融合大陸（コンチネント・オブ・フュージョン）メカガール・コーデックス

融合大陸(コンチネント・オブ・フュージョン)

本題に入る前に比較的専門的な内容である本書を読み進めるうえで前提となる知識を簡単に説明する。

「融合大陸コンチネント・オブ・フュージョン」

融合大陸の始まりは明確には分かっていない。少なくとも50億年以上前、ビックバンによって広がるに任せられていた宇宙はグレート・アトラクターによって銀河規模、あるいは銀河団規模で1点に引き寄せられはじめたとされている。このグレート・アトラクターによって集められた銀河、またそれが内包する星々は、一様に合体し平坦にされ広大な大陸となっていくこととなるのである。

グレート・アトラクターに巻き込まれる前、星々はいずれも一定の物理法則の元に存在していた。そのため、このグレート・アトラクターと融合大陸によって発生する星々の大陸化現象について、実際に発生しうる出来事として予想しえた知的生命体は皆無であった。

それもそのはずで、グレート・アトラクターはブラックホールをも超える超重力現象であり、宇宙検閲官仮説を参考にするのであればグレート・アトラクター内部は事象の地平面であり特異点定理による特異点が発生してるのである。この時空の特異点により物理現象と因果律は崩壊し、あらゆる現象がグレート・アトラクター外部と内部とで異なることとなるのである。

「始まりの神話」

融合大陸の成り立ちについて非常に古い伝承がいくつか残っている。

以下は始まりの大地と言われる、融合大陸の最初の大地とされる土地で発掘された碑文の内容をまとめたものである。

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太古の世に、無数の世界ありき。しかれども、その世界は態様ことごとくに異なり、絶えず争いの炎に包まれけり。

かくの如き混迷を見れば、或る神世に舞い降りぬ。この神は自らの大なる力を知り、「世界を一つに合わせば、この争乱や眩暈や永く収まるべし」と心に企てけり。

神は世界統合の企を実行せんと試みしも、世界は己が姿を守らんと顕わに抵抗を示せり。神は憤怒を募らせ、幾たびとなく災厄を世界に下したれど、その望みは空しく、世界は破壊と混沌のみを極めしのみ。

しかれども、神の力の及ぶところ、大地のみは１つの世界として統べられたり。

神は力盡く、憔悴しける面持ちにて傷ましく訴えけるが、世界は耳を貸さず。これ以上なすすべなく、望みを絶たざるを得ざりき。
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また以下は古くから存在する分離教セミーク・ノワカーヨートル教の経典にある短い1文である。

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かつて世界が幾千幾万にもあったとき 
考えたのだ、一つにあらねばと 
それは、かの神の傲慢ゆえだと 
気づけなかったのだろう
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その他多くの言い伝えや文書が残されているが、概ね古代のある神が世界を１つにしようとしたという内容は一致しており、神族の存在が科学的に認知されている融合大陸においては通説としてそれなりに普及する説となっている。