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第十一楽章 目指した先には
篠宮先輩の家③
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「じゃあとりあえずやろうか。」
「あ、、はい。あ、これお土産です。」
「おお!うなぎパイ。さすが!!」
「これかなって思って。」
「さすが野末。」
「え、、。」
「これをしてくるのは野末でしょ。何となくそう思った。」
「あ、、あはは。」
バレてる。
この人は本当に隙がない。
「まぁいいや、ありがとう。」
「、、はい。」
「どこがわからないの?」
「あ、実はそのぉ、、。」
雨宮はわからないところを全て見せる。
「これは、、重症ですな。」
「う、、。」
「よし!やるよ。」
「は、はい。」
こうして3時間くらい経っただろうか。
みっちり篠宮先輩が教えてくれた。
「よしいいんじゃない。あとはしっかり復讐すること。」
「あ、、ありがとうございます。」
「、、にしてもさ。そろそろ本当のこと話した方がいいんじゃない?」
「う、、。」
「まぁわかってるけどね。部活に戻ってこいってことでしょ。」
「、、あの篠宮先輩。全国大会に一緒に出てください。お願いします。」
「、、、それはできない。」
「なぜです?あんなに一緒にやってきたのに。」
「一緒にはやってきた。けど無理。」
「、、、無理って。勝手すぎませんか?
散々部活の中をみだしてそれでやめる?
ちゃんと理由を教えてください。」
「、、。」
沈黙が続く。
篠宮先輩は説明をしてくれない。
雨宮は篠宮先輩がちゃんとした質問をしてくれれば納得する。
けど今の現状は勝手すぎる。
「みんなだって戻ってきて欲しい。
そう思ってます。」
「みんなって?それはみんなが言ってるの?」
「、、はい。」
「みんなからはそれ聞いてないけどね。
私がいなくなっても部活はまわる。
嘘だね。」
「、、。」
「私、片親なんだぁ。父親は私が小学生のときに出てっていないし。
いつも母親が面倒見てくれてた。」
「、、あ、、すみません。」
「なんで雨宮くんが謝んの?
別に私は怒ってない。
父親は覚えてるし当時はいなくなるってわけが分からなかった。
だから私はあの2人のことを見てあげなくちゃって思った。」
「、、。」
篠宮先輩は自分のことを話し始めた。
雨宮はただ静かに聞いてることしかできなかった。
「私、お母さんには感謝してる。
面倒見てくれて高校卒業までしっかり見てくれた。だからお母さんがいないときは家事や料理は私。
中学も部活に入らなかった。
だけど、、吹奏楽部には入れなかった。」
「、、、。」
「だからさ。別に恨んでるわけじゃないけどやりたいことができないって結構辛いんだよ。だけど私は趣味とか遊びたいって欲があまりなかった人間だったらまだよかったのかな。
いつのまにか自分の生活の中心は
家のことただそれだけだった。」
「、、、。そうだったんですね。」
「でも中学に上がった4月に楽器が送られてきたの。」
「え?」
「父親から私宛にね、ホルンを。」
「、、!」
「最初はこの人何考えてるんだろってずっと思った。最初は捨てようと思った。
けどその金ピカな楽器は私を離してくれなかった。
近くの楽器屋さんに行って吹き方を教えてもらって。
最初はめちゃくちゃ難しくてでも音が出たときめちゃくちゃ嬉しかった。」
「、、、なんかわかります。
楽器って最初難しいしつまんないし。
けど、、楽しい。」
「でも吹奏楽部に入る時間はなかったから
家でこそこそ練習してた。
本当は物凄く入部したかった。
でも半年くらい経ったときにお母さんに
たまたま見つかっちゃった。」
「、、。」
「けどお母さんは何も言わなかった。
多分あの人からの贈り物って知ってたはずだったのに。
そしたら妹と弟が家のことはやるって。
自分から言ってきてお母さんも部活を勧めてくれた。
そして私は高校から部活に入部した。」
贈り物。
篠宮先輩は部活というやりたかったものをひたすらに我慢していたのだ。
