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九話 とある探検好きな女性の話
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これは、いつの話か分からない。ここではない、何処かの話。
ここは、人間の住む町。あっちもこっちも人間だらけ。
この世界は、楽しい事がいっぱいある、面白い世界。
魔法?何それ?食べたら美味しいの?よく分かんない。
今は夜。視線を上にして、空を見る。今日の月は、半分の大きさ。
確かこれって半月って言うんだよね?一番大きい月の半分の大きさだから半月か、なるほど分かりやすい。
故郷の森から見ても、人間の町で見ても、月は変わらない。
でも夜空を見るのなら、やっぱり故郷の森で見た方が良いなぁ。空気も綺麗だし、風が気持ちいいの。
ていうかこんなところで見たところで、夜空があまり見れない。楽しくない。こんな牢屋の窓から見たのでは、楽しめない。月は見えるけど星が見えない。
なので、視線を下に戻す。うん、もうおやすみしたんだね?
私の膝の上で眠る、人間のお兄さん。息が無い。もう二度と動かない。開きっぱなしの眼をゆっくりと閉じてあげて、頭を持ってゆっくりと床に下してあげる。
ありがとう。私を優しく愛してくれて。ここを出たら一緒に暮らそうと言ってくれて。もし妊娠したら、責任を取ってくれると言ってくれて。
ごめんなさい、私は悪い女なの。お兄さんから情報を聞き出すために、こんなことをしたの。人間の世界には、こういう作戦があるって聞いたから、ヤってみたの。
そして、私は毒蛇。人間ではないの。人間とは一緒に暮らせないの。人間とは子供が作れないの。ていうか、そもそも私達の仲間って妊娠できるのかな?時々話題になるけど、どうヤっても子供が作れないよね、私達って。
思えば私達って、不思議な生き物。だから面白い。楽しい。
それじゃあ。お兄さん、バイバイ。服は脱ぎ散らかしたままにするね?着せ方がよく分からないから。おやすみなさい。どうか安らかに、自然へ還ってね。
これが、人殺しというものなんだね。
人間を殺すのは、これが初めてだと思う。しかも、毒を使って。
私の毒はとっておき。だからこそ、滅多に使わない。無闇に使ってはいけない。身を守るための時にしか使わない。ていうか狩りで使ったら獲物が毒まみれになって食べられなくなるから、基本的には使いたくないの。
命を奪うこと自体には慣れている。ご飯を食べるために、他の生き物を狩るのは当たり前の事。ずっとそうやって生きてきた。私も、仲間達も、みんな。
命を奪うのは、生きるために行っている。食べるために。もしくは、誰かに襲われたから、身を守るために返り討ちにした。これは普通の日常。当たり前の話。
でも。私は今、何をしたの?私の事を愛してくれた人を、殺してしまった。彼の言葉の全部が本心だったとは思っていない。でも、彼は私に優しくしてくれた。それだけは真実。とても楽しい一時を過ごせた。
なのに、私はどうして、彼を殺してしまったの?食べるため?違う。自分の身を守るため?それも違う。
これは、私達の戦い。これ以上、仲間が傷つくのを防ぐため。
そういう意味では、身を守るために戦っているとも言えるけど。本当に、この人を殺す必要はあったの?命まで奪う必要はあったの?
命を奪ったのは、自警団の団長さんの頼み。もしこのまま生きて帰してしまうと、私達の身の危険にも繋がるかも、と言ってたから。
だけど、この牢屋にずっと入れて、生かしてあげることはできなかったの?私が故郷に連れ帰って、一生面倒を見てあげることはできなかったの?
これじゃあまるで、私も人間達と同じだね。人間達は武器を取り、互いに殺し合っている。食べるためでも、身を守るためでもないのに、誰かを殺す。誰かの命を奪う。
これだけは、未だに理解できない。どうしてそんな楽しくないことをしているのか。でも私のように、譲れない思いのために戦って、殺し合っているのであれば。今なら少しだけ、理解ができるかも。
小さくなれ。私の体、小さくなれよ。
月のように。小さくなる月のように。小さくなれ、私の体よ。
そう思うだけで。私の体は縮み、人間の姿から、蛇の姿になる。
・・・いつから、こんな事ができるようになったんだろう?
私の場合は、好きな時に姿を変えられる、というか変えられるようにした。なにせ元の姿は毒蛇だからね。余計な毒を振り撒かないようにするために、頑張って練習したの。
牢屋の壁をよじ登り、窓を出て、屋根の上に登って、空を見上げる。
うん。綺麗な夜空だ。故郷の森よりは空気が薄暗いけど、見える。私には分かる。たとえどんなに暗くて寒い日でも、いくらでも見える眼を持っているから。
思えばこれも、普通とは違う事なんだね。
故郷の、人間になれない蛇の子達と、話をしたことがあるの。普通の蛇って、そんなに眼が見えないんだって。でも私には見える。いくらでも見える。
人間の姿の時でも見える。普通の人間も、暗い夜の間はそこまで眼が良くないはずだよね?なのに見える。私だけでなく、仲間達もみんな眼が良いの。
ついでに言うと、元の姿のままで人間の言葉が喋れるっていうのも、普通ではあり得ないよね。何なのコレ、改めて考えてみると意味が分かんない。
やっぱり私達って、不思議。でも、面白い。
分からないから、面白い。楽しい。これが私。これが私達なんだ。
夜空を見る。ずっと月を見ている。
私は、人間の町に時々行くから。面白い事を探して、町中を探検したくなることがあるの。だから色々と、人間の生活や、言葉というのを覚えたの。
今日は半月。月は半分こ。だからハーフムーン。
しばらくすると、満月。一番大きな月。だからフルムーン。
逆に一番小さな月は、新月。もはや真っ暗。ニュームーン。
そして、細い線のような月。三日月。クレッセント。
クレッセントって、大きくなる、って意味なんだって。なるほど、やはり月と私達は同じだ。大きくなったり、小さくなったり。月も私達の仲間なんだね。
やはり、この世界は不思議な事がいっぱい。さあ、今日も探検しよう。屋根を飛び降り、地面を這ったり、建物の物陰に隠れたり、時には穴の中に入ったり。
姿を見られずに移動するのは得意なの。ていうかこれも頑張って身に付けた。最初の頃は、人間達には血眼になって追いかけ回されたからね。
こんなところに猛毒の蛇がいる、こんなの放っておいたら危険だ、駆除しろ、って騒がれて、追いかけられて。これについてはマジで反省している。人間達にとっては、身を守るための行動だったんだよね。これは仕方のない事だから許す。
だから今度は人間の姿になってみたけど、これまた人間達に騒がれてしまった。真っ裸の変態がいるだとか、痴女がいるだとか、ワイセツの罪で逮捕するだとか色々。
人間の世界では、裸で出歩くのが禁止だなんて・・・。これについては未だに納得がいかないけど、ここは人間の世界なんだから、人間達のマナーは守らないとね。でも服を着るのは好きじゃないから、結局は蛇の姿で探検することにしている。
おや?いきなり人が集まっているのを見つけた。様子を見てみる。
「ハァ、この女も長くは持たなかったなぁ」
女の人を2人掛かりで担ぐ男達。そして、それを遠巻きに見ている人達。
「仕方ねぇよ。もともと病弱だったのに、一人息子が失踪しちまったんだ。もしかしたら息子も既に・・・おっと、不謹慎だったな」
女の人はぐったりしている。いや、分かる。その様子を見れば嫌でも分かる。あの女の人は、もう既に死んでいる。
「どうしようコイツ。適当に埋めておくか」
「まぁそれで良いだろ。この町では、いちいち墓なんか作らないからな」
人間の世界では、死んだ人間はそのまま土の中に埋めたり、燃やして骨だけを埋めるのが普通らしい。土の中に埋めるのはまだ分かるけど、燃やすのはちょっと可哀想じゃないかな?死ぬほど苦しんだ後に、燃やして更に苦しめるとか酷すぎる。
ていうかそのまま埋めるのももったいない。命がもったいない。こういう場合は、食べられるところはできるだけ食べるのが普通じゃないのかな?
ある程度食べたら、残りは小さな動物や、虫達が食べてくれる。命は無駄なく食べつくす。命は無駄にしてはいけないから。このおかげで、私達は生きているのだから。
これは私達が変なのか、人間達が変なのか。やはり私達と人間は違う。私達は人間の姿になれるけど、人間ではない。かといって、私達は普通の動物でもない。
やはり私達って不思議。不思議な仲間達。私達だけの不思議な世界。
だからこそ私達は、仲間を大事にする。何があろうとも、仲間と共に生きる。仲間達との絆は何よりも固く、重い。この絆は、誰にも邪魔させない。
となると、次に行く場所はココだね。
ふっふっふ。私は人間の町に来たら、必ず娼館を覗き見するんだ。
知ってるよ、人間の男達は交尾をするために、仕事をして、お金を稼いで、そのお金でここに来て交尾をするんでしょ?うん、冷静に考えるとマジで意味分かんない。
交尾なんて、適当に異性を捕まえてヤればいいのでは・・・?人間の世界でも、お互いの合意があれば好き放題ヤっていいんでしょ?なのになんでこんな面倒なことを。やはり人間達は、なんと不思議な生き物なのだろう。
ではこっそりと、天井から入ってしゅるしゅると。うわぁぁお、あっちもこっちも交尾してるぅ。でもやっぱり、私の知ってる交尾とは、色々と違うんだね。
男の人のチンコを、手で握ったり、口で咥えたり。交尾をするためにわざわざお金を払っているのに、性器同士を合体させないとはこれいかに。私には理解が難しい世界だ・・・。でも人間の男は、こうしてあげると喜ぶんだね。勉強にはなる。
えっーと、確か白狐の部屋は・・・あっ居た。
「すみません先輩、少し用事があって」
扉を閉めた2人部屋の中で。1人の女性の前に、1匹の白狐・・・が、どんどん大きくなり、白髪の小柄の女性に姿を変える。もちろん裸。
「ええ、深くは聞くつもりはないわよ。それにしても凄いわねぇ、アンタの魔法は。じゃあ、最後の客は2人でヤりましょうか」
いやぁ、本当にお疲れ様。人目に付かないように白狐に戻って、ここをこっそり出て、私が牢屋でヤってる間、闇に紛れてこっそり話を聞いて、すぐに牢屋を出て調査して、私に報告した後ここに戻ってくる・・・中々のハードスケジュールだ。これが娼婦兼自警団の仕事かぁ、大変だね。
あの女性は、言うならば私達の新しい仲間。白狐とは同じ日に働き始めた人だけど、交尾の技術が色々と物凄いので、私達は敬意を込めて先輩さんと呼んでいる。
先輩さんは、とある事件がきっかけで私達の存在を知ってしまった人。でも悪人じゃない。むしろ良い人。人間嫌いである白狐も、ある程度は心を許している。
今のところ、この町に住む人間で私達の存在を知っているのは、あの先輩さんと、自警団の団長さんの2人。
先輩さんは、仲間というよりは護衛対象と言った方が良いのかな?冒険者にもそういう仕事があるよね?特定の人を、何が何でも守るという仕事。
私達には、あの人を守る義務がある。白狐が娼婦としてここで働いてるのも、あの人のすぐ近くについて守ってあげるため。ちなみに娼婦をヤるように提案したのはリオン。人間の交尾の知識を身に付ける良い機会だと言っていたね。
といっても、白狐1人だけであの人を守るのも限界があるから、さっき白狐が抜けている間は、他の・・・おっと秘密。とにかく、私達の何人かが、この町に滞在している。
ということで、白狐の仕事内容を確認させてね?違うよこれは覗きじゃないよ?仕事上で必要な確認作業だよ?興味本位で見てる訳じゃないからね?
