貴石奇譚

貴様二太郎

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前日譚 ~結末に至る為の悲劇~

三日月の幻惑、追懐の寒白菊

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「戦争の後、人間を襲った奇病は魔法使いの呪いなんかじゃない。あれはただの魔素中毒。この一帯の魔素を大量消費する魔法使いという生き物がいなくなったために起こった、ただの生態系破壊ですよね?」

 問いかけという形をとってはいるが、ソーリスのそれはもはや確認だった。記憶転移の一族のように失われた過去の情報を持っているわけでもなく、限られた伝承と己の能力だけでそこへたどり着いた彼にファートゥムは内心舌を巻いた。

「だからテオフラストゥスは、残った人間をこの町に誘導した。おそらくトリスの指示で。でも、トリスの目的は何だったのでしょう? 同族を裏切って、人間に過分な知識とオモチャを与え……」
「アイツの目的なんざ知らねぇよ。それと俺は、お前の欲しい答えなんか持っちゃいない。つーわけで俺の心の平安のために、その余計な知識と一緒に今すぐ消えてくれ」
「ふふ、その反応だとおおむね正解だったようですね。でも、なぜそこまでして、あなたはこの町を遺跡に戻そうとするのですか? 人間が憎いから? 同胞の復讐ため? それとも――」

 一言の警告もなく、ファートゥムはソーリスに向かって氷柱を放った。けれどそれは、ソーリスの問いを砕いただけ。またもや鉄人形に阻まれ、ソーリスそのものに届くことはなかった。

「ムカつくからだよ!! 俺から奪ったもんでのうのうと怠惰と享楽にふける、この町の無知なクソどもがな!」

 苛立ちをあらわにしたファートゥムの叫び。それは、ソーリスの視線をプリムラへと向けさせた。

「あなたの見た目から察するに、そのホムンクルスの素体は血縁……そうですね、ごく近しい血縁というところですか」
「だったらなんだってんだよ」
「ソレの素体……レウカンセマムでしたっけ。彼女、魔臓なかったでしょう?」

 レウカンセマムの名に思わず動揺をあらわにしたファートゥムを、ソーリスは三日月の瞳で満足げに眺めた。彼は口元にも三日月を浮かべると、ファートゥムが聞いてもいないのに勝手にうたい始める。

「彼女ね、ここへ納められた時にはもう、魔臓はなかったそうですよ。誰かに抜き取られた後だったそうです。いったい誰が彼女を殺して……賢者の石を持って行ってしまったんでしょうね?」

 くすくす、くすくす。朗らかに唄う小鳥のようにソーリスは謡う。

「他の魔法使いたちもね、誰一人として魔臓は残っていなかったそうです。いったいなんの目的で、誰が持ち去ったんでしょうね」

 惑わせるように、導くように。昏い三日月が奏でるのは嘘かまことか。
 姉を探してここまでやって来たファートゥムにとって、ソーリスの言葉は簡単に無視することのできるものではなかった。やっと取り戻したレウカンセマム、けれど彼女の魔臓だけはすでに何者かに抜き取られた後だった。その何者かはファートゥムにも想像はついているが、それでもソーリスの言葉には抗いがたい何かがあった。
 ついには攻撃の手を止め、ファートゥムはソーリスに対峙する。

「トリス・メギストス。さて、の伝説の魔法使いは今、どこにいると思います?」

 問いかけに見せかけた誘導。三日月はいよいよその幻惑を強め、ファートゥムを絡めとる。

「ちなみに魔法使い様は、石人を御存じで?」
「……森に引きこもってる、石の目を持つつがい狂いの妖精族だろ。そいつらとトリスになんの関係があるんだよ」

 ようやく食いついてきたファートゥムに、ソーリスは一段と笑みを深める。

「彼らの貴石の瞳もなかなかのものなのですよ。個体差はありますが、ここで作られる模倣賢者の石ニセモノより質の良いものも多い。少しばかり扱いと入手が難儀ですが、この町を動かす動力源としてはなかなかに魅力的なのです」
「何が言いたい?」

 焦らすようにくつくつと笑うソーリスに、結論を急ぐファートゥムの顔はけわしさを増していた。

「動力用ホムンクルスは、原料がなくなればいずれ作れなくなります。だからか兄たちはここ最近、必死に代替品を探していました。そしてそんな時に、たまたま手に入れたのが石人の瞳。でもね、僕にとっては彼らの貴石の瞳より、彼が持っていた情報の方がはるかに価値があった」

 ソーリスは一拍置くと、何かを含んだかのような笑みでファートムを窺い見た。

「最近手に入れた赤虎目石レッドタイガーズアイの石人……彼、トリスの居場所を知っていたんです」

 声にこそ出さなかったが、ファートゥムの瞳が驚きで見開かれた。
 レウカンセマム含め、魔法使いたちの魔臓――賢者の石――を持ち去ったのはトリス。それは彼の中ではもはや疑念ではなく、確信となっていたことだったから。

「知りたいでしょう? でも、今は教えてあげません。だって今教えてしまったら、魔法使い様、僕のこと殺すでしょう?」

 明らかに揶揄やゆを含んだ口調でおどけるソーリスに対し、ファートゥムは不機嫌を一切隠さない舌打ちを返した。
 そもそもソーリスは殺されると言いつつ、先ほどから怯えや焦りなど一切見せていない。特別製だという鉄人形に守られ、余裕の眼差しでファートゥムを観察していた。

「お前の目的こそなんなんだよ。この町を壊したいのか、トリスに会いたいのか、単に好奇心を満たしたいのか……」
「その中なら好奇心ですね。あなたで賢者の石を作って使ってみたい……なんて」

 冗談とも本気ともつかないソーリスの返答に、ファートゥムの目つきが先ほどよりさらに険しくなった。

「冗談ですよ。もちろん、出来るものならやってみたいですけど」

 口元に手をやり笑いをかみ殺すと、ソーリスは唐突に扉の前から身を引いた。無論、鉄人形もソーリスに付き従う。

「どういうつもりだ? この先に俺を通せば、どうなるかわかってるんだろう?」

 ファートゥムは不信感をまったく隠すことなく、射貫くようにソーリスを睨みつけた。一方ソーリスはそんなファートゥムの凶相にひるむこともなく、むしろ微笑ましいと言わんばかりの笑みを浮かべていた。凶悪な青年と儚い少年――一見虐げられているのは少年に見える。けれど、実際今この場を支配しているのは、そのか弱そうな少年の方だった。

「ええ。この町の動力源である発魔機ジェネレータ―は破壊され、町の機能の維持もホムンクルスの製造も不可能になり、人は自らの力のみで生きていかなくてはならなくなるでしょうね」
「この町が機能しなくなったら、お前ら滅ぶんじゃねぇの? 人間は魔素をほとんど蓄積できない種族だろ。魔法使いや竜なんかの大量に魔素を消費する生き物がいない場所じゃ、あっという間に魔素中毒だ。ここいらに竜はいねぇし、その他の大型魔獣もいない。石人は森に引きこもりだし、頼みの綱のホムンクルスたちだって六年以内には全滅する。この一帯は消費に対して供給される魔素が多すぎる。お前、破滅願望でもあるのか?」

 ソーリスと鉄人形がファートゥムの横をすり抜けた。

「別に死ぬつもりなんてありませんよ。今回のこれは実験の前準備、そのための大掃除です。失敗したら、まあそれまでってことで。そうそう、まだお礼を言ってませんでしたね。兄上たちゴミを片付けてくれて助かりました。あとはこの発魔機ガラクタの掃除、お願いしますね」

 すり抜けた先、通路の端には――

「それまでコレ・・は預かっておきますね」

 その場で固まっていたプリムラが、あっけなく鉄人形に捕らえられた。ソーリスとの会話で彼女の存在をすっかり忘れていたファートゥム。しかし今さら慌てたところでもはや手遅れ。単純な少年は己の迂闊うかつさを呪うばかり。

「掃除が終わったらまたお会いしましょう。トリスのことも、またその時に」

 鉄人形に守られた少年は目礼すると悠々と立ち去った。並みの魔法は受け付けない鉄人形の守りに加え、プリムラが人質に取られた状態。彼女を見捨ててしまえば簡単だが、姉の生まれ変わりのような少女を見捨てることなど今のファートゥムにはできるはずもなく……
 これまで魔法使いとしての力だけで全てをごり押ししてきた彼には、ただソーリスたちの背を見送るしかなかった。

「……くそっ、何が俺を守るだ!」

 考えることはどちらかというと苦手なファートゥム。ひとまずは無事であろうプリムラのことは一時いっとき考えの外に置くと、気を取り直して目の前の扉に手をかけた。

「だいたい、あいつがどうにかなったとこで俺には関係ない。あいつはただのホムンクルス……姉さんじゃない」

 鍵も結界も取り払われた後の無抵抗な扉をくぐり抜け、薄暗い通路で一人、ファートゥムは自分に言い聞かせるように独り言をくりかえしながら歩く。

「あいつは姉さんじゃない、あいつは姉さんじゃない、あいつは姉さんじゃ――」

 狭い通路を抜け、吹き抜けの大きな部屋に入った瞬間、ファートゥムの独り言が止まった。
 部屋の中に設置されていたのは大きな。軽く二階分以上の高さはある、大きな炉。それはホムンクルスから石化した魔臓を取り出すための、古の技術で作られた魔石溶錬用の高炉。
 誰もいない部屋の中、床に散らばるのはこの町を支えてきた赤い石、そして少し前までここで働かされていたホムンクルスたちだった。

「ほんっと胸糞わりぃ!」

 命を溶かす炉を横目にファートゥムは部屋を突っ切る。そのままいくつかの扉と通路を抜け辿り着いた大きな部屋、そこにはコロナの心臓部――発魔機――がその巨大な身を横たえていた。

「あのクソッたれな王子様が何を考えてるのかなんてわかんねぇし、あんな奴の思惑通りに動くのはしゃくだが……やっぱこれはこれでムカつくし、ぶっ壊さねぇと気が済まねぇ!」

 うねるようなうごめくような、不安を音にしたような旋律を奏でる大きな箱状の機械発魔機。炉で精製されたホムンクルスの魔臓模倣賢者の石を糧に、命を燃やし命を支える、代償の機械。
 ファートゥムは辺り一帯に満ちる魔素を確認すると、おもむろにそのすべてを己の魔臓に取り込み始めた。

「……こんなもんか。思ったより少なかったな」

 満ちていた魔素がファートゥムに取り込まれ、一時的に場からなくなる。すると空腹からか、発魔機が不満の声警告音を上げ始めた。魔素と模倣賢者の石、その両方が揃って初めて動くことができていた発魔機。一方の供給が断たれたことで不満の声を上げた後、彼は盛大にぐずってから落ちるように眠りについた。

「散々貪り食ってきたツケ、これからきっちり払ってけよ」

 ファートゥムはにやりと笑うと、遥か上空地上のコロナの民にはなむけの言葉を贈った。そして――

「じゃあな!」

 自身より大きな火球を生み出すと、彼はなんの迷いもなくそれを発魔機に向けて投げつけた。直後、先ほど取り込んだ魔素の残りで転移魔法を発動させ建物の入口まで避難し、そのまま町へと飛び出した。
 次の瞬間、寝静まっていた夜の町を襲ったのは連鎖する爆発音と揺れと地鳴り。驚き慌てふためいた多くの人々が次々と建物から飛び出してきた。地下から噴き出た炎は王の館を飲み込み、天を覆うくすんだ膜を赤々と照らし出す。けれど幸か不幸か、炎は王の館から外へは一切飛び火しなかった。魔法使いさえ拒む強固な結界は外からの侵入者のみならず、内からあふれる災厄をも逃さないようになっていたのだ。

 動力の供給が断たれた町を最初に浸食したのは、闇。炎に包まれた王の館とその周辺以外、町は闇に呑まれていった。次いで風が止み、せせらぎの音が途絶える。町が全ての機能を停止した今、いずれは遮断されていた外の魔素も入ってくるだろう。
 炎の熱気と人々の不安が渦巻く闇の中、ファートゥムは消えたソーリスの姿を探していた。彼はプリムラを「預かっておきます」と言ったのだ。それはすなわち、ソーリスは再びファートゥムに会うつもりがあるということ。
 魔素が著しく薄い町の中、ファートゥムはソーリスとプリムラの気配を探る。大きな魔法がつかえない町の中では、あの鉄人形を従えたソーリスと戦ったところで勝ち目などないというのに。それでもファートゥムは彼らを、プリムラを探していた。

「なんでこんなことしてるんだろ、俺」

 出会って間もない少女。レウカンセマムを素体としたホムンクルスの少女。ファートゥムにとってプリムラなど、ただそれだけの存在だったはず。そもそもレウカンセマムを素にしたホムンクルスなど、この町にはプリムラ以外にもたくさんいるというのに。それなのに、なぜかファートゥムには、プリムラだけは見捨てることができなくなっていた。

「わっかんねぇ。なんであいつだけ……」

 不意に、ファートゥムの前を白い影が横切った。
 なびく白菫の髪、虚ろな翡翠の瞳――

「ねえ……さん」

 そこにいたのは、ファートゥムを置いていってしまったあの日のままのレウカンセマムだった。
 
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