【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

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アレクサンダーの決意は揺るぎなかった。王太子として、そしてナタリアを守りたいという男としての強い想いが、彼を突き動かしていた。

彼はまず王宮に戻り、グレイフォード家が広めた噂の真偽を調べるよう、信頼できる側近たちに命じた。また、ナタリアの父親とも直接話をすることを決意する。クラヴィスが家名を盾にナタリアの家を追い詰めていることを知った彼は、ロゼリア家を守るために動く必要があった。

一方、ナタリアもまた、クラヴィスの陰謀に立ち向かう覚悟を決めていた。





ある日、アレクサンダーは公然とナタリアの名誉を守るため、学園内で大胆な行動に出た。彼は学園の中心で堂々とこう宣言した。
「ナタリア・ロゼリア嬢への無根拠な中傷は、王太子であるこの私が断じて許さない。」

その声は、廊下にいた貴族の学生たち全員を黙らせた。アレクサンダーの鋭い瞳が一人ひとりを見据え、誰も彼に逆らうことはできなかった。

「彼女は誇り高き貴族であり、私の信頼する大切な存在だ。彼女を傷つける行為は、私への侮辱とみなす。」

その言葉は瞬く間に学園中に広まり、これまでナタリアを避けていた令嬢たちも一転して彼女に対する態度を改め始めた。





一方、ナタリアはただ守られるだけの存在ではいられないと思い始めていた。アレクサンダーの行動に感謝しつつも、自分も何かしなければという気持ちが募っていた。

ある夜、彼女は父親の書斎を訪れ、クラヴィスとの婚約話について問いただした。父は苦しそうな表情を浮かべながらも、ロゼリア家を守るためにクラヴィスに屈しなければならない状況を打ち明けた。

「家族を守りたい気持ちはわかります。でも私は、自分の意思を捨てることが正しいとは思えません。」

ナタリアの目には決意が宿っていた。

「私は私の人生を、自分で選びたい。ロゼリア家がクラヴィスに屈する必要はありません。アレクサンダー様と共に、この状況を変えます。」

その力強い言葉に、父親もまた心を動かされた。




アレクサンダーの側近たちは、クラヴィスがナタリアとロゼリア家に仕掛けた陰謀の数々を解明しつつあった。彼らはグレイフォード家の裏での取引や、他の貴族を使った噂の拡散計画を暴き、証拠を集め始めた。

その中で、特に目を引いたのは、クラヴィスが王宮の一部の高官とも密かに通じていたという事実だった。これが明るみに出れば、グレイフォード家の立場は一気に危うくなる。

アレクサンダーはその証拠を使い、ついにクラヴィスを追い詰めることを決意した。





その決定的な瞬間は、学園主催の大舞踏会で訪れた。この舞踏会には学園の全生徒だけでなく、王宮の高官や貴族たちも多く招かれていた。クラヴィスも当然のようにその場に現れ、王太子とナタリアの関係を揺るがそうと新たな策略を練っていた。

しかし、アレクサンダーはそれを見越していた。彼は舞踏会の場で公然とクラヴィスに対峙し、持っていた証拠を示した。

「クラヴィス・グレイフォード。君の行いは、この王国の誇りを傷つけるものだ。」

アレクサンダーの鋭い言葉に、会場全体が静まり返った。クラヴィスは一瞬動揺したものの、冷静を装って反論を試みた。

「王太子殿下、私はただ家門の名誉を守るために動いていただけです。」

しかし、アレクサンダーはそれを一蹴した。