下半身丸出しの男と、服を着た先輩さん。そしていきなり服を脱ぐ白狐。
「おおう、こっちの子はヤる気のようだね。それじゃあ、ええと」
「ヨヅキと申します。まだ始めたばかりなので上手くできるか分かりませんけど・・・よいしょっと」
おおう、まさか白狐が人間の男のチンコを口で咥えるようになるとは。
おっといけない、ここでは白狐ではなくヨヅキか。白狐のヨヅキ・・・うん、イイかも。私も人里で毒蛇と名乗るのはアレだし、何か名前を作ってみようかな?
ちなみに、ヨヅキは極度の人間嫌い。だから、見ず知らずの人間の男を相手にするこの仕事が、上手く行くのか不安だったけど。
「お、おう、ヨヅキちゃん、もっと、激しく」
「えぇ・・・まだ始まったばかりです。じっくりヤりますね?」
思ってた以上に、楽しそうで何より。ヨヅキも案外むっつりスケベだからね。
ベッドの端に座る男の前にしゃがんで、舌だけでじっくり舐め回す。しかも、超ゆっくり。男は見悶えている。
「ふふ。イイ、男が、こうしているの、イイ、ふふ」
「ヨヅキ、あまりイジワルはしちゃダメよ?」
ああ、なるほど。ヨヅキはいつもリオンにいじめられてるからねぇ。だから逆に男をいじめたい訳か。中々イイ顔をしてらっしゃる。
「うぐっ、出る・・・う、いや、そこで止めるのはちょっと・・・」
「ごめんなさい。私、新人なので下手なんです。では先輩、代わりにお手本を見せてもらっても良いですか?」
「フッ、ヨヅキも悪い女ねぇ。イイわよ、私の技を見せてあげる」
おおお!2人掛かりでチンコを舐めるとは!こういう技もあるのか!
・・・こうやって、他人の交尾を覗き見するのって、出歯亀って言うんだよね?私は蛇なのに、亀とはこれいかに。人間であり蛇であり亀であるとか、もはや不思議な生き物を通り越して化け物なのでは。
そういえば世の中には、ゲンブとかいう蛇と亀が合体した化け物がいるって聞いたけど・・・。なるほど、つまり私はゲンブだったのか。納得した。
では早速、私も実践してみよう。ていうか交尾したい。
さっき牢屋では楽しく交尾できたけど、まだ足りない。ていうか娼館内のアレコレとかヨヅキと先輩さんを見てたら発情しちゃった。まだまだヤりたい。
なので、ちょっくらヤりに行く。またの名を夜這い。地面を這いながら移動する私にはピッタリの言葉だ。
ふっふっふ、自警団の人達と話をしてるのを聞いたんだ。今日はもうすぐ仕事終わりで、今夜から明日の昼までは仕事がお休みなんだよね?
そして、ここが住んでいる家だよね?また屋根から忍び込んで、こっそり待ち構えて・・・ふふ、来た来た。服を着替えて、ちょっとお酒を飲んで、寝床に入った。よし、ターゲット、ロックオン。
「お邪魔しまーす」
屋根上から団長さんのお腹へ優しく着地。またの名をベッドイン。
「えっ・・・ギャアアアアア蛇がああああああっ!?」
あっゴメン。当然の反応だよね、マジで反省する。
大きくなれ。私の体、大きくなれよ。
月のように。大きくなる月のように。大きくなれ、私の体よ。
「団長さん、私だよ?怖がらないで欲しいなぁ」
団長さんのお腹の上に、跨って座る。
「えっ・・・あ、ああ。あなたでしたかブホッ!?」
ねえ、だから何でいきなり鼻血を出してるの?
まぁ・・・自警団の団長さんだから、仕事で疲れてるのかな?ベッドから降りて、鼻血が止まるまで待っててあげるね。
「ふぅ、ひぃ、はぁ、思い出せ、白狐さんに殺されかけた日を・・・オエッ。ふ、ふう、ようやく鼻血が止まった・・・」
オッケー。それじゃあ早速ヤりますか。服を着せるのは苦手だけど、脱がせるのは得意なんだ。行き倒れの人間の服を脱がしたことは何度かあるからね。
「え、ええと毒蛇さん?私はまだ理解が追い付かないのですが」
「あー、団長さん。この町では、そういう呼び方は止めて欲しいなぁ」
団長さんは抵抗しているけど、まるで意味が無い。はい、完了。団長さんを仰向けにしてベッドに押し込み、優しく上にのしかかる。
「私の事は、ゲンブって呼んでよ」
「えっ、玄武ってこれまた物騒な名前をヲヲヲウ!?」
疲れてるようだから、おっぱいで顔を挟んであげるね?
団長さんの頭を、私の胸ごと抱き抱えるようにして、おっぱいで顔をスリスリ。顔の上から下へ、横にも振ってあげる。
「オオオうわわわわハワワワワあううううナイスバディが私の眼の前にアウウアウアふはははは」
なんか変な声を出しているけど、嫌そうじゃないよね?チンコが物凄いことになってるから。私の体に押し付けてくる感触で分かる。ふふ、元気出してくれた?
じゃあ、お次はこれ。はいどうぞ、私の乳首を口に入れてあげるね?
「う、赤ちゃんみたいで恥ずかしい、でも止められないぃ・・・」
あうううん私にも結構クる。乳首って繊細だし。これって本当は生まれたての子供にやることだよね?でも大人の男も、おっぱいを吸うのが好きなんだね?イイよ、もっと吸ってイイからあうううん!
