥き出しになったうなじをべろりと舐め上げた。

「きゃ……!」

 小さく悲鳴を上げたひな子をよそに、火神はそのまま首筋に顔を埋めて、かすかに汗の滲む肌をちゅうぅぅ……と強く吸った。

「や……ダメ……っ、」

 ――そんなに強く吸ったら、痕が付いちゃう。

 声に出したいのに、火神の唇が肌に触れると、蕩けるように身体の力が抜けてしまう。
 ひな子がされるがままになっていると、火神の手がゆっくりと下がっていって、彼女の胸を包んだ。大きめの乳房は火神の手にも余るほどだ。彼は掬いあげるように下乳を持ち上げて、柔らかなその感触を楽しんでいるみたいだった。
 果穂かほは羨ましいと言ってくれたけど、ひな子自身はこの大きな胸がずっと嫌で仕方なかった。この胸のせいで……。

「あ……っ」

 火神の指が胸の先端を軽く引っ掻いた。

「……固くなってるな、

 耳元で囁かれて、ひな子の身体が、かぁっ……と熱くなった。
 ブラジャーの上からでもわかるくらいに尖ったを、火神は容赦なく指の腹で捏ねくりまわした。

「あ、ん……っ、どうして、こんなこと……するん、ですか」
「…………」
「せんせいなら、私なんか相手にしなくても……他にいっぱい……女のヒト、いるでしょ?」

 ひな子は首を捻って火神の顔をめた。その目には今にも溢れそうなくらい涙が溜まっている。それが火神への嫌悪から来るものなのか、それとも他の何かなのか……ひな子には涙の理由がわからなかった。

「ダメだ」

 しばらくひな子の顔を見つめていた火神が口を開いた。

「……羽澄じゃなきゃ、ダメだ」
「え……?」
「だって、お前は……」

 火神はそこで口をつぐむと、右手を胸から離した。脇腹から腰、そして太腿へと……ひな子の身体をなぞりながら、手のひらを下へと這わしていく。

「あっ……」

 火神の手が制服のスカートをめくりあげて、中へと侵入してくる。内股をすべすべと撫でまわされて、ひな子は思わず火神の手を挟み込むように脚を擦り合わせてしまった。

「待ってろ……いま、触ってやるから」

 笑いを含みながら愉しそうにそう言うと、火神の指がひな子の一番敏感なトコロに触れた。やさしく、さするように……何度も指を上下させる。

「ぁ……んぅ…………っ」

 ひな子の鼻から息が漏れた。
 堪えようとしても、我慢できない……。
 身体の中心がじわりと潤んでいくのが、自分でもわかった。

「ほら、そうやってお前は……」

 指の動きを速めながら、火神がさっきの続きを口にする。

「俺に触られて……嫌で嫌でたまらない、って表情かおするくせに……」

 火神の長い指が下着の隙間から差し込まれる。

「はぁあ……んんっ!」
「身体のほうは……こんなに反応してる」

 すっかり濡れそぼったひな子の膣内なかを、火神の指が掻きまわす。
 くちゅくちゅ……という水音が、薄暗い化学室に響いた。それが自分の漏らした愛液の音だと思うと、恥ずかしくて堪らないのに。ひな子の身体はますます潤っていく。……本人の気持ちとは裏腹に。

「もぅ……やめて、ください……」
「そう……その、ほかの男を想って耐えてる表情かおが、最高にそそるんだよ」

 ――嫌なひと……。

 そう思っているはずなのに。
 言うことを聞かない身体は男の指に翻弄されて……ひな子は何度も何度も達しつづけた。





*****

「羽澄さん」

 化学室を出たところで、廊下の柱の影から姿を現した真山まやま先生に呼び止められた。

「遅かったわね。あれ、何も持ってないの? A組に運んでほしいものがある……って、火神先生、言ってなかったっけ?」

 真山が訝しげに眉を寄せる。

「え、えーと、その……あ、なんか火神先生が勘違いしてたみたいで。もう誰かほかの人が持っていってくれた……みたい、です」

 しどろもどろに答えるひな子の顔を、真山が無表情で見つめていた。

「えっと、じゃあ、あの、私は帰ります」

 軽く会釈をして、この場を立ち去ろうとしたひな子を――

「待って、羽澄さん。首のところ、赤くなってるわよ」

 再び、真山が呼び止めた。
 ひな子は慌てて首に手を当てる。火神が執拗に吸いついていた、その辺りを……。

「虫かしら? まだ蚊も多いから気をつけないとね」

 真山が何気なくそう言って、にこっと笑ってみせた。
 三日月の形に歪められた唇には、ローズ色のルージュが綺麗に引かれている。

「あ、はい……そうですね。気を付けます」
「気を付けてね。じゃあ、さようなら」
「……さようなら」

 ひな子は逃げるように真山の前を通りすぎた。

 ――真山先生……まさか、ずっとあそこで待っていた?

 ひな子は真山の顔を思い出して、肩をぶるっと震わせた。
 自分に向けられた真山先生の笑顔が……恐くて仕方なかったから。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を 番外編

蝶野ともえ
恋愛
「溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を」の番外編です! 沢山のリクエストをいただきましたので、続編を執筆決定しました。 結婚式を挙げた椋(りょう)と花霞(かすみ)は幸せな結婚生活を送っていた。 けれど、そんな時に椋にはある不思議なメールが届くようになっていた。 そして、花霞に好意を持って近づく若い男性のお客さんが来るようになっていた。 お互いの生活がすれ違う中でも、2人は愛し合い助け合いながら過ごしていくけれど、少しずつ事態は大きくなっていき………… 新たな事件は、あの日からすでに始まっていた………………。 ★今回、R18に挑戦しようと思っています。ですが、その部分を読まなくても話がわかるようにしていきたいと思いますので、苦手な方は、その回を飛ばして読んでいただければと思います。 初めての試みで、R18は時間がかかり、そして勉強中なので上手ではないかと思いますが、よろしくお願いいたします。 ☆鑑 花霞(かがみ かすみ) 椋の妻。花屋で働いており、花が大好きな29歳。椋と契約結婚をした後にある事件に巻き込まれる。ふんわりとした性格だが、いざという時の行動力がある ★鑑 椋(かがみ りょう) 花霞の夫。ある秘密をもったまはま花霞に契約結婚を申し込む。花霞を溺愛しており、彼女に何かあると、普段優しい性格だか凶変してしまう。怒ると怖い。 本編にshortstoryを更新しておりますので、ぜひチェックをお願いいたします。 また、「嘘つき旦那様と初めての恋を何度でも」に、キャラクターが登場しております!ぜひどうぞ。

乱交的フラストレーション〜美少年の先輩はドMでした♡〜

花野りら
恋愛
上巻は、美少年サカ(高2)の夏休みから始まります。 プールで水着ギャルが、始めは嫌がるものの、最後はノリノリで犯されるシーンは必読♡ 下巻からは、美少女ゆうこ(高1)の話です。 ゆうこは先輩(サカ)とピュアな恋愛をしていました。 しかし、イケメン、フクさんの登場でじわじわと快楽に溺れ、いつしかメス堕ちしてしまいます。 ピュア系JKの本性は、実はどMの淫乱で、友達交えて4Pするシーンは大興奮♡ ラストのエピローグは、強面フクさん(二十歳の社会人)の話です。 ハッピーエンドなので心の奥にそっとしまいたくなります。 爽やかな夏から、しっとりした秋に移りゆくようなラブストーリー♡ ぜひ期待してお読みくださいませ! 読んだら感想をよろしくお願いしますね〜お待ちしてます!

【R-18】2ヶ月ぶりにセックスした俺と彼女の話。【短編】

志貴野ハル
恋愛
付き合いたてのカップルが、2ヶ月ぶりにセックスする話。

【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。

雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。 ——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない) ※完結直後のものです。

【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件

百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。 そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。 いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。) それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる! いいんだけど触りすぎ。 お母様も呆れからの憎しみも・・・ 溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。 デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。 アリサはの気持ちは・・・。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

副社長と出張旅行~好きな人にマーキングされた日~【R18】

日下奈緒
恋愛
福住里佳子は、大手企業の副社長の秘書をしている。 いつも紳士の副社長・新田疾風(ハヤテ)の元、好きな気持ちを育てる里佳子だが。 ある日、出張旅行の同行を求められ、ドキドキ。

【完結】Mにされた女はドS上司セックスに翻弄される

Lynx🐈‍⬛
恋愛
OLの小山内羽美は26歳の平凡な女だった。恋愛も多くはないが人並に経験を重ね、そろそろ落ち着きたいと思い始めた頃、支社から異動して来た森本律也と出会った。 律也は、支社での営業成績が良く、本社勤務に抜擢され係長として赴任して来た期待された逸材だった。そんな将来性のある律也を狙うOLは後を絶たない。羽美もその律也へ思いを寄せていたのだが………。 ✱♡はHシーンです。 ✱続編とは違いますが(主人公変わるので)、次回作にこの話のキャラ達を出す予定です。 ✱これはシリーズ化してますが、他を読んでなくても分かる様には書いてあると思います。

処理中です...