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「彼女は僕の……」 テーマ 王宮or神殿or豪邸 神視点 主人公 ナマス 15歳
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ナマスは猫を追いかけていた。
家から脱走した飼い猫のミケが魚屋の魚を咥えたまま、目抜き通りを通り過ぎ、路地裏に入り、一目散に逃げているのだ。
ナマスは魚屋に軽く頭を下げて謝罪して、そのままミケを追いかける。
しかし、ミケは思いもよらない場所に逃げ込む。
いや、ミケは知るよしもないだろう。
生まれて初めて家の外に出たミケは一般の人間が決して立ち寄ってはいけない、神殿に入ったことなど知るよしもない。
神殿を獣を入れたなんて知られれば、お上から相当お怒りをくらうことだろう。
もしかしたら、禁錮刑になるかもしれない。
頭頂部から気持ち悪い汗が滲み出、顔から汗が落ちていく。
(とにかく、ミケを見つけなければ……)
幼い頃に妹と離ればなれになった、ナマスは家族というものはミケしかいない。
だから、必ず連れて帰らなければ……。
入り口は、真っ白い石でできた、真ん中が膨らんだエンタシスの柱が林立している。
進んでいくと、建物の中に入る、両開きの扉が出迎えていた。
扉は金属製で、何かの植物の模様が外側を囲っていた。
少し開いている。そこからミケが入ったのだ。
ナマスは狭い隙間から体をどうにか入れ込んで、中に入った。
外はカンカン照りだったので、中の暗さにびっくりしてしまう。
だが、どんどん慣れてくる。
扉から一直線に絨毯が伸びており、周りを燭台に立てられた蝋燭が燃えていて、辺りを照らしている。
少し視線を奥にやると、階段があり、御簾の中に誰かがいる。
そして階段の下に黒いケープを着た、年老いた神官が並んで立っていた。
「誰だ!」
御簾の中の誰かが叫んだ。
ナマスに全員の視線が集まる。
「ここは神殿だと知ってのことか?!」
鼓動が暴れ馬のように鳴っている。喉から何も発することができない。
しかし、ナマスはその声に聞き覚えがあることに気づく。
そう感じると、ナマスは自然と、足を進めていた。
神官どもが、一斉に腰にすえた曲刀を手にする。
しかし、ナマスの歩みは止まらない。
女の顔を凝視する。
肩までかかる漆黒の髪に巻かれたヘッドジュエリーにはダイヤのような輝きが煌めいていた。
レースのように肌が透けて見える生地でできた服は、まるで新婦が着るウエディングドレスのように美しかった。
体のラインはよく分かり、小ぶりの胸に、小さな体。
まだ成熟する前の女性だということはよく分かる。
(彼女は……)
そう見間違える訳がない。
整った顔というより、可愛らしい造形。鼻も口も小さいが、吸い込まれそうな、澄んだブルーの大きな瞳は彼女以
外有り得ない。
「アンジェラ……」
女は目を見開いた。
そう彼女はナマスが幼い頃別れた、妹、そのものだった。
家から脱走した飼い猫のミケが魚屋の魚を咥えたまま、目抜き通りを通り過ぎ、路地裏に入り、一目散に逃げているのだ。
ナマスは魚屋に軽く頭を下げて謝罪して、そのままミケを追いかける。
しかし、ミケは思いもよらない場所に逃げ込む。
いや、ミケは知るよしもないだろう。
生まれて初めて家の外に出たミケは一般の人間が決して立ち寄ってはいけない、神殿に入ったことなど知るよしもない。
神殿を獣を入れたなんて知られれば、お上から相当お怒りをくらうことだろう。
もしかしたら、禁錮刑になるかもしれない。
頭頂部から気持ち悪い汗が滲み出、顔から汗が落ちていく。
(とにかく、ミケを見つけなければ……)
幼い頃に妹と離ればなれになった、ナマスは家族というものはミケしかいない。
だから、必ず連れて帰らなければ……。
入り口は、真っ白い石でできた、真ん中が膨らんだエンタシスの柱が林立している。
進んでいくと、建物の中に入る、両開きの扉が出迎えていた。
扉は金属製で、何かの植物の模様が外側を囲っていた。
少し開いている。そこからミケが入ったのだ。
ナマスは狭い隙間から体をどうにか入れ込んで、中に入った。
外はカンカン照りだったので、中の暗さにびっくりしてしまう。
だが、どんどん慣れてくる。
扉から一直線に絨毯が伸びており、周りを燭台に立てられた蝋燭が燃えていて、辺りを照らしている。
少し視線を奥にやると、階段があり、御簾の中に誰かがいる。
そして階段の下に黒いケープを着た、年老いた神官が並んで立っていた。
「誰だ!」
御簾の中の誰かが叫んだ。
ナマスに全員の視線が集まる。
「ここは神殿だと知ってのことか?!」
鼓動が暴れ馬のように鳴っている。喉から何も発することができない。
しかし、ナマスはその声に聞き覚えがあることに気づく。
そう感じると、ナマスは自然と、足を進めていた。
神官どもが、一斉に腰にすえた曲刀を手にする。
しかし、ナマスの歩みは止まらない。
女の顔を凝視する。
肩までかかる漆黒の髪に巻かれたヘッドジュエリーにはダイヤのような輝きが煌めいていた。
レースのように肌が透けて見える生地でできた服は、まるで新婦が着るウエディングドレスのように美しかった。
体のラインはよく分かり、小ぶりの胸に、小さな体。
まだ成熟する前の女性だということはよく分かる。
(彼女は……)
そう見間違える訳がない。
整った顔というより、可愛らしい造形。鼻も口も小さいが、吸い込まれそうな、澄んだブルーの大きな瞳は彼女以
外有り得ない。
「アンジェラ……」
女は目を見開いた。
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