ふ、ふふ。団長さん、おっぱいが好きなんだね。
イイよ、もっと、あ、あう、あうう。
「ああ、ゲンブさんの胸って、やっぱりイイなぁ・・・」
「あ、ふあ、あ、あう、あ・・・」
今度は私が仰向けに寝かされて。団長さんが上。
そしておっぱいを揉まれ、乳首を舐められ、吸われて、
「い、痛、で、でも、あ、い、イイ・・・」
「ふふ、この前甘噛みしてきましたよね?そのお返しです」
私の乳首をひたすら味わって。もう片方は、指でクリクリ。
しばらく乳首を味わったら、今度はもう片方の乳首に噛り付いて、もう片方は同じく指でコリコリ。摘んだり、撫でたり、
「あああああああっ!う、あ、それ、な、にぃ、痛ああああっ!?」
指を思いっきり、叩きつけてきた。デコピン、って言うん、だよね、これ、痛いっ!で、でも、な、あ、甘噛みしながら、デコピンは、いや、痛、両方の乳首が、同時に、キ、て、
「イっちゃうううううう!あああああああっ!」
これが、絶頂。イくとも言う。蛇の姿の交尾では絶対にありえない、とっても不思議で、気持ち良くて、癖になって、たまらなくて。
あ、あう、乳首は繊細って言ってるのにぃ。団長さんの顔をジロリ。
「え、いや、まさかこれでイくとは思わなくて・・・」
あ、違う。そういう意味じゃない。もっとヤって?――痛あああい!
痛いのに気持ちいいとか、これまた不思議。でも癖になる。あううん!
交尾。人間の世界でいうとセックス。エッチとも言う。
交尾とは、子供を作るために、子孫を残すために行う儀式。
でも、私には子供が作れないから。発情期でもない限りは、そんなことをする必要は無いと思ってた。でも、違ったんだ。人間の世界には、子供を作る以外の交尾もあるって知って。
「ふ、ふふ、ゲンブさん、やっぱり、コレ、です、か」
気持ちよくなるため。楽しむため。一緒になるために、交尾をする。
そして。そのために、私なりに考えた交尾が、コレなの。
「今日は、自警団の、お仕事、手伝った、から。責任、取ってね?」
ふふ。人間の男って、責任っていう言葉に弱いんだよね?
またまた団長さんを下に、私が上に。体を重ね、一緒になる。交尾だからもちろん性器同士も一緒。でも動かない。挿れてるだけ。一緒になっているだけ。
もっと私を抱き締めて。体を絡ませて。もっと強く、もっと、もっと、唇を重ねて、性器同士も合わせて、体をくっつけて、もっと、もっと強く。
「ごめんなさい、ゲンブさん。あなたに、あんな汚れ仕事をさせて。あんな殺しは、あなた達の流儀には反する事だったのでしょう?」
いいの。そこに理由があるのなら。譲れない思いがあるのなら。
でも、やっぱり辛いから。もっと、このまま抱き締めて。
腰は動かさないで。ずっとこのままでいて。私は知ってるの、人間の男性器は1日に何度も射精できない。だからこうやって、動かずに、挿れたまま、ずっと一緒になるの。
団長さん、ごめんなさい。本当は私の中に出したいよね?
でも、もう少しこのままにさせて。
ずっと抱き締めて。ずっと一緒にいて。一緒に、このままずっと。
「イイ、もっと、熱い、体が熱い、もっと、ああ、ああっ」
私の体には、僅かな刺激。それがどんどん、どんどん、大きくなり。小さな刺激が重なって、大きくなって。私の全身が、熱くて、たまらなくて。
「ええ。私もコレ、嫌いじゃないですから。このまま、ゲンブさんの気が済むまで。・・・舌を入れても、いいですか?」
唇を重ね、舌を絡め合う。団長さんは頭を撫でてくれた。
私は眼を閉じる。もっと味わいたい。もっともっと感じたい。
温かい。涙が止まらない。気持ちいい。気持ち良さが止まらない。
これがセックス。交尾ではない、人間の愛の形。とても素敵。
体が熱いの。熱くてたまらないの。頭の中はもう意味が分かんない。気持ち良さが溢れかえって、何も考えられないの。幸せ、とても幸せ。
ずっとこのままでいたい。ずっと幸せ。これが愛というものか。とても素敵で、魔法みたいで、私の体の全てが、愛に包まれているみたいで。
素晴らしい。とても素晴らしい。こんな素晴らしいものがあるなんて、この世界はなんて素晴らしいのか。やはりこの世界は、楽しくて面白い。
だから、抱き締める力を弱める。私はこれ以上力を入れない。
「ゲンブさん?・・・ええ、分かりました」
何も言わない。何もしない。団長さんに、全てを委ねる。
「ゲンブさん、行きます」
だって今度は、団長さんが幸せになる番だから。仰向けに寝かされて、団長さんが上に。繋がってた性器同士を、激しく動かし始めて、
「――あああああああああああああああああああっ!」
もう言葉にならない。幸せが止まらない。イイっ!思いっきりぶつけてぇ!好きなだけヤってぇ!もう何も考えられないっ!気持ち良さが止まらないいいいっ!
・・・ありがとう、団長さん。私を愛してくれて。一緒に、イこ?