その顔は窓の外を見つめているのだが
あの時の自分を思い出してるかのようだった。
「あ、、はい。あ、これお土産です。」
「おお!うなぎパイ。さすが!!」
「これかなって思って。」
「さすが野末。」
「え、、。」
「これをしてくるのは野末でしょ。何となくそう思った。」
「あ、、あはは。」
バレてる。
この人は本当に隙がない。
「まぁいいや、ありがとう。」
「、、はい。」
「どこがわからないの?」
「あ、実はそのぉ、、。」
雨宮はわからないところを全て見せる。
「これは、、重症ですな。」
「う、、。」
「よし!やるよ。」
「は、はい。」
こうして3時間くらい経っただろうか。
みっちり篠宮先輩が教えてくれた。
「よしいいんじゃない。あとはしっかり復讐すること。」
「あ、、ありがとうございます。」
「、、にしてもさ。そろそろ本当のこと話した方がいいんじゃない?」
「う、、。」
「まぁわかってるけどね。部活に戻ってこいってことでしょ。」
「、、あの篠宮先輩。全国大会に一緒に出てください。お願いします。」
「、、、それはできない。」
「なぜです?あんなに一緒にやってきたのに。」
「一緒にはやってきた。けど無理。」
「、、、無理って。勝手すぎませんか?
散々部活の中をみだしてそれでやめる?
ちゃんと理由を教えてください。」
「、、。」
沈黙が続く。
篠宮先輩は説明をしてくれない。
雨宮は篠宮先輩がちゃんとした質問をしてくれれば納得する。
けど今の現状は勝手すぎる。
「みんなだって戻ってきて欲しい。
そう思ってます。」
「みんなって?それはみんなが言ってるの?」
「、、はい。」
「みんなからはそれ聞いてないけどね。
私がいなくなっても部活はまわる。
嘘だね。」
「、、。」
「私、片親なんだぁ。父親は私が小学生のときに出てっていないし。
いつも母親が面倒見てくれてた。」
「、、あ、、すみません。」
「なんで雨宮くんが謝んの?
別に私は怒ってない。
父親は覚えてるし当時はいなくなるってわけが分からなかった。
だから私はあの2人のことを見てあげなくちゃって思った。」
「、、。」
篠宮先輩は自分のことを話し始めた。
雨宮はただ静かに聞いてることしかできなかった。
「私、お母さんには感謝してる。
面倒見てくれて高校卒業までしっかり見てくれた。だからお母さんがいないときは家事や料理は私。
中学も部活に入らなかった。
だけど、、吹奏楽部には入れなかった。」
「、、、。」
「だからさ。別に恨んでるわけじゃないけどやりたいことができないって結構辛いんだよ。だけど私は趣味とか遊びたいって欲があまりなかった人間だったらまだよかったのかな。
いつのまにか自分の生活の中心は
家のことただそれだけだった。」
「、、、。そうだったんですね。」
「でも中学に上がった4月に楽器が送られてきたの。」
「え?」
「父親から私宛にね、ホルンを。」
「、、!」
「最初はこの人何考えてるんだろってずっと思った。最初は捨てようと思った。
けどその金ピカな楽器は私を離してくれなかった。
近くの楽器屋さんに行って吹き方を教えてもらって。
最初はめちゃくちゃ難しくてでも音が出たときめちゃくちゃ嬉しかった。」
「、、、なんかわかります。
楽器って最初難しいしつまんないし。
けど、、楽しい。」
「でも吹奏楽部に入る時間はなかったから
家でこそこそ練習してた。
本当は物凄く入部したかった。
でも半年くらい経ったときにお母さんに
たまたま見つかっちゃった。」
「、、。」
「けどお母さんは何も言わなかった。
多分あの人からの贈り物って知ってたはずだったのに。
そしたら妹と弟が家のことはやるって。
自分から言ってきてお母さんも部活を勧めてくれた。
そして私は高校から部活に入部した。」
贈り物。
篠宮先輩は部活というやりたかったものをひたすらに我慢していたのだ。
その顔は窓の外を見つめているのだが
あの時の自分を思い出してるかのようだった。
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