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X-9000I: クロノスI
しおりを挟むX-9000I: クロノスI
南東ソルザ連合陸軍所属
体長高: 203cm
総重量: 1013kg
総出力: 950kw
推定総開発費: 4315億円
第一次大陸最南端戦争、その第一次武力侵攻において南東ソルザ連合侵攻軍は日和神聖帝国有するクグツ部隊にほぼ壊滅させられ、さらには開発中だった新型機バルザックVS10を完成間際にその開発者と設計図もろとも破壊されるという屈辱を味わっていた。そんな中で、南東ソルザ連合政府への国民からの糾弾はすさまじく、より強固な軍事体制への転換のため、政権交代を望む声が危険なほどに高まっていたのである。
南東ソルザ連合政府にとってこれ以上の失敗は戦争に負けないまでも国内政治上の敗北を意味していた。窮地に陥った連合政府は急ピッチで連合製のクグツの実用化を国内の兵器メーカーへと依頼。しかし、バルザックVS10の開発資料を失ったことは連合にとって相当な痛手となっており、ほぼ1から日和神聖帝国製のクグツを研究しなおす状態となってしまったのである。そんな状態であったため、クグツ実用化の進捗は半年を経てなお芳しくなかった。
そんな中、ますます高まる政権交代の波に政府はますます焦りをあらわにする。戦時中なため選挙期間を延期とする特別法案が施行されていたものの、もはや政府転換派によるクーデーターの危険すら高まる状態であった。業を煮やした政府は、なんとまだ量産化も決まっていない状態で新兵器、すなわち連合製のクグツ完成を発表してしまったのである。
その時発表された機体こそ、X-9000I: クロノスIであった。政府の無茶苦茶とも言える発表に対して、兵器開発を請け負った兵器メーカーの面々はもちろん強い反発を示したものの、政府との会合で苦言を呈す程度でそれ以上の追及も情報のリークも行わなかった。
後に南東ソルザ連合でX-9000I: クロノスIの開発に携わった、ディザス電子グループの開発主任は当時のことをこう振り返っている。
「もちろん、政府の発表には憤りを覚えたし、すべてを暴露して台無しにしてやりたいと思った。しかし、それ以上に、南東ソルザ連合国民の沸き立ち歓喜する姿を見ると、この兵器の完成こそわが国民が望む、新たな希望なのだと、そう思わざる負えなかった。それが例え虚構だとしても、その虚構を現実のものとすることが我々の使命なのだと。」
その後、設計上の幾多の妥協と融合炉の小型化を諦めること、そして低品質と言われたAIのアップグレードも見送ることで、なんとか政府が発表した期日にX-9000I: クロノスIは完成をみるのである。
装甲はバルザックVS10でふんだんに使用していた黄ティラティ二ウム合金を局所使用に留め、一定の防御力を保持しつつも量産性の高さと設計時の柔軟性が重視されていた。また動力源である融合炉の小型化をほぼ諦めたことで、上半身とほぼ同サイズの融合炉を背部に装備、その代わり低出力のグラビティキャンセラーによる反重力補助によって1トン近くも増大した重量の軽減を行っている。また、開発時参考にされた日和神聖帝国のヴァイパーDにならってラビットイヤーアンテナを装備。この装備は通信や音波感知用と共に、大型融合炉が発する熱の排熱処理にも使用されていた。兵装は大容量融合炉を活用した高出力3点バースト融合砲であり、敵クグツはもちろんのこと超ド級地上戦艦も1度の射撃で轟沈せしめるといわれる破壊力を有していた。
X-9000I: クロノスIは完成後急ピッチで量産化が行われ、初期生産型として1035機を生産。この時点で第二次武力侵攻が開始され、軍全体からすれば少数ながら、各部隊に配備された。日和神聖帝国製のクグツと違い大型で超高速戦闘に不向きであったことと、AI性能の低さによって同型のクロノスIとの連携行動に不安があったこと、また背部の大型融合炉が弱点となっていることから概ね主力戦車のような運用がなされていたといわれる。すなわち、クロノスIを中心に随伴する部隊が存在しクロノスIの戦闘を補助する形である。AI性能が低かったとはいえ、照準性能は正確無比であったクロノスIは、随伴する部隊がクグツ部隊と交戦している間に照準を定め、驚くほど正確に敵クグツを打ち抜くことができたのである。
こうして、第二次武力侵攻で一定の成果を上げたクロノスIにより第一次大陸最南端戦争は膠着状態に陥るが、このクロノスIに対抗するため日和神聖帝国は新たに対クグツを想定した初のクグツ、クェーサーストライクを開発することとなるのである。
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