この世界は、楽しい事がいっぱいある。
この世界は、面白い事がいっぱいある。
この世界は、悲しい事もいっぱいある。
この世界は、泣きたくなるほど辛い事もある。
だから、私は生きて、ここにいる。
この世界の事を、もっと知りたいから。
この世界は、私の知らないことがいっぱいある。
もっと知りたい。もっともっと、色々な事を知りたい。
私達は不思議な生き物。でもそれもまた、面白い。
最近では、人間の仲間もできたから、とても楽しいの。
「ゲンブさん、もう一度、抱き合いましょう?」
私はこれからも生きていく。仲間達と共に、これからも。
――今回の主役:毒蛇のゲンブ(人間時:体つきの良い桃色髪の女性)
ここは、人間の住む町。あっちもこっちも人間だらけ。
この世界は、楽しい事がいっぱいある、面白い世界。
魔法?何それ?食べたら美味しいの?よく分かんない。
今は夜。視線を上にして、空を見る。今日の月は、半分の大きさ。
確かこれって半月って言うんだよね?一番大きい月の半分の大きさだから半月か、なるほど分かりやすい。
故郷の森から見ても、人間の町で見ても、月は変わらない。
でも夜空を見るのなら、やっぱり故郷の森で見た方が良いなぁ。空気も綺麗だし、風が気持ちいいの。
ていうかこんなところで見たところで、夜空があまり見れない。楽しくない。こんな牢屋の窓から見たのでは、楽しめない。月は見えるけど星が見えない。
なので、視線を下に戻す。うん、もうおやすみしたんだね?
私の膝の上で眠る、人間のお兄さん。息が無い。もう二度と動かない。開きっぱなしの眼をゆっくりと閉じてあげて、頭を持ってゆっくりと床に下してあげる。
ありがとう。私を優しく愛してくれて。ここを出たら一緒に暮らそうと言ってくれて。もし妊娠したら、責任を取ってくれると言ってくれて。
ごめんなさい、私は悪い女なの。お兄さんから情報を聞き出すために、こんなことをしたの。人間の世界には、こういう作戦があるって聞いたから、ヤってみたの。
そして、私は毒蛇。人間ではないの。人間とは一緒に暮らせないの。人間とは子供が作れないの。ていうか、そもそも私達の仲間って妊娠できるのかな?時々話題になるけど、どうヤっても子供が作れないよね、私達って。
思えば私達って、不思議な生き物。だから面白い。楽しい。
それじゃあ。お兄さん、バイバイ。服は脱ぎ散らかしたままにするね?着せ方がよく分からないから。おやすみなさい。どうか安らかに、自然へ還ってね。
これが、人殺しというものなんだね。
人間を殺すのは、これが初めてだと思う。しかも、毒を使って。
私の毒はとっておき。だからこそ、滅多に使わない。無闇に使ってはいけない。身を守るための時にしか使わない。ていうか狩りで使ったら獲物が毒まみれになって食べられなくなるから、基本的には使いたくないの。
命を奪うこと自体には慣れている。ご飯を食べるために、他の生き物を狩るのは当たり前の事。ずっとそうやって生きてきた。私も、仲間達も、みんな。
命を奪うのは、生きるために行っている。食べるために。もしくは、誰かに襲われたから、身を守るために返り討ちにした。これは普通の日常。当たり前の話。
でも。私は今、何をしたの?私の事を愛してくれた人を、殺してしまった。彼の言葉の全部が本心だったとは思っていない。でも、彼は私に優しくしてくれた。それだけは真実。とても楽しい一時を過ごせた。
なのに、私はどうして、彼を殺してしまったの?食べるため?違う。自分の身を守るため?それも違う。
これは、私達の戦い。これ以上、仲間が傷つくのを防ぐため。
そういう意味では、身を守るために戦っているとも言えるけど。本当に、この人を殺す必要はあったの?命まで奪う必要はあったの?
命を奪ったのは、自警団の団長さんの頼み。もしこのまま生きて帰してしまうと、私達の身の危険にも繋がるかも、と言ってたから。
だけど、この牢屋にずっと入れて、生かしてあげることはできなかったの?私が故郷に連れ帰って、一生面倒を見てあげることはできなかったの?
これじゃあまるで、私も人間達と同じだね。人間達は武器を取り、互いに殺し合っている。食べるためでも、身を守るためでもないのに、誰かを殺す。誰かの命を奪う。
これだけは、未だに理解できない。どうしてそんな楽しくないことをしているのか。でも私のように、譲れない思いのために戦って、殺し合っているのであれば。今なら少しだけ、理解ができるかも。
小さくなれ。私の体、小さくなれよ。
月のように。小さくなる月のように。小さくなれ、私の体よ。
そう思うだけで。私の体は縮み、人間の姿から、蛇の姿になる。
・・・いつから、こんな事ができるようになったんだろう?
私の場合は、好きな時に姿を変えられる、というか変えられるようにした。なにせ元の姿は毒蛇だからね。余計な毒を振り撒かないようにするために、頑張って練習したの。
牢屋の壁をよじ登り、窓を出て、屋根の上に登って、空を見上げる。
うん。綺麗な夜空だ。故郷の森よりは空気が薄暗いけど、見える。私には分かる。たとえどんなに暗くて寒い日でも、いくらでも見える眼を持っているから。
思えばこれも、普通とは違う事なんだね。
故郷の、人間になれない蛇の子達と、話をしたことがあるの。普通の蛇って、そんなに眼が見えないんだって。でも私には見える。いくらでも見える。
人間の姿の時でも見える。普通の人間も、暗い夜の間はそこまで眼が良くないはずだよね?なのに見える。私だけでなく、仲間達もみんな眼が良いの。
ついでに言うと、元の姿のままで人間の言葉が喋れるっていうのも、普通ではあり得ないよね。何なのコレ、改めて考えてみると意味が分かんない。
やっぱり私達って、不思議。でも、面白い。
分からないから、面白い。楽しい。これが私。これが私達なんだ。
夜空を見る。ずっと月を見ている。
私は、人間の町に時々行くから。面白い事を探して、町中を探検したくなることがあるの。だから色々と、人間の生活や、言葉というのを覚えたの。
今日は半月。月は半分こ。だからハーフムーン。
しばらくすると、満月。一番大きな月。だからフルムーン。
逆に一番小さな月は、新月。もはや真っ暗。ニュームーン。
そして、細い線のような月。三日月。クレッセント。
クレッセントって、大きくなる、って意味なんだって。なるほど、やはり月と私達は同じだ。大きくなったり、小さくなったり。月も私達の仲間なんだね。
やはり、この世界は不思議な事がいっぱい。さあ、今日も探検しよう。屋根を飛び降り、地面を這ったり、建物の物陰に隠れたり、時には穴の中に入ったり。
姿を見られずに移動するのは得意なの。ていうかこれも頑張って身に付けた。最初の頃は、人間達には血眼になって追いかけ回されたからね。
こんなところに猛毒の蛇がいる、こんなの放っておいたら危険だ、駆除しろ、って騒がれて、追いかけられて。これについてはマジで反省している。人間達にとっては、身を守るための行動だったんだよね。これは仕方のない事だから許す。
だから今度は人間の姿になってみたけど、これまた人間達に騒がれてしまった。真っ裸の変態がいるだとか、痴女がいるだとか、ワイセツの罪で逮捕するだとか色々。
人間の世界では、裸で出歩くのが禁止だなんて・・・。これについては未だに納得がいかないけど、ここは人間の世界なんだから、人間達のマナーは守らないとね。でも服を着るのは好きじゃないから、結局は蛇の姿で探検することにしている。
おや?いきなり人が集まっているのを見つけた。様子を見てみる。
「ハァ、この女も長くは持たなかったなぁ」
女の人を2人掛かりで担ぐ男達。そして、それを遠巻きに見ている人達。
「仕方ねぇよ。もともと病弱だったのに、一人息子が失踪しちまったんだ。もしかしたら息子も既に・・・おっと、不謹慎だったな」
女の人はぐったりしている。いや、分かる。その様子を見れば嫌でも分かる。あの女の人は、もう既に死んでいる。
「どうしようコイツ。適当に埋めておくか」
「まぁそれで良いだろ。この町では、いちいち墓なんか作らないからな」
人間の世界では、死んだ人間はそのまま土の中に埋めたり、燃やして骨だけを埋めるのが普通らしい。土の中に埋めるのはまだ分かるけど、燃やすのはちょっと可哀想じゃないかな?死ぬほど苦しんだ後に、燃やして更に苦しめるとか酷すぎる。
ていうかそのまま埋めるのももったいない。命がもったいない。こういう場合は、食べられるところはできるだけ食べるのが普通じゃないのかな?
ある程度食べたら、残りは小さな動物や、虫達が食べてくれる。命は無駄なく食べつくす。命は無駄にしてはいけないから。このおかげで、私達は生きているのだから。
これは私達が変なのか、人間達が変なのか。やはり私達と人間は違う。私達は人間の姿になれるけど、人間ではない。かといって、私達は普通の動物でもない。
やはり私達って不思議。不思議な仲間達。私達だけの不思議な世界。
だからこそ私達は、仲間を大事にする。何があろうとも、仲間と共に生きる。仲間達との絆は何よりも固く、重い。この絆は、誰にも邪魔させない。
となると、次に行く場所はココだね。
ふっふっふ。私は人間の町に来たら、必ず娼館を覗き見するんだ。
知ってるよ、人間の男達は交尾をするために、仕事をして、お金を稼いで、そのお金でここに来て交尾をするんでしょ?うん、冷静に考えるとマジで意味分かんない。
交尾なんて、適当に異性を捕まえてヤればいいのでは・・・?人間の世界でも、お互いの合意があれば好き放題ヤっていいんでしょ?なのになんでこんな面倒なことを。やはり人間達は、なんと不思議な生き物なのだろう。
ではこっそりと、天井から入ってしゅるしゅると。うわぁぁお、あっちもこっちも交尾してるぅ。でもやっぱり、私の知ってる交尾とは、色々と違うんだね。
男の人のチンコを、手で握ったり、口で咥えたり。交尾をするためにわざわざお金を払っているのに、性器同士を合体させないとはこれいかに。私には理解が難しい世界だ・・・。でも人間の男は、こうしてあげると喜ぶんだね。勉強にはなる。
えっーと、確か白狐の部屋は・・・あっ居た。
「すみません先輩、少し用事があって」
扉を閉めた2人部屋の中で。1人の女性の前に、1匹の白狐・・・が、どんどん大きくなり、白髪の小柄の女性に姿を変える。もちろん裸。
「ええ、深くは聞くつもりはないわよ。それにしても凄いわねぇ、アンタの魔法は。じゃあ、最後の客は2人でヤりましょうか」
いやぁ、本当にお疲れ様。人目に付かないように白狐に戻って、ここをこっそり出て、私が牢屋でヤってる間、闇に紛れてこっそり話を聞いて、すぐに牢屋を出て調査して、私に報告した後ここに戻ってくる・・・中々のハードスケジュールだ。これが娼婦兼自警団の仕事かぁ、大変だね。
あの女性は、言うならば私達の新しい仲間。白狐とは同じ日に働き始めた人だけど、交尾の技術が色々と物凄いので、私達は敬意を込めて先輩さんと呼んでいる。
先輩さんは、とある事件がきっかけで私達の存在を知ってしまった人。でも悪人じゃない。むしろ良い人。人間嫌いである白狐も、ある程度は心を許している。
今のところ、この町に住む人間で私達の存在を知っているのは、あの先輩さんと、自警団の団長さんの2人。
先輩さんは、仲間というよりは護衛対象と言った方が良いのかな?冒険者にもそういう仕事があるよね?特定の人を、何が何でも守るという仕事。
私達には、あの人を守る義務がある。白狐が娼婦としてここで働いてるのも、あの人のすぐ近くについて守ってあげるため。ちなみに娼婦をヤるように提案したのはリオン。人間の交尾の知識を身に付ける良い機会だと言っていたね。
といっても、白狐1人だけであの人を守るのも限界があるから、さっき白狐が抜けている間は、他の・・・おっと秘密。とにかく、私達の何人かが、この町に滞在している。
ということで、白狐の仕事内容を確認させてね?違うよこれは覗きじゃないよ?仕事上で必要な確認作業だよ?興味本位で見てる訳じゃないからね?
下半身丸出しの男と、服を着た先輩さん。そしていきなり服を脱ぐ白狐。
「おおう、こっちの子はヤる気のようだね。それじゃあ、ええと」
「ヨヅキと申します。まだ始めたばかりなので上手くできるか分かりませんけど・・・よいしょっと」
おおう、まさか白狐が人間の男のチンコを口で咥えるようになるとは。
おっといけない、ここでは白狐ではなくヨヅキか。白狐のヨヅキ・・・うん、イイかも。私も人里で毒蛇と名乗るのはアレだし、何か名前を作ってみようかな?
ちなみに、ヨヅキは極度の人間嫌い。だから、見ず知らずの人間の男を相手にするこの仕事が、上手く行くのか不安だったけど。
「お、おう、ヨヅキちゃん、もっと、激しく」
「えぇ・・・まだ始まったばかりです。じっくりヤりますね?」
思ってた以上に、楽しそうで何より。ヨヅキも案外むっつりスケベだからね。
ベッドの端に座る男の前にしゃがんで、舌だけでじっくり舐め回す。しかも、超ゆっくり。男は見悶えている。
「ふふ。イイ、男が、こうしているの、イイ、ふふ」
「ヨヅキ、あまりイジワルはしちゃダメよ?」
ああ、なるほど。ヨヅキはいつもリオンにいじめられてるからねぇ。だから逆に男をいじめたい訳か。中々イイ顔をしてらっしゃる。
「うぐっ、出る・・・う、いや、そこで止めるのはちょっと・・・」
「ごめんなさい。私、新人なので下手なんです。では先輩、代わりにお手本を見せてもらっても良いですか?」
「フッ、ヨヅキも悪い女ねぇ。イイわよ、私の技を見せてあげる」
おおお!2人掛かりでチンコを舐めるとは!こういう技もあるのか!
・・・こうやって、他人の交尾を覗き見するのって、出歯亀って言うんだよね?私は蛇なのに、亀とはこれいかに。人間であり蛇であり亀であるとか、もはや不思議な生き物を通り越して化け物なのでは。
そういえば世の中には、ゲンブとかいう蛇と亀が合体した化け物がいるって聞いたけど・・・。なるほど、つまり私はゲンブだったのか。納得した。
では早速、私も実践してみよう。ていうか交尾したい。
さっき牢屋では楽しく交尾できたけど、まだ足りない。ていうか娼館内のアレコレとかヨヅキと先輩さんを見てたら発情しちゃった。まだまだヤりたい。
なので、ちょっくらヤりに行く。またの名を夜這い。地面を這いながら移動する私にはピッタリの言葉だ。
ふっふっふ、自警団の人達と話をしてるのを聞いたんだ。今日はもうすぐ仕事終わりで、今夜から明日の昼までは仕事がお休みなんだよね?
そして、ここが住んでいる家だよね?また屋根から忍び込んで、こっそり待ち構えて・・・ふふ、来た来た。服を着替えて、ちょっとお酒を飲んで、寝床に入った。よし、ターゲット、ロックオン。
「お邪魔しまーす」
屋根上から団長さんのお腹へ優しく着地。またの名をベッドイン。
「えっ・・・ギャアアアアア蛇がああああああっ!?」
あっゴメン。当然の反応だよね、マジで反省する。
大きくなれ。私の体、大きくなれよ。
月のように。大きくなる月のように。大きくなれ、私の体よ。
「団長さん、私だよ?怖がらないで欲しいなぁ」
団長さんのお腹の上に、跨って座る。
「えっ・・・あ、ああ。あなたでしたかブホッ!?」
ねえ、だから何でいきなり鼻血を出してるの?
まぁ・・・自警団の団長さんだから、仕事で疲れてるのかな?ベッドから降りて、鼻血が止まるまで待っててあげるね。
「ふぅ、ひぃ、はぁ、思い出せ、白狐さんに殺されかけた日を・・・オエッ。ふ、ふう、ようやく鼻血が止まった・・・」
オッケー。それじゃあ早速ヤりますか。服を着せるのは苦手だけど、脱がせるのは得意なんだ。行き倒れの人間の服を脱がしたことは何度かあるからね。
「え、ええと毒蛇さん?私はまだ理解が追い付かないのですが」
「あー、団長さん。この町では、そういう呼び方は止めて欲しいなぁ」
団長さんは抵抗しているけど、まるで意味が無い。はい、完了。団長さんを仰向けにしてベッドに押し込み、優しく上にのしかかる。
「私の事は、ゲンブって呼んでよ」
「えっ、玄武ってこれまた物騒な名前をヲヲヲウ!?」
疲れてるようだから、おっぱいで顔を挟んであげるね?
団長さんの頭を、私の胸ごと抱き抱えるようにして、おっぱいで顔をスリスリ。顔の上から下へ、横にも振ってあげる。
「オオオうわわわわハワワワワあううううナイスバディが私の眼の前にアウウアウアふはははは」
なんか変な声を出しているけど、嫌そうじゃないよね?チンコが物凄いことになってるから。私の体に押し付けてくる感触で分かる。ふふ、元気出してくれた?
じゃあ、お次はこれ。はいどうぞ、私の乳首を口に入れてあげるね?
「う、赤ちゃんみたいで恥ずかしい、でも止められないぃ・・・」
あうううん私にも結構クる。乳首って繊細だし。これって本当は生まれたての子供にやることだよね?でも大人の男も、おっぱいを吸うのが好きなんだね?イイよ、もっと吸ってイイからあうううん!
ふ、ふふ。団長さん、おっぱいが好きなんだね。
イイよ、もっと、あ、あう、あうう。
「ああ、ゲンブさんの胸って、やっぱりイイなぁ・・・」
「あ、ふあ、あ、あう、あ・・・」
今度は私が仰向けに寝かされて。団長さんが上。
そしておっぱいを揉まれ、乳首を舐められ、吸われて、
「い、痛、で、でも、あ、い、イイ・・・」
「ふふ、この前甘噛みしてきましたよね?そのお返しです」
私の乳首をひたすら味わって。もう片方は、指でクリクリ。
しばらく乳首を味わったら、今度はもう片方の乳首に噛り付いて、もう片方は同じく指でコリコリ。摘んだり、撫でたり、
「あああああああっ!う、あ、それ、な、にぃ、痛ああああっ!?」
指を思いっきり、叩きつけてきた。デコピン、って言うん、だよね、これ、痛いっ!で、でも、な、あ、甘噛みしながら、デコピンは、いや、痛、両方の乳首が、同時に、キ、て、
「イっちゃうううううう!あああああああっ!」
これが、絶頂。イくとも言う。蛇の姿の交尾では絶対にありえない、とっても不思議で、気持ち良くて、癖になって、たまらなくて。
あ、あう、乳首は繊細って言ってるのにぃ。団長さんの顔をジロリ。
「え、いや、まさかこれでイくとは思わなくて・・・」
あ、違う。そういう意味じゃない。もっとヤって?――痛あああい!
痛いのに気持ちいいとか、これまた不思議。でも癖になる。あううん!
交尾。人間の世界でいうとセックス。エッチとも言う。
交尾とは、子供を作るために、子孫を残すために行う儀式。
でも、私には子供が作れないから。発情期でもない限りは、そんなことをする必要は無いと思ってた。でも、違ったんだ。人間の世界には、子供を作る以外の交尾もあるって知って。
「ふ、ふふ、ゲンブさん、やっぱり、コレ、です、か」
気持ちよくなるため。楽しむため。一緒になるために、交尾をする。
そして。そのために、私なりに考えた交尾が、コレなの。
「今日は、自警団の、お仕事、手伝った、から。責任、取ってね?」
ふふ。人間の男って、責任っていう言葉に弱いんだよね?
またまた団長さんを下に、私が上に。体を重ね、一緒になる。交尾だからもちろん性器同士も一緒。でも動かない。挿れてるだけ。一緒になっているだけ。
もっと私を抱き締めて。体を絡ませて。もっと強く、もっと、もっと、唇を重ねて、性器同士も合わせて、体をくっつけて、もっと、もっと強く。
「ごめんなさい、ゲンブさん。あなたに、あんな汚れ仕事をさせて。あんな殺しは、あなた達の流儀には反する事だったのでしょう?」
いいの。そこに理由があるのなら。譲れない思いがあるのなら。
でも、やっぱり辛いから。もっと、このまま抱き締めて。
腰は動かさないで。ずっとこのままでいて。私は知ってるの、人間の男性器は1日に何度も射精できない。だからこうやって、動かずに、挿れたまま、ずっと一緒になるの。
団長さん、ごめんなさい。本当は私の中に出したいよね?
でも、もう少しこのままにさせて。
ずっと抱き締めて。ずっと一緒にいて。一緒に、このままずっと。
「イイ、もっと、熱い、体が熱い、もっと、ああ、ああっ」
私の体には、僅かな刺激。それがどんどん、どんどん、大きくなり。小さな刺激が重なって、大きくなって。私の全身が、熱くて、たまらなくて。
「ええ。私もコレ、嫌いじゃないですから。このまま、ゲンブさんの気が済むまで。・・・舌を入れても、いいですか?」
唇を重ね、舌を絡め合う。団長さんは頭を撫でてくれた。
私は眼を閉じる。もっと味わいたい。もっともっと感じたい。
温かい。涙が止まらない。気持ちいい。気持ち良さが止まらない。
これがセックス。交尾ではない、人間の愛の形。とても素敵。
体が熱いの。熱くてたまらないの。頭の中はもう意味が分かんない。気持ち良さが溢れかえって、何も考えられないの。幸せ、とても幸せ。
ずっとこのままでいたい。ずっと幸せ。これが愛というものか。とても素敵で、魔法みたいで、私の体の全てが、愛に包まれているみたいで。
素晴らしい。とても素晴らしい。こんな素晴らしいものがあるなんて、この世界はなんて素晴らしいのか。やはりこの世界は、楽しくて面白い。
だから、抱き締める力を弱める。私はこれ以上力を入れない。
「ゲンブさん?・・・ええ、分かりました」
何も言わない。何もしない。団長さんに、全てを委ねる。
「ゲンブさん、行きます」
だって今度は、団長さんが幸せになる番だから。仰向けに寝かされて、団長さんが上に。繋がってた性器同士を、激しく動かし始めて、
「――あああああああああああああああああああっ!」
もう言葉にならない。幸せが止まらない。イイっ!思いっきりぶつけてぇ!好きなだけヤってぇ!もう何も考えられないっ!気持ち良さが止まらないいいいっ!
・・・ありがとう、団長さん。私を愛してくれて。一緒に、イこ?
この世界は、楽しい事がいっぱいある。
この世界は、面白い事がいっぱいある。
この世界は、悲しい事もいっぱいある。
この世界は、泣きたくなるほど辛い事もある。
だから、私は生きて、ここにいる。
この世界の事を、もっと知りたいから。
この世界は、私の知らないことがいっぱいある。
もっと知りたい。もっともっと、色々な事を知りたい。
私達は不思議な生き物。でもそれもまた、面白い。
最近では、人間の仲間もできたから、とても楽しいの。
「ゲンブさん、もう一度、抱き合いましょう?」
私はこれからも生きていく。仲間達と共に、これからも。
――今回の主役:毒蛇のゲンブ(人間時:体つきの良い桃色髪の女性)
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