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背後
背後②
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「ちょっ……楠ノ瀬」
目の上に置かれた布を外して身を起こそうとした俺を、楠ノ瀬が優しく、でも強引に押しとどめた。
「ダメ……高遠くんは、そのままじっとしてて」
唇が触れるか触れないかといった至近距離で楠ノ瀬が囁く。
楠ノ瀬の温かい吐息がかかった。背筋からぞくぞくとした恍惚感が湧き上がってくる。
俺は大人しく横になったまま、楠ノ瀬に身を委ねた。
楠ノ瀬の蛞蝓のような舌が俺の歯列をゆっくりなぞる。さらに奥に差し込まれると、縮こまっていた俺の舌を、つんつん、と誘い出すように突いてくる。俺がおずおずと舌を差し出すと、楠ノ瀬の熱い舌に絡め取られた。
「んぅ……ふ、ぁ……」
二人の唾液が混じり合う、くちゅくちゆ、という水音と、どちらのものかわからない鼻にかかった甘ったるい声が殺風景な室内に響く。
乱雑に散らかった勉強机と固いスプリングベッド、漫画にパソコン、ろくに畳まれないまま放置された洋服。色気も何もない俺の部屋が濃密な空気に染まっていく。
楠ノ瀬のひんやりとした指が俺の耳をそっと撫でた。輪郭を……耳たぶを……柔らかく、揉みほぐすように。
――気持ちいい……。
その指はやがて首元から鎖骨へと下りていき、シャツ越しに俺の胸をまさぐってくる。
「はぁ、ぁ……」
敏感な突起を指の腹でころころと転がされ、体から力が抜けていく。
「あ……っ」
胸を弄っていない方の手が、俺の股間に添えられる。
下から上へ、上から下へ……何度も何度も……撫で摩られる。
楠ノ瀬の掌が俺の一物を往復するたびに、そこは固さを増し、熱が高まっていく。
視界を奪われているだけに、楠ノ瀬の触れられた部分がいつも以上に敏感に反応してしまう。
暗闇の中で、楠ノ瀬の長く細い指が、まるで触手のように、俺の体の表面を縦横無尽に這い回っていた。
どこから伸びてくるかわからない楠ノ瀬の甘い攻めに、俺は軟骨すら抜かれた蛸のようにふにゃふにゃと翻弄される。
俺の履いているスウェットが脱がされ、下着がずらされた。
痛いほどに膨れ上がった肉棒が、外気に晒される。
「あぁ……っ」
温かく、ざらついた楠ノ瀬の舌が、俺の肉棒を舐め上げた。体の中心を貫いた快感に、思わず声が漏れる。
天井に向かって今にも破裂しそうなほど熱く怒張しているであろう俺を楠ノ瀬のひんやりとした掌が激しく摩り上げる。ぷっくりと膨らんだ鈴口に湿った息が吹きかかる。
「うぅ……」
楠ノ瀬の手と口に導かれて、俺の体内を流れる血が体の中心へと集まってくる。俺の体内に潜む何かが、外の世界へと誘われる。
「ぁ……目が、」
――熱い。
楠ノ瀬の動きが速さを増した。
溢れだす精を一気に絞り出さんとするかのようなその動きに、俺はなすすべもなく身を任せる。
目尻の端から、熱い涙が次から次へと零れ落ちる。
流れた涙は泉の水が染み込んだ布に吸い込まれていく。
楠ノ瀬の温かく湿った咥内に包まれて――
俺は体の中心に溜まった熱を、ひと思いに放出した。
目の上に置かれた布を外して身を起こそうとした俺を、楠ノ瀬が優しく、でも強引に押しとどめた。
「ダメ……高遠くんは、そのままじっとしてて」
唇が触れるか触れないかといった至近距離で楠ノ瀬が囁く。
楠ノ瀬の温かい吐息がかかった。背筋からぞくぞくとした恍惚感が湧き上がってくる。
俺は大人しく横になったまま、楠ノ瀬に身を委ねた。
楠ノ瀬の蛞蝓のような舌が俺の歯列をゆっくりなぞる。さらに奥に差し込まれると、縮こまっていた俺の舌を、つんつん、と誘い出すように突いてくる。俺がおずおずと舌を差し出すと、楠ノ瀬の熱い舌に絡め取られた。
「んぅ……ふ、ぁ……」
二人の唾液が混じり合う、くちゅくちゆ、という水音と、どちらのものかわからない鼻にかかった甘ったるい声が殺風景な室内に響く。
乱雑に散らかった勉強机と固いスプリングベッド、漫画にパソコン、ろくに畳まれないまま放置された洋服。色気も何もない俺の部屋が濃密な空気に染まっていく。
楠ノ瀬のひんやりとした指が俺の耳をそっと撫でた。輪郭を……耳たぶを……柔らかく、揉みほぐすように。
――気持ちいい……。
その指はやがて首元から鎖骨へと下りていき、シャツ越しに俺の胸をまさぐってくる。
「はぁ、ぁ……」
敏感な突起を指の腹でころころと転がされ、体から力が抜けていく。
「あ……っ」
胸を弄っていない方の手が、俺の股間に添えられる。
下から上へ、上から下へ……何度も何度も……撫で摩られる。
楠ノ瀬の掌が俺の一物を往復するたびに、そこは固さを増し、熱が高まっていく。
視界を奪われているだけに、楠ノ瀬の触れられた部分がいつも以上に敏感に反応してしまう。
暗闇の中で、楠ノ瀬の長く細い指が、まるで触手のように、俺の体の表面を縦横無尽に這い回っていた。
どこから伸びてくるかわからない楠ノ瀬の甘い攻めに、俺は軟骨すら抜かれた蛸のようにふにゃふにゃと翻弄される。
俺の履いているスウェットが脱がされ、下着がずらされた。
痛いほどに膨れ上がった肉棒が、外気に晒される。
「あぁ……っ」
温かく、ざらついた楠ノ瀬の舌が、俺の肉棒を舐め上げた。体の中心を貫いた快感に、思わず声が漏れる。
天井に向かって今にも破裂しそうなほど熱く怒張しているであろう俺を楠ノ瀬のひんやりとした掌が激しく摩り上げる。ぷっくりと膨らんだ鈴口に湿った息が吹きかかる。
「うぅ……」
楠ノ瀬の手と口に導かれて、俺の体内を流れる血が体の中心へと集まってくる。俺の体内に潜む何かが、外の世界へと誘われる。
「ぁ……目が、」
――熱い。
楠ノ瀬の動きが速さを増した。
溢れだす精を一気に絞り出さんとするかのようなその動きに、俺はなすすべもなく身を任せる。
目尻の端から、熱い涙が次から次へと零れ落ちる。
流れた涙は泉の水が染み込んだ布に吸い込まれていく。
楠ノ瀬の温かく湿った咥内に包まれて――
俺は体の中心に溜まった熱を、ひと思いに放出した。
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