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序章
まぐわい①
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目が覚めると、知らない部屋に寝かされていた。
――今は何時だろうか。
障子越しにぼんやりとした薄明かりが入ってくるだけで辺りは暗いから、きっと夜なんだろう。
――俺はどうしてこんな所にいるんだ?
二十畳はありそうな和室の真ん中にぽつりと敷かれた一組の布団。
その上に俺は寝かされていた。
身につけているのは薄い浴衣一枚だけ。
しかもそれは白一色。死装束みたいなやつだ。
このまま棺桶の中に放り込まれてしまうんじゃないか、と俺は怖くなった。
そもそも、いつのまにこんなものを着せられたんだ?
思い出そうとしても、頭に靄がかかったように思考が形を成さない。
起き上がろうと力を入れたが、全身が痺れたように動かない。鉛を呑み込んだみたいに体が重かった。
「ぁ……だ、れ……かっ……」
人を呼ぼうと声を振り絞ったが、喉から出てくるのは喘鳴だけだった。
俺は仕方なく横になったまま天井を見つめて、周りの音に耳をすませた。
障子の向こうから、かすかに風の音が聞こえた。
風に吹かれてかさかさと触れ合う葉の音が聞こえた。
他には何も聞こえなかった。
――静か、だった。
静寂の中で研ぎ澄まされていた俺の耳が、わずかに異音をとらえた。
ぺたぺたぺた。
それは風の音とも葉の音とも違う……人間の立てる音だった。
――誰か、来る。
俺は布団の上で身動きできないまま、ごくりと唾を呑み込んだ。
やがて静かに襖が開いた。
人影らしき黒いものが近づいてくる。
ほのかに、甘い芳香が漂った。
――女?
その影は俺の足元まで来ると膝を折り、三つ指をついて深いお辞儀をした。畳に額をこすりつけたまま、しばらくその体勢を崩さない。
そして聞き取れないほどの小さな声で何かを呟いた。
まるで儀式のような一連の行為を終えると、女はおもむろに顔を上げ、俺の上に馬乗りになった。
動けない俺はされるがまま、自分に跨がる女をただただ黙って見上げることしかできない。
障子越しに差し込んだ月明かりが、暗がりの中にうっすらと彼女の顔を浮かび上がらせる。
「ぁ……く……」
俺は思わず彼女の名を呼びそうになったが、言葉にはならなかった。
彼女は右手の人差し指を自分の口元に当てると、俺の顔を見下ろしながら、「しーっ」と囁く。
俺の体は金縛りにあったように硬直していた。
――これから何が始まるんだ?
人違いでなければ……。
彼女は俺の同級生のはずだ。
楠ノ瀬清乃。
腰にまで届きそうな黒い髪と、透きとおるような白い肌。
全体の印象としては人形のように無機質なのに、ぬらぬらと艶めく紅い唇だけがやけに生々しい印象を与える……隣のクラスの女子生徒だ。
楠ノ瀬の唇は、今日もぬめぬめと濡れていた。
俺が彼女の唇を凝視していると――。
楠ノ瀬が俺の視線を避けるように目を伏せて、羽織っていた紅い襦袢をするすると脱ぎはじめた。
「……!」
もともと一枚しか身に着けていなかったのか、襦袢を脱ぎ捨ててしまうと、彼女の白い乳房が剥き出しになった。
制服姿の時はそうは見えないのに……彼女の胸はおそらく俺の手には収まらないであろうほど豊かな量感を持っているようだ。
その白桃のような膨らみを前にして、俺は思いっきりがぶっ……と、むしゃぶりつきたい衝動に襲われた。
すると楠ノ瀬は俺の思考を読み取ったかのごとく、上体を折り曲げて、仰向けになった俺の顔の前に、二つの膨らみを押し付けた。
俺は夢中で舌を伸ばした。彼女の胸の先で固く尖った桃色の蕾に――。
舌先が軽くそこに触れると、
「あぁっ……」
彼女が小さく喘いだ。
俺は可能な限り首を伸ばして、その蕾に吸いつく。
「あ、んっ……高遠、くん……」
楠ノ瀬が喘ぎながら俺の名を呼ぶから……。
俺はますます止まらなくなって、彼女の乳首を口に含みながら舌先で転がした。
そうして俺が彼女の胸を堪能しているあいだに――。
彼女の細い指が、俺の股間をすぅーっ……と撫であげた。
指の触れた場所が一気に熱を帯びて、俺の一物が急激に熱く、固く、勃ちあがる。
彼女は俺の浴衣をはだけさせてそれを露出させると、ひんやりとした手で絞り上げるように扱きはじめた。
「あぁ……」
絶妙な力加減に、思わず吐息が漏れてしまう。
やがて楠ノ瀬が体をずらして今にも暴発しそうな俺のそれを掴むと、ぱくっと口に含んだ。
ぬめぬめとした紅い唇が、俺の一物を咥えて上下する。
「はぁあぁぁ……っ!」
さっきとは比べものにならないほどの快感に、俺の口から悲鳴のような喘ぎ声が迸った。
――今は何時だろうか。
障子越しにぼんやりとした薄明かりが入ってくるだけで辺りは暗いから、きっと夜なんだろう。
――俺はどうしてこんな所にいるんだ?
二十畳はありそうな和室の真ん中にぽつりと敷かれた一組の布団。
その上に俺は寝かされていた。
身につけているのは薄い浴衣一枚だけ。
しかもそれは白一色。死装束みたいなやつだ。
このまま棺桶の中に放り込まれてしまうんじゃないか、と俺は怖くなった。
そもそも、いつのまにこんなものを着せられたんだ?
思い出そうとしても、頭に靄がかかったように思考が形を成さない。
起き上がろうと力を入れたが、全身が痺れたように動かない。鉛を呑み込んだみたいに体が重かった。
「ぁ……だ、れ……かっ……」
人を呼ぼうと声を振り絞ったが、喉から出てくるのは喘鳴だけだった。
俺は仕方なく横になったまま天井を見つめて、周りの音に耳をすませた。
障子の向こうから、かすかに風の音が聞こえた。
風に吹かれてかさかさと触れ合う葉の音が聞こえた。
他には何も聞こえなかった。
――静か、だった。
静寂の中で研ぎ澄まされていた俺の耳が、わずかに異音をとらえた。
ぺたぺたぺた。
それは風の音とも葉の音とも違う……人間の立てる音だった。
――誰か、来る。
俺は布団の上で身動きできないまま、ごくりと唾を呑み込んだ。
やがて静かに襖が開いた。
人影らしき黒いものが近づいてくる。
ほのかに、甘い芳香が漂った。
――女?
その影は俺の足元まで来ると膝を折り、三つ指をついて深いお辞儀をした。畳に額をこすりつけたまま、しばらくその体勢を崩さない。
そして聞き取れないほどの小さな声で何かを呟いた。
まるで儀式のような一連の行為を終えると、女はおもむろに顔を上げ、俺の上に馬乗りになった。
動けない俺はされるがまま、自分に跨がる女をただただ黙って見上げることしかできない。
障子越しに差し込んだ月明かりが、暗がりの中にうっすらと彼女の顔を浮かび上がらせる。
「ぁ……く……」
俺は思わず彼女の名を呼びそうになったが、言葉にはならなかった。
彼女は右手の人差し指を自分の口元に当てると、俺の顔を見下ろしながら、「しーっ」と囁く。
俺の体は金縛りにあったように硬直していた。
――これから何が始まるんだ?
人違いでなければ……。
彼女は俺の同級生のはずだ。
楠ノ瀬清乃。
腰にまで届きそうな黒い髪と、透きとおるような白い肌。
全体の印象としては人形のように無機質なのに、ぬらぬらと艶めく紅い唇だけがやけに生々しい印象を与える……隣のクラスの女子生徒だ。
楠ノ瀬の唇は、今日もぬめぬめと濡れていた。
俺が彼女の唇を凝視していると――。
楠ノ瀬が俺の視線を避けるように目を伏せて、羽織っていた紅い襦袢をするすると脱ぎはじめた。
「……!」
もともと一枚しか身に着けていなかったのか、襦袢を脱ぎ捨ててしまうと、彼女の白い乳房が剥き出しになった。
制服姿の時はそうは見えないのに……彼女の胸はおそらく俺の手には収まらないであろうほど豊かな量感を持っているようだ。
その白桃のような膨らみを前にして、俺は思いっきりがぶっ……と、むしゃぶりつきたい衝動に襲われた。
すると楠ノ瀬は俺の思考を読み取ったかのごとく、上体を折り曲げて、仰向けになった俺の顔の前に、二つの膨らみを押し付けた。
俺は夢中で舌を伸ばした。彼女の胸の先で固く尖った桃色の蕾に――。
舌先が軽くそこに触れると、
「あぁっ……」
彼女が小さく喘いだ。
俺は可能な限り首を伸ばして、その蕾に吸いつく。
「あ、んっ……高遠、くん……」
楠ノ瀬が喘ぎながら俺の名を呼ぶから……。
俺はますます止まらなくなって、彼女の乳首を口に含みながら舌先で転がした。
そうして俺が彼女の胸を堪能しているあいだに――。
彼女の細い指が、俺の股間をすぅーっ……と撫であげた。
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彼女は俺の浴衣をはだけさせてそれを露出させると、ひんやりとした手で絞り上げるように扱きはじめた。
「あぁ……」
絶妙な力加減に、思わず吐息が漏れてしまう。
やがて楠ノ瀬が体をずらして今にも暴発しそうな俺のそれを掴むと、ぱくっと口に含んだ。
ぬめぬめとした紅い唇が、俺の一物を咥えて上下する。
「はぁあぁぁ……っ!」
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