媚薬を盛られた私をいろんな意味で救けてくれたのは、大嫌いなアイツでした

スケキヨ

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7. あんなに可愛かったのに……

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*****

 ――翌朝。

「ぎゃあぁぁぁぁ……!!」

 リアムのベッドで目を覚ましたミアは、素っ裸の自分の姿に驚愕して悲鳴を上げた。
 しかも隣にはスヤスヤと気持ちよさそうに眠るリアムがいるではないか。

「なんなの、この状況は……!? どうしてリアムがいるの? どうしてリアムと一緒に寝てるの? どうして、私、何も着てないの!?」

 朝も早くからぎゃあぎゃあと喚きたてるミアの声に起こされたのか、リアムが目をこすりながらもぞもぞと起き出してくる。

「あ……ミア。おはよう」

 リアムの顔がなぜか真っ赤だ。耳まで赤い。
 なんなんだ、その反応は……!?

「リアム、あの、どうしてココにいるの?」

「どうして、って……ココは俺の部屋だよ」

「え!? じゃ、じゃあ、どうして私はリアムの部屋にいるの?」

「……まさか、なにも覚えてないのか?」

「覚えてるって……なにを?」

 リアムは「はぁぁ」と大きな溜め息を吐き出すと、がっくりと肩を落とした。

「嘘だろ」

 ミアは何があったのか思い出そうと頭をフル回転させた。
 昨日は午前中から図書館に出向いて、そこで……そうだ、シモンがやって来たのだ。シモンにワインをすすめられて、それで……。

「ダメだわ。ワインを飲んでからの記憶がなんだか曖昧で……」

「えぇぇ……」

 嘆いたリアムが頭を抱えた。

「も、もしかして……この状況って……」

 ミアが恐る恐る尋ねると。

「……あぁ。ミアが想像しているとおりだと思うよ」

「ぎゃあぁぁ、ウソでしょ……っ!?」

 今度はミアが頭を抱える番だった。

「まぁ覚えてないなら仕方ない。心配するな。ちゃんと……思い出させてやるから」

「思い出させてやる、って。どうやって…………んぅ!?」

 ミアが最後まで言う前に口を塞がれてしまった。リアムの唇で……。
 リアムと口づけを交わすのはこれが初めてのはずなのに、すっかり馴染んでいる気がするのはなぜだろう。「抵抗しなきゃ」と思うのに力が入らない。ミアの身体からふにゃふにゃと力が抜けていく。ミアの思いとは裏腹に、身体は悦んでリアムを受け入れているみたいだ。

「つづき、する? ちなみに、こっちにはちゃんと同意書もあるんだからな」

 長いキスを終えると、リアムはしっかりとミアの目を見つめながら、まるで挑発するみたいに言った。

「同意書?」

「あぁ。これだ」

 リアムが一枚の紙をミアの前に突き出してくる。
 内容を確認すると、たしかにリアムとの性交渉に同意するとの文面にミア直筆のサインが添えられているではないか!
 なんという用意周到さ。そういう抜け目のなさがリアムの頼もしいところでもあり、ミアにとっては疎ましい部分でもあるのだ。

「……信じられない。リアムのバカ!」

 そう言い捨てて枕に突っ伏すミア。そんな彼女を見て、リアムはさみしそうに独りちるのだった。

「あーあ。同じセリフでも昨日はあんなに可愛かったのに……」


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