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序章
まぐわい②
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「……くっ」
楠ノ瀬の唇に導かれるように、俺は精を放った。
「はぁはぁ……はぁ」
精液だけでなく生気まで全て絞りとられてしまったのではないかと思うほどの強烈な虚脱感に襲われる。
肩で息をしながら、俺は楠ノ瀬の様子を伺った。
彼女は白い喉をごくりと大きく動かして、俺が口内に放った精をひと思いに呑み下した。
「ぉ……おぃ」
俺は彼女に声を掛けようとしたが、やはり声が出ない。
「……喋れる?」
自分の手の甲で軽く口元を拭った楠ノ瀬が、俺の顔を見つめながら尋ねてくる。
俺は無言で首を振った。
「そう……」
彼女が目を伏せて下を向く。
「じゃあ……」
楠ノ瀬の手が、萎えた俺のモノを再び掴んだ。
「もう一回、するね」
「ぇ……?」
俺がかろうじて発した疑問の声を無視して、彼女は手を動かしはじめた。
刺激を受けたそれはすぐに固さを取り戻す。さっき出したばかりなのに……。
楠ノ瀬は俺の反応を確かめると、腰紐を解いて、俺の上に跨った。
彼女は固くなった俺の根元を握ると、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「あぁ……」
今度は口じゃなかった。
楠ノ瀬のあたたかい洞穴に、屹立した俺の息子が呑み込まれていく。
「ん……っ」
途中、彼女が苦しそうに眉根を寄せる。
俺のものを根元まで咥え込んでしまうと、ほっとしたようにひと息ついてから、ゆっくりと腰を振り出した。
緩く円を描くように腰を大きく回したかと思うと、今度は上下に素早く動かす。緩急をつけた動きに俺はされるがまま翻弄される。
「ぁあ……んっ……はぁっ……」
腰の動きに合わせて、彼女のぬめぬめとした紅い唇から悩ましげな吐息が漏れる。
激しい動きのせいで乱れた襦袢の隙間からは、たわわな乳房がこぼれて揺れている。
学校での彼女からは想像もできない痴態に、俺は早くも昇りつめていた。
「くっ……出る……!」
耐えかねた俺が思わず呟くと、
「いいよ、出して……」
楠ノ瀬がとろんとした艶っぽい表情で囁いた。
「……っ」
俺は堪えきれずに、本日二回目の射精をした。
呼吸の荒い楠ノ瀬が力尽きたように倒れ込んでくる。彼女の豊かな胸が、俺の腹の上で柔らかに押しつぶされた。
汗ばんだ首筋に髪の毛が張り付いている。
俺はそっと手を伸ばして、その髪の毛を梳いた。
そんな俺の行動に驚いたのか、楠ノ瀬が弾かれたように顔を上げた。
「喋れる? 動ける?」
俺の顔を見つめながら、彼女が矢継ぎ早に質問する。
「あーあーあー……喋れる!」
口がきけなかったのはほんの数時間のことだというのに……。俺は無事に戻ってきた自分の声を確認するように、とりとめもない発声練習をした。
「よかったぁ」
そう言って、楠ノ瀬が嬉しそうに笑った。
俺は自由を取り戻した腕を動かすと、彼女の背中に手を回し、ぎゅうっと抱きしめた。
「……!」
俺の腕の中で、楠ノ瀬がびくっと震えた。
雨に打たれた捨て猫のような彼女の反応が可愛くて。しばらくそのまま……その華奢な体を抱きしめて離さなかった。
彼女の方もされるがままになっている。
――最初に沈黙を破ったのは俺だ。
「なぁ、これはどういうことなんだ?」
「……」
「ここはどこだ? 俺はなんでここにいる? なんで楠ノ瀬は、俺とこんな……」
続けざまに質問を投げかける俺の口を。
楠ノ瀬の紅い唇が塞いだ。
最初は触れるだけだった口づけが、次第に深くなっていく。俺が薄く口を開くと、彼女の厚い舌がすかさず入り込んでくる。侵入してきたそれを軽く吸ってやると、鼻にかかった甘い声がこぼれた。
互いの唇を存分に味わってから顔を離すと、彼女が自分の人差し指を俺の唇に押し当てた。
「私からは何も言えない。……余計なことは言うな、って言われてるし……あなたに説明していいのかも、わからない」
「どういうことだ……?」
「ごめんなさい」
楠ノ瀬は小さな声で謝って、顔を伏せた。
「……私の役目はこれで終わりだから。とりあえず、今日のところは」
――とりあえず?
俺の頭の中は疑問だらけだったが、楠ノ瀬の様子を見ると、これ以上の詮索は憚られた。
それよりも俺は、彼女の発した言葉が気になって仕方なかった。
楠ノ瀬はさっき「今日のところは」と言った。ということは、今日みたいな機会がまたあるということなのか?
またこうして彼女と抱き合える機会が――。
そんな下心丸出しの期待がどれほど能天気で的外れなものだったのか……。
俺がそのことを思い知るのは、もう少し後のことである。
楠ノ瀬の唇に導かれるように、俺は精を放った。
「はぁはぁ……はぁ」
精液だけでなく生気まで全て絞りとられてしまったのではないかと思うほどの強烈な虚脱感に襲われる。
肩で息をしながら、俺は楠ノ瀬の様子を伺った。
彼女は白い喉をごくりと大きく動かして、俺が口内に放った精をひと思いに呑み下した。
「ぉ……おぃ」
俺は彼女に声を掛けようとしたが、やはり声が出ない。
「……喋れる?」
自分の手の甲で軽く口元を拭った楠ノ瀬が、俺の顔を見つめながら尋ねてくる。
俺は無言で首を振った。
「そう……」
彼女が目を伏せて下を向く。
「じゃあ……」
楠ノ瀬の手が、萎えた俺のモノを再び掴んだ。
「もう一回、するね」
「ぇ……?」
俺がかろうじて発した疑問の声を無視して、彼女は手を動かしはじめた。
刺激を受けたそれはすぐに固さを取り戻す。さっき出したばかりなのに……。
楠ノ瀬は俺の反応を確かめると、腰紐を解いて、俺の上に跨った。
彼女は固くなった俺の根元を握ると、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「あぁ……」
今度は口じゃなかった。
楠ノ瀬のあたたかい洞穴に、屹立した俺の息子が呑み込まれていく。
「ん……っ」
途中、彼女が苦しそうに眉根を寄せる。
俺のものを根元まで咥え込んでしまうと、ほっとしたようにひと息ついてから、ゆっくりと腰を振り出した。
緩く円を描くように腰を大きく回したかと思うと、今度は上下に素早く動かす。緩急をつけた動きに俺はされるがまま翻弄される。
「ぁあ……んっ……はぁっ……」
腰の動きに合わせて、彼女のぬめぬめとした紅い唇から悩ましげな吐息が漏れる。
激しい動きのせいで乱れた襦袢の隙間からは、たわわな乳房がこぼれて揺れている。
学校での彼女からは想像もできない痴態に、俺は早くも昇りつめていた。
「くっ……出る……!」
耐えかねた俺が思わず呟くと、
「いいよ、出して……」
楠ノ瀬がとろんとした艶っぽい表情で囁いた。
「……っ」
俺は堪えきれずに、本日二回目の射精をした。
呼吸の荒い楠ノ瀬が力尽きたように倒れ込んでくる。彼女の豊かな胸が、俺の腹の上で柔らかに押しつぶされた。
汗ばんだ首筋に髪の毛が張り付いている。
俺はそっと手を伸ばして、その髪の毛を梳いた。
そんな俺の行動に驚いたのか、楠ノ瀬が弾かれたように顔を上げた。
「喋れる? 動ける?」
俺の顔を見つめながら、彼女が矢継ぎ早に質問する。
「あーあーあー……喋れる!」
口がきけなかったのはほんの数時間のことだというのに……。俺は無事に戻ってきた自分の声を確認するように、とりとめもない発声練習をした。
「よかったぁ」
そう言って、楠ノ瀬が嬉しそうに笑った。
俺は自由を取り戻した腕を動かすと、彼女の背中に手を回し、ぎゅうっと抱きしめた。
「……!」
俺の腕の中で、楠ノ瀬がびくっと震えた。
雨に打たれた捨て猫のような彼女の反応が可愛くて。しばらくそのまま……その華奢な体を抱きしめて離さなかった。
彼女の方もされるがままになっている。
――最初に沈黙を破ったのは俺だ。
「なぁ、これはどういうことなんだ?」
「……」
「ここはどこだ? 俺はなんでここにいる? なんで楠ノ瀬は、俺とこんな……」
続けざまに質問を投げかける俺の口を。
楠ノ瀬の紅い唇が塞いだ。
最初は触れるだけだった口づけが、次第に深くなっていく。俺が薄く口を開くと、彼女の厚い舌がすかさず入り込んでくる。侵入してきたそれを軽く吸ってやると、鼻にかかった甘い声がこぼれた。
互いの唇を存分に味わってから顔を離すと、彼女が自分の人差し指を俺の唇に押し当てた。
「私からは何も言えない。……余計なことは言うな、って言われてるし……あなたに説明していいのかも、わからない」
「どういうことだ……?」
「ごめんなさい」
楠ノ瀬は小さな声で謝って、顔を伏せた。
「……私の役目はこれで終わりだから。とりあえず、今日のところは」
――とりあえず?
俺の頭の中は疑問だらけだったが、楠ノ瀬の様子を見ると、これ以上の詮索は憚られた。
それよりも俺は、彼女の発した言葉が気になって仕方なかった。
楠ノ瀬はさっき「今日のところは」と言った。ということは、今日みたいな機会がまたあるということなのか?
またこうして彼女と抱き合える機会が――。
そんな下心丸出しの期待がどれほど能天気で的外れなものだったのか……。
俺がそのことを思い知るのは、もう少し後のことである。
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