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第2章 「征」編
闘争
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襲撃からおよそ30分、楓彩とショウ、休暇中の小雨は即席の部隊を結成し、戦況確認のため初撃のあったであろう司令室へ向かうことに。
「小雨さん? …大丈夫ですか?」
司令室に向かう最中の廊下、まだ、戦闘の火は見当たらない、それどころか人ひとり見かけない。
2人の前を先導する楓彩は小雨の精神状態を気遣い、声をかける。
「うん…今のところ大丈夫だよ…ありがとうね楓彩ちゃん…」
その時
「っ!止まってください…」
楓彩は何かを感じたのか、2人に静止を呼びかける。
楓彩は通路のT字路で、右側の壁に張り付き、曲がり角の先にゆっくり顔の半分を出す。
「…」
楓彩が見たのは何やら様子のおかしいG,S,A女性隊員の姿、敵もいないのに、マシンガンを手に直立し、虚ろな目をしていた。
「(声をかけるべきですか…いや、様子がおかしい…)」
楓彩は顔を引っ込めて、小声で状況をショウに報告する。
「わかった…これを使おう…敵か味方か分からないから…(聞くからして、楓彩を襲った奴らと同じ症状……てことは“洗脳”か…)」
ショウが白衣のポケットから取り出したのは円柱状の鉄の塊。
「これは?」
「ただの煙幕だよ…少し遠回りだけどそこの道をまっすぐ行こう…」
2人は頷き、煙幕爆弾を受け取った楓彩は、右側の通路にそっと転がす。
次の瞬間、白い煙が立ち込め、女性隊員の姿が見えなくなる。
「行きましょう…」
楓彩を先頭に、小雨が足の不自由なショウをおぶり、素早く突破した。
そして、目の前に階段が現れる。
「ここは三階だから、五階の司令室に行くには…一回下に降りて、別の階段使わなきゃね…」
ショウは小雨から降りる。
「ショウ? 行ける?」
「うん、無理、おんぶして」
「なんで降りたんだよ」
ショウは「チッチッチー」といって、楓彩の背中の後ろに移動する。
「楓彩、頼むよ…階段を降りるんじゃなくて飛ぶから…小雨も飛べるでしょ? 楓彩の方が脚力強いから」
ショウはそう言って、松葉杖を投げ捨て、自立を試みる。
「ショウさん!? む、無理しないで下さい!」
少し震えた足でショウは、楓彩の肩につかまる。
「っ! ショウさん」
「いいから早く」
楓彩はショウをおんぶして、刀を小雨に預ける。
その時
「っ!!小雨さん! ショウさん!」
3人の背後に、様子のおかしいG,S,A隊員が目視できるだけで8人。
こちらにマシンガンを向けている。
迎撃は待ち合わない、小雨と楓彩は目の前にある階段を飛び降り、軽快に一階まで移動する。
「っよいっしょっと!」
楓彩はショウをそっと降ろし、肩を貸す。
「大丈夫ですか? ショウさん…」
「大丈夫! なんとか走れそう…それより追手が来る! 急ぐよ」
確かに、上の階から先程の隊員達の呻き声のようなものが聞こえてくる。
「急ぎましょう」
「ちっ! 楓彩達はどこへ行った!」
その頃、剣得たち司令室にいた隊員達の生き残りは、他の生き残りをかき集めながら、本部内の敵を殲滅していた。
たった今、「ショウちゃんの工房」の前に到着し、連絡を試みていた。
「だめです、兵器開発部門の人達と連絡が取れません!」
「やはり妨害電波か…だとすると発信源は屋上か…」
剣得は楓彩のことが心配で堪らないが、まずはショウや楓彩と連絡を取るため屋上へ向かうことにする。
その時
「やぁ諸君…」
突如、剣得達の後ろにフードを被った男性が現れる。
剣得は振り返る。
「きゃあ!!」
女性隊員の悲鳴を聞き、その方向へ振り返ると、どこから現れたのか、“洗脳”されたG,S,A隊員達が銃を構えていた。
「命を無駄にしたくないのなら従ってもらおう…王志はや───」
───刹那、フードを被った男性の目の前に剣得の拳が迫る。
男は頭部への命中は避けたが、男の左腕が宙を舞う。
「うがぁぁぁあ!!!!」
剣得は男の悲鳴を他所に、後ろにいる隊員達に迫る洗脳された隊員の動きを見る。
「しまった!!…ん?」
しかし、異変に気づく、洗脳された隊員達は動かず、剣得の後ろにいる隊員たちを見つめているだけだった。
そして、1人の男性隊員が
「い、今だ!!」
その声に、隊員達は、洗脳された隊員達に向かってショックガンを放ち、拘束する。
剣得はそこで、悶えている男性の方を向き
「なるほどね…いま奴らが止まったのは…お前が洗脳(コントロール)してる犯人だからか…」
剣得は拳を構える。
「まずはてめぇからだ…始末してやる」
「くっ!」
剣得は男性にとどめを刺すため、殴りかかるが、振り放った拳は空を着る。
「っ!?」
突如、剣得の目の前から男が姿を消す。
そして、女性隊員が近寄ってくる。
「総督…今のは一体…」
「わからん…しかし、弄ばれていることは確かだ」
次の瞬間
ドオオォ
ズシッと重い爆音が館内に響き渡る。
「っ!?」
隊員達が驚くのも束の間に、周囲の証明が落ち、暗闇に覆われる。
「で、電源室がやられました…!」
一瞬隊員たちはパニックに陥るが、冷静に、ライトをつけ始める。
「急ぐぞ…」
「小雨さん? …大丈夫ですか?」
司令室に向かう最中の廊下、まだ、戦闘の火は見当たらない、それどころか人ひとり見かけない。
2人の前を先導する楓彩は小雨の精神状態を気遣い、声をかける。
「うん…今のところ大丈夫だよ…ありがとうね楓彩ちゃん…」
その時
「っ!止まってください…」
楓彩は何かを感じたのか、2人に静止を呼びかける。
楓彩は通路のT字路で、右側の壁に張り付き、曲がり角の先にゆっくり顔の半分を出す。
「…」
楓彩が見たのは何やら様子のおかしいG,S,A女性隊員の姿、敵もいないのに、マシンガンを手に直立し、虚ろな目をしていた。
「(声をかけるべきですか…いや、様子がおかしい…)」
楓彩は顔を引っ込めて、小声で状況をショウに報告する。
「わかった…これを使おう…敵か味方か分からないから…(聞くからして、楓彩を襲った奴らと同じ症状……てことは“洗脳”か…)」
ショウが白衣のポケットから取り出したのは円柱状の鉄の塊。
「これは?」
「ただの煙幕だよ…少し遠回りだけどそこの道をまっすぐ行こう…」
2人は頷き、煙幕爆弾を受け取った楓彩は、右側の通路にそっと転がす。
次の瞬間、白い煙が立ち込め、女性隊員の姿が見えなくなる。
「行きましょう…」
楓彩を先頭に、小雨が足の不自由なショウをおぶり、素早く突破した。
そして、目の前に階段が現れる。
「ここは三階だから、五階の司令室に行くには…一回下に降りて、別の階段使わなきゃね…」
ショウは小雨から降りる。
「ショウ? 行ける?」
「うん、無理、おんぶして」
「なんで降りたんだよ」
ショウは「チッチッチー」といって、楓彩の背中の後ろに移動する。
「楓彩、頼むよ…階段を降りるんじゃなくて飛ぶから…小雨も飛べるでしょ? 楓彩の方が脚力強いから」
ショウはそう言って、松葉杖を投げ捨て、自立を試みる。
「ショウさん!? む、無理しないで下さい!」
少し震えた足でショウは、楓彩の肩につかまる。
「っ! ショウさん」
「いいから早く」
楓彩はショウをおんぶして、刀を小雨に預ける。
その時
「っ!!小雨さん! ショウさん!」
3人の背後に、様子のおかしいG,S,A隊員が目視できるだけで8人。
こちらにマシンガンを向けている。
迎撃は待ち合わない、小雨と楓彩は目の前にある階段を飛び降り、軽快に一階まで移動する。
「っよいっしょっと!」
楓彩はショウをそっと降ろし、肩を貸す。
「大丈夫ですか? ショウさん…」
「大丈夫! なんとか走れそう…それより追手が来る! 急ぐよ」
確かに、上の階から先程の隊員達の呻き声のようなものが聞こえてくる。
「急ぎましょう」
「ちっ! 楓彩達はどこへ行った!」
その頃、剣得たち司令室にいた隊員達の生き残りは、他の生き残りをかき集めながら、本部内の敵を殲滅していた。
たった今、「ショウちゃんの工房」の前に到着し、連絡を試みていた。
「だめです、兵器開発部門の人達と連絡が取れません!」
「やはり妨害電波か…だとすると発信源は屋上か…」
剣得は楓彩のことが心配で堪らないが、まずはショウや楓彩と連絡を取るため屋上へ向かうことにする。
その時
「やぁ諸君…」
突如、剣得達の後ろにフードを被った男性が現れる。
剣得は振り返る。
「きゃあ!!」
女性隊員の悲鳴を聞き、その方向へ振り返ると、どこから現れたのか、“洗脳”されたG,S,A隊員達が銃を構えていた。
「命を無駄にしたくないのなら従ってもらおう…王志はや───」
───刹那、フードを被った男性の目の前に剣得の拳が迫る。
男は頭部への命中は避けたが、男の左腕が宙を舞う。
「うがぁぁぁあ!!!!」
剣得は男の悲鳴を他所に、後ろにいる隊員達に迫る洗脳された隊員の動きを見る。
「しまった!!…ん?」
しかし、異変に気づく、洗脳された隊員達は動かず、剣得の後ろにいる隊員たちを見つめているだけだった。
そして、1人の男性隊員が
「い、今だ!!」
その声に、隊員達は、洗脳された隊員達に向かってショックガンを放ち、拘束する。
剣得はそこで、悶えている男性の方を向き
「なるほどね…いま奴らが止まったのは…お前が洗脳(コントロール)してる犯人だからか…」
剣得は拳を構える。
「まずはてめぇからだ…始末してやる」
「くっ!」
剣得は男性にとどめを刺すため、殴りかかるが、振り放った拳は空を着る。
「っ!?」
突如、剣得の目の前から男が姿を消す。
そして、女性隊員が近寄ってくる。
「総督…今のは一体…」
「わからん…しかし、弄ばれていることは確かだ」
次の瞬間
ドオオォ
ズシッと重い爆音が館内に響き渡る。
「っ!?」
隊員達が驚くのも束の間に、周囲の証明が落ち、暗闇に覆われる。
「で、電源室がやられました…!」
一瞬隊員たちはパニックに陥るが、冷静に、ライトをつけ始める。
「急ぐぞ…」
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