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2、電話と報告

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自分の部屋でゆっくりしていたあきらの携帯が鳴る。
表示名はだいきだった。
「はいはい、どうした」
いつも通りの返事をする。
「ちょっと話があるんだよなあ。
いつか都合良い日ない?」
とっさの質問に、基本的には空いている土日、
「今週の土曜でも良いか?」
日曜はゆっくりしたいので土曜日にする。
「わかった!じゃあ18:30にいつものとこでよろしく!」
いつものとこ、高校時代から何かあったら行っているご飯屋さんだ。
自分に似合わずちょっとお洒落なフレンチの店といったところか。
「了解」
そう返事して電話を切る。
いつもはそんな急に電話がくることがないので、急に電話で都合の良い日と言われると、そわそわしてしまう。

なんだかんだで土曜日になった。
仕事辞めたとかか?
はたまたもしかして金を貸してくれとか?
急な電話だったためか何故か悪い話題ばかりが思い浮かんでくる。
自転車に乗り、お店まで自転車を漕いだ。
片道10分程度だ。
ついて連絡し、待っているといつも通りに駐車場からだいきが歩いてくる。
いつも思う、
車で来るなら迎えに来てくれても良いのにと。
と、思ったのも束の間後ろに女の子を連れていた。
「あらら?見たことないぞ、」
「え?というか何しゃべれば、」
あたふたしていると、そのまま店内へと通されてしまった。

席につき、注文をする。
いつもは普通に見れるメニューも同じ席に知らない人がいるだけで変に緊張してしまう。
どうやら僕の人見知りはよほど重症らしい
注文し終わると、だいきは
「ちょっとトイレ」
トイレに行ってしまった、
「ちょっとまてよ!2人きりにしないで」
そう思うが行ってしまった。
軽く会釈をし、へへと不細工な笑顔を見せる
普通のトイレの時間さえ待ち時間が長く感じる。

帰ってきた。
何を話せば良いかとかあれかこれかと考えていると、だいきはいつも通りに
「最近はこうでさあ、あーでさあ」
と話しかけてくる。
ただ何か緊張しているような照れ笑いが混ざっているような変な表情だ。

「実は言いたいことがあって」
直球過ぎない?てか入り下手じゃない?
思ってしまったが、
「これは俺の大事な親友、あきらに最初に言おうと思ってて、
まず彼女はかほって言います」

「よろしく、あきらです」
ちょっと無愛想だったかな、そう思いながらも話は続く

「実は俺結婚することとなりました。
それを報告するのに、今日は呼びました。」
そこからは軽く馴れ初めなどを聞き結婚に至った経緯なども聞いた。
まあ言い方を変えれば嬉しそうに聞かされたと言っても良いだろうか。
とにかくずっと話していた。

それも今まで一緒に過ごしていて見たことのない新しい表情をしていた。

結婚ていうのはこういうことなのかな。
不思議な疑問、小さな疑問が、この時間中ずっと巡っていた。

結婚してみたい
小さな想いはやがて自分の将来への気持ちとなっていく




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