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第十一楽章 目指した先には
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「ふぅ、、。」
大きく息を吐く。
合奏中止を言い渡され部員それぞれパート練習や個人練習に行ったみたいだ。
ユーフォニアムの前田先輩から一緒に練習するか誘われたが気が乗らず断った。
部室には雨宮。
トロンボーンパート全員。
パーカッション。
そして中畑先輩。
若菜が残っていた。
中畑先輩は帰宅したい人は帰ってもいいと言ったのだが今のところ誰も帰ってない。
多分みんな練習に行ったのだろう。
「はぁ。何も成長できてない、、。くそ、」
「どうした?」
「あ、杉山先輩。
いや、どうしたら上手くなると思いますかね。」
「それは俺が知りたい。」
「はは、、。そうですよね。
杉山先輩って上手いじゃないですか?
いろんな楽器できるじゃないですか。
演奏中とか練習のときって何やってるんですか?」
「ええ?特に、、。目の前の演奏に集中するとか?」
「はぁ。」
「そういえば前にもこんなこと2人で話したよな。」
「あ、そうでしたね。メンタルの話。」
「それで周り見れるようになったのか?」
「う、うーん。まぁぼちぼちです。でも
割とよく聞こえるようにはなりましたよ。
前横は特に!栗本先生はしっかり見てます。でもなんでだろう?」
「、、、もしかして雨宮。
その位置にいるからじゃないか?」
「え?」
「ほら雨宮の合奏位置って端だろ。
それだから結構見やすいんじゃないか?」
「そうですか?」
「おう。試しに真ん中座ってみろ。」
「え?あ、、はい。」
雨宮は合奏の真ん中の席に座る。
顔をまっすぐに指揮台へ向ける。
だが前は見えるが横一列は隣の席しか見えない。
「、、、視野が狭まる。」
「わかったよ。お前の周りが見えたとかって言ったの。お前はすごく視野が広いんだよ。」
「え?」
「稀にいるんだよ、演奏家の中に。
演奏してるときに観客席にいる人の顔が全部見える人。上からも俯瞰して見えるっていう人もいた。」
「俯瞰、、。」
そうか、、
そういえば周りを見ることは大事にしていた。自分がここにいるからできることはあるはず。
ホルンは指揮者から見て左側。
1stの篠宮先輩の右に座るので
雨宮は4月からずっと端にいるのだ。
「そういえばここの立ち位置ってみんなの様子が結構見えるんだよな。
今日はみんないい感じとか、
自分の後ろはあんまり見えないけど音がよく聞こえる位置にいるからすぐわかる。
横の人前の人全部見える。」
「俯瞰して全ての楽器を束ねる。
若菜や小林にできないこと。
雨宮は司令塔だな。」
篠宮先輩と違った新しい
ホルン奏者。
それが雨宮。
「司令塔、、、。
はい!!」
自分の役目。
自分の武器。
やっとわかった気がする。
大きく息を吐く。
合奏中止を言い渡され部員それぞれパート練習や個人練習に行ったみたいだ。
ユーフォニアムの前田先輩から一緒に練習するか誘われたが気が乗らず断った。
部室には雨宮。
トロンボーンパート全員。
パーカッション。
そして中畑先輩。
若菜が残っていた。
中畑先輩は帰宅したい人は帰ってもいいと言ったのだが今のところ誰も帰ってない。
多分みんな練習に行ったのだろう。
「はぁ。何も成長できてない、、。くそ、」
「どうした?」
「あ、杉山先輩。
いや、どうしたら上手くなると思いますかね。」
「それは俺が知りたい。」
「はは、、。そうですよね。
杉山先輩って上手いじゃないですか?
いろんな楽器できるじゃないですか。
演奏中とか練習のときって何やってるんですか?」
「ええ?特に、、。目の前の演奏に集中するとか?」
「はぁ。」
「そういえば前にもこんなこと2人で話したよな。」
「あ、そうでしたね。メンタルの話。」
「それで周り見れるようになったのか?」
「う、うーん。まぁぼちぼちです。でも
割とよく聞こえるようにはなりましたよ。
前横は特に!栗本先生はしっかり見てます。でもなんでだろう?」
「、、、もしかして雨宮。
その位置にいるからじゃないか?」
「え?」
「ほら雨宮の合奏位置って端だろ。
それだから結構見やすいんじゃないか?」
「そうですか?」
「おう。試しに真ん中座ってみろ。」
「え?あ、、はい。」
雨宮は合奏の真ん中の席に座る。
顔をまっすぐに指揮台へ向ける。
だが前は見えるが横一列は隣の席しか見えない。
「、、、視野が狭まる。」
「わかったよ。お前の周りが見えたとかって言ったの。お前はすごく視野が広いんだよ。」
「え?」
「稀にいるんだよ、演奏家の中に。
演奏してるときに観客席にいる人の顔が全部見える人。上からも俯瞰して見えるっていう人もいた。」
「俯瞰、、。」
そうか、、
そういえば周りを見ることは大事にしていた。自分がここにいるからできることはあるはず。
ホルンは指揮者から見て左側。
1stの篠宮先輩の右に座るので
雨宮は4月からずっと端にいるのだ。
「そういえばここの立ち位置ってみんなの様子が結構見えるんだよな。
今日はみんないい感じとか、
自分の後ろはあんまり見えないけど音がよく聞こえる位置にいるからすぐわかる。
横の人前の人全部見える。」
「俯瞰して全ての楽器を束ねる。
若菜や小林にできないこと。
雨宮は司令塔だな。」
篠宮先輩と違った新しい
ホルン奏者。
それが雨宮。
「司令塔、、、。
はい!!」
自分の役目。
自分の武器。
やっとわかった気がする。
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