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BBB-2344Z: バルザックVS10
しおりを挟むBBB-2344Z: バルザックVS10
南東ソルザ連合新兵器開発部所属
体長高: 150cm
総重量: 255kg
総出力: 610kw
推定総開発費: 1015億円以上
BBB-2344Z: バルザックVS10、この機体は最南端戦争中期、第二次武力侵攻時に日和神聖帝国のクグツ部隊から手痛い打撃を受けた南東ソルザ連合が対クグツ用兵器として試作した初期クグツの1機体である。
装甲は南東ソルザ連合領で採掘できる黄ティラティニウムの合金でそのすべてが覆われており、拡散型のフュージョンキャノンであれば数発の直撃にも耐えうる防御性能を誇っていた。兵装は胸部に装備した大口径フュージョンキャノン2門で、これは超弩級地上戦艦を除く主力戦艦を1撃で撃沈しうる火力を想定されていた。しかし、実際にはそれだけの火力を発生させるだけの小型融合炉の開発が難航し、実際に試作された初期機体では通常の小型融合炉が装備され、その口径の大きさゆえに威力が分散し、日和神聖帝国製のクグツの装甲を貫通できないという致命的問題をかかえていた。本資料に記載してあるのは正式な資料の残る初期型のスペックと開発費である。
この問題を解決すべく南東ソルザ連合新兵器開発部で当時バルザックVS10の開発主任をしていたディ・アル・ダンは、専用の弩級戦艦で昼夜を問わず新型融合炉の開発を続けていた。真偽は定かではないが、このときディ・アル・ダンは新型融合炉の開発に必要な当時未発見であった超融合結晶を、占領した日和神聖帝国領内で手に入れており、これをもってほぼ完成に近いバルザックVS10を開発していたとされる。この完成形バルザックVS10のスペックは総出力1万kwを有に超えていたとされ、もしそれが本当であれば現在では同質の超融合結晶製の融合炉を装備すると言われる鋼鉄双竜騎士団の精鋭機に次ぐ スペックを誇ることとなり、当時基準としては破格のスペックを誇っていたということになる。また、このバルザックVS10は量産を念頭に開発されており、もし量産をも可能としていたとすれば、最南端戦争の趨勢は大きく変わっていただろうと推測されている。
結局のところ、超融合結晶の獲得に強引な手を使わざるをえなかったことで、この新型機の情報は日和神聖帝国の諜報部に容易に傍受されることとなった。日和神聖帝国諜報部はこの新兵器の危険性を即座に理解し、開発阻止作戦を提言。これにより南東ソルザ連合新兵器開発阻止のための地上弩級戦艦強襲作戦、作戦名タチガ11作戦が実行されたのである。この作戦には戦艦内突撃部隊としてヴァイパーGとジュエルGの2個中隊と、陽動のための地上部隊として空中戦艦3隻とクグツ部隊を除く地上戦力一個大隊分が投入された。
この戦いでディ・アル・ダンにより起動された開発途中のバルザックV10により空中戦艦3隻が大口径フュージョンキャノンにより塵と消え、同時に地上戦力の約40%が消失した。ただこれは、突入したクグツ部隊との戦闘により地上弩級戦艦内で発射されたものであり、地上弩級戦艦の半分をも消失させてしまったのである。これは南東ソルザ連合のAI性能の低さにも起因していたとされ、バルザックV10も例に漏れず味方の損害を正確に判断するだけのAI性能を備えていなかった。このバルザックV10の砲撃によりディ・アル・ダンと彼が秘匿していたバルザックV10自体の研究結果と設計図などのデータが同時に消し飛んだのであった。その後、バルザックV10とクグツ2個中隊の激闘の末にほぼ相打ちという形でバルザックV10は機能を停止する。その結果はディ・アル・ダン配下の地上弩級戦艦と艦内戦力のほぼ全てが全滅、日和神聖帝国の3隻の空中戦艦の轟沈、地上部隊の80%の損耗、そしてクグツ部隊はヴァイパーG1機を残すのみという結果となった。この戦闘により南東ソルザ連合製のクグツ開発を一定期間遅らせた日和神聖帝国であったが、この1年後には南東ソルザ連合製の新型クグツ、クロノスIが戦線に投入されることとなる。
こうして、本格的な戦争投入以前に破壊されたBBB-2344Z: バルザックVS10だったが、この戦いは融合大陸歴上で初のクグツ同士の戦闘とされ、この戦闘の詳細と共にバルザックVS10も重要な歴史の一部として記録されるのである。
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