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3. イヤ……じゃないよ

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「ん。いい、って言ってるでしょ」

  戸惑う彼の手を取って、自分の胸へと導いた。
 少し湿った掌の感触。熱い。服の上から触られていたときよりも、やっぱりずっと熱い。

「ん……っ」

 最初は遠慮がちだった彼の動きが、すぐにさっきの調子を取り戻して大胆になっていく。

七海ななみさんの肌、スベスベですね。すごい触り心地いいです」

 うっとりとしたように言うりっくん。

「……そんなこと、いちいち言わなくていいから。あ、ん……」

 私の胸がりっくんの手の内で、もにゅもにゅと形を変える。好き放題に弄られてしまっているというのに、全然イヤじゃない。むしろ――

「あっ、ん……ぁ、あ、そうだ。海斗かいと、来ちゃう」

 本格的に歯止めが効かなくなってきたところで、ここへ来るようにと連絡を入れていた弟の存在を思い出す。
 上半身丸裸でおっぱいを揉みしだかれている姿なんで、弟に見られていいわけがない。しかも相手はヤツの親友なのだから。

「あぁ。あいつなら来ませんよ。来なくていい、って連絡しておいたんで」

「え。なんで?」

「なんで、って……邪魔だし」

 こともなげに言うりっくんは、話している間も動きを止める気配がない。彼が口を開くたびに生温かい息が胸の先に当たって、そんな微かな刺激でさえも感じてしまう。胸の先にぽっと灯った快感が体内を伝って、脚の間がムズムズと疼く。

「んぁ……ねぇ、海斗、なんか言ってた?」

「『姉ちゃんのことよろしく』って」

「薄情な弟め」

「そんなことないですよ。海斗は……友達思いなだけです」

 やけに優しい声でそう言ったかと思うと、りっくんの手が私の胸から離れて、今度は脚へと伸びてきた。

「っ……あ、ダメ、そっちは……!」

 短パンを捲り上げて、太ももの内側をさわさわと撫でまわしている。その短パンもあっという間に脱がされて、ショーツ一枚にされてしまった。

「こっちももうベタベタですね。気持ち悪いでしょう? 脱いじゃいましょうか」

 さっき私が言ったことをそのままウキウキと繰り返して、りっくんが私を裸に剥いていく。

「すごい……濡れてる」

「だから、そういうこと、いちいち言わなくていいから……っア!」

 りっくんの指がいきなり私のぬかるみに沈み込んできた。ぐちゅぐちゅと音を立ててナカを掻きまわされるたびに、腰が浮くような快感が広がっていく。

「ヤぁ……んっ!」

 りっくんの指がある一点を掠めた拍子に、私の背中が大きく撓った。

「……ココですか?」

「やっ、そこ……ヤダ、ぁ」

 やだやだ、と首を振ってみせても、りっくんは執拗にソコばかり責めてくる。
 本当は自分でもわかってる。
 弱いトコロを集中的に嬲られて、身体が悦んでること。私の身体から溢れた蜜で、もはやソコがトロトロになってることも……。

「本当に嫌だったら、おれのこと突き飛ばしてください」

 ふいに真面目な顔をしたりっくんが、私の目を見て言った。

「もし嫌じゃなかったら……このまま続きをします」

 続き……。
 私ももう大人だ。もちろん意味はわかってる。

 さっきからずっと、ヒクヒク、と物欲しげに疼いていた。痛いくらいに。
 わかってる。
 この疼きを埋める方法はもう一つしかないということ。
 私は腕を伸ばしてりっくんの首に抱きついた。彼の首元に顔を埋めて、囁く。

「イヤ」

 りっくんがひゅっと息を呑んだ。

「……じゃないよ」

「え?」

「続き、しよう」

 りっくんの耳の穴に直接注ぎ込むように、一語一語はっきりと口にする。

「え、あの……いいんですか? 本当に!?」

 うろたえながら念を押すりっくんに、思わず笑ってしまう。

「ヘンなの。さっきまであんなに強引だったくせに、どうして私から迫ると弱気になるの?」

 彼の首筋に埋めていた顔を上げて、りっくんの顔を正面から見つめた。
 恥ずかしい。
 恥ずかしすぎて、ちょっと泣きそう。
 でも、言う。

「……はやく、して」

「七海さんっ!」

 りっくんが私の唇にかぶりついてくる。
 すぐに舌が入り込んできて、私の縮こまった舌を絡め取っていく。お互いに貪るようなキスをしていると、身体の奥の奥まで熱く滾ってくるのがわかる。
 私がむずむずと疼く胸を擦りつけるようにりっくんに密着すると、りっくんが私の両方のふくらはぎを掴んで大きく左右に開いた。
 無防備に晒されたソコに顔を寄せて、ぴちゃぴちゃと入り口を舐めはじめる。

「あっ、あ、ア……ッ!」

 感じすぎてすっかり膨らんでいるであろう陰核を舌先で刺激されて、ビクビクと震えてしまう。
 こんなの無理。
 もう蕩けそう。

「ぁん……りっくん、足りないよ。もっと、大っきいの……欲しい」

「七海さん……!」

 りっくんが焦ったようにベルトを外した。そのまま履いていたものを一気に下ろすと、すっかり準備万端の昂りが飛び出してくる。りっくんのソレが私の入り口にあてがわれる。
 熱い。
 はやく、その熱を打ち込んで――……。

「しまった!」

 なに!?
 いきなり声を上げたりっくんを見上げると、頭を抱えて項垂れている。

「ごめんなさい、ゴム持ってないです……」

 今にも泣きそうな顔で言ったりっくん。
 屹立した凶器はそのままに、しょんぼりと肩を落とす彼がなぜかたまらなく愛おしい。
 これが「母性本能をくすぐられる」というやつ? しかも、こんなに盛り上がってる雰囲気の中で自分からストップかけちゃうその生真面目な人柄も相変わらずだ。
 
「大丈夫、ちょっと待ってて」

 私はいそいそとベットサイドの引き出しの奥にしまい込んでいた箱を取り出した。

「前の彼氏が置いてったの。あ、結構前の話だからね。今はそういう人いないから」

 そこまで説明しなくてもいいかなーと思ったけど、りっくんにいい加減な女だとも思われるのも嫌だから、つい口数が多くなってしまった。

「…………」

 使いかけのその箱を見つめて無言になるりっくん。しばらくじっと目を落としていたかと思うと、ふいにぼそりと低い声で言った。

「今日はこれ借りますけど、次はちゃんと自分で用意します」

「……え? 次?」

 いま、「次」って言った?
 さらっと発せられた聞き捨てならないセリフの意味を確認したかったけど、手早くゴムを装着したりっくんに押し倒されたせいで、タイミングを逃してしまった。

「やっぱりダメって言われても、もう止められないですからね。いいですか、いきますよ」

 真剣な目で見つめられて、私の身体の中心がずくりと疼いた。トロトロと蜜が溢れだして、彼が入ってくるのを今か今かと待ちかねている。
 もう止められないのは私だって同じだ。

「う……ん」

 りっくんに向かってはっきりと頷いてみせると、

「あぁ……っ!」

 力強く貫かれて、悲鳴にも似た嬌声が喉の奥から迸った。

「ぁ、あっ、ヤっ……おく……ふか、い……んぁ」

 奥まで激しく穿たれて、まともな言葉が出てこない。突かれるたびに、ぶるんぶるんと胸が揺れた。りっくんが腰を曲げて揺れる胸に齧りつく。

「あぁ……んっ! それ、やだ、ぁ……っ」

「やだ? じゃあ、もっとしてあげますね」

 くすっと小さく笑ったりっくんが、赤く充血した乳首をちゅうぅぅと強く吸いあげてくる。
 やだやだ。
 気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……!
 私の頭の中で何度も白い光が弾けた。

「なな、みさん……っ、そんなに締めないで……」

「そんな、こと、言われ、ても……っ!」

 そんなの、自分ではどうしようもできない。だって、身体が勝手に悦んで、りっくんを離すまいとぎゅうぎゅう蠢いているのだから。
 私の蜜壷はもうトロっトロのドロドロだ。このまま、りっくんを咥え込んだまま、蕩けて混じり合ってしまいそうなほどに。

「ぁ、なな、み……さん、おれ、もう……っ」

 急にりっくんの動きが速まったかと思うと、がくりと弛緩した身体が私の胸の上に倒れこんできた。
 りっくんもイッちゃった?
 私はりっくんの少し汗ばんだ頭を掻き抱くようにして頭を撫でてあげた。よしよし。

「はぁ、はぁ。七海さん、ヨカッタですか?」

 りっくんが上目遣いで見上げてくる。少し眉毛の下がった自信なさげな表情を「可愛い」と思ってしまう私は……たぶん末期だ。

「……うん」

 私が小さく答えると、

「よかったぁ。もし足りなかったら、何回でも頑張りますから。ん……ちゅ……」

「あ、こら」

 まったく油断も隙もない。
 りっくんがまた私の乳首をしゃぶっている。
 反対側の胸に置かれた手はやわやわと動いているし。

「でも、七海さんも好きでしょう? ココ、弄られるの……」

「や、だぁ……っ」

 いつも以上に敏感になった胸の先をピンっと弾かれて、自分でも信じられないほど甘い声が出てしまった。
 こんな声を聞かれたあとでは、いくら「やだ」と言ったところで、止めてくれるわけがない。
 ……まぁ、止めないでいいんだけど。

「あ。七海さん、おれ、復活しました。もう一回やります?」

「……バカ」

 そう言いながら、私はりっくんの脚に自分のそれを絡めた。

「あの、七海さん。順番が前後してしまいましたが、えーと……あの、」

 りっくんはその後もしばらく「あの」と「えーと」を繰り返し、いい加減待ちくたびれた私が「もういいよ」と突き放してみせると、ようやく本題を切り出した。

「七海さん。あの、えーと、海斗はおれの数少ない友達です。でも、七海さんがそばにいてくれるなら、あいつと友達でなくなっても構いません。おれ……あいつの義兄あにになる覚悟、できてますから……っ!」

 耳まで真っ赤になったりっくんが、もう可愛いやら、愛おしいやらで……。
 私は思わず噴き出してしまった。

「りっくん、話、飛びすぎだよ。私、別に『責任取ってくれ』なんて言わないのに」

「え。いや、あの……でも、おれ」

 困ったように目を泳がせるりっくんの口をちゅ、と塞ぐと。

「その話はまた今度。それよりはやく、」

 私はりっくんの目を真っ直ぐに見つめながら、囁いた。

「もう一回、しよ。ね?」


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