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第十一楽章 目指した先には

入部してしばらく経った頃⑩

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「基礎練嫌い、、。」

「おいおい、有村そんなこと言うなよ。
部長に目つけられるぞ。」

「はい、、。てかなんで先輩とまