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FWB-2032: フレイム・ウィング・バルトレット
しおりを挟むFWB-2032: フレイム・ウィング・バルトレット
ヴァルアデール公国空軍所属
体長高: 159cm
総重量: 240kg
総出力: 3430kw
推定総開発費用: 1兆330億円
第一次最南端戦争後期、日和神聖帝国対して明らかに旗色が悪くなっていたヴァルアデール公国は既存クグツ兵器方針の大きな転換を余儀なくされていた。開戦直後の第一次、第二次武力侵攻の混乱期を経て、FRR-2000: フレイムレッドレイジャーによる大艦巨砲主義的クグツ開発、そしてRRE-4000: ルビーフレアによる物量作戦を主体とするクグツ開発への移行により一定の成熟をみたヴァルアデール公国のクグツ開発であったが、ここにきて、日和神聖帝国製クグツの急速な高性能化に対してルビーフレアとその派生機種の旧式化が問題となっていたのである。
ヴァルアデール公国はルビーフレア開発時点で10年程度の運用期間を見込んでいたが、数年も経たない短い期間で日和神聖帝国製の新型クグツが3機種も投入されたのである。それら新型クグツに対してルビーフレアとフレイムレッドレイジャーは性能的に大きく差を開けられており、戦闘時ほぼ一方的に撃破される事態をまねいていた。これによって、日和神聖帝国とヴァルアデール公国との戦線はヴァルアデール公国側のいくたびの敗戦によって大きく後退することとなるのである。
この一連の敗戦に対してヴァルアデール公国統合貴族会は緊急集会を開き、より多くの軍事開発費を国庫から捻出すべきとの意見が総会員数の8割を占めた。それでも、国庫へ莫大な支援をする有力貴族の中には、既存の軍事費で事をおさめるべきとする、貴族も複数おり、数か月の長期にわたって会議が繰り返されたのである。最終的にどのような合意があったのか記録として残されていないものの、国庫から莫大な額を軍事費へと捻出する方針が可決されたのである。
こうして、ヴァルアデール公国軍は十分な予算を持って新型クグツの開発に着手する。今まで少ない予算での開発を余儀なくされてきた技術者たちにとって、この新型クグツの開発は歓喜を持って迎えられ、当時のヴァルアデール公国技術力の総力を持って開発が進められた。
こうして完成したのが、第一次最南端戦争時傑作機の1機として数えられる、FWB-2032: フレイム・ウィング・バルトレットである。装甲はヴァルアデール公国製のハイブリッドプラティナ合金をふんだんに使用、汎用フュージョンキャノン程度あればほとんどダメージを負わないほどの強靭な装甲を有していた。配色は赤と白のツートン。ハイブリッドプラティナ合金の白色をベースとしてヴァルアデール公国のナショナルカラーとされる赤色を配色され、ヴァルアデール公国を代表するクグツとして特徴的な印象を与えられていた。背部には竜弓類の翼を模した新型ウィングが装備され、この機体のために新開発された新型融合炉を3基装備。この新型融合炉により、実に3430kwの出力を発生する。また巨大マント型追加装甲が両腕をほぼ覆う位置にまで拡張装備され、その高速性能と堅牢性は当時開発された他のクグツの追随を許さなかった。実際、フレイム・ウィング・バルトレットの撃破記録は驚くほど少なく、小破から中破程度の記録がほとんどであり、この機体を撃破することの困難さが記録に如実にあらわれる形ともなっている。
兵装は両掌に装備された高出力フュージョンキャノンであり、それだけで一撃のもとに敵戦艦を撃沈することが可能であった。また、両手を合わせ、直線的に前に突き出すことで3機の融合炉からのエネルギー供給を最大効率とし、莫大なエネルギー砲を放つ、いわゆるハイパーフュージョンキャノンを初めて実現したのもこの機体である。
まさに、ヴァルアデール公国の威信をかけ開発された本機であったが、あまりに高性能化にこだわりすぎたため、その量産性は劣悪であり、80機が生産されたのみで、その後この機体が生産された記録は途絶えている。
しかしながら、この機体がヴァルアデール公国軍の士気高揚の旗印としていくつもの戦線に投入され、その都度劇的とも言える戦果を上げたことは否定しようのない事実であり、ヴァルアデール公国の厳しい国庫事情が改善されていたのであれば、さらなる生産と新型の開発が行われていたと考えられる。
また、明確な生産停止理由は記録として無いものの、そのヒーロー的とも言える外見から国民や兵士たちからの人気は絶大で、ある種特別なエース機体としての役割を、より明確に定義するために量産化を取りやめたとされる説も存在する。
いずれにしろ、FWB-2032: フレイム・ウィング・バルトレットは総生産数80機という少ない生産数ながら、様々な戦場でエース機として活躍し、その戦績が確かな軌跡を残していくのである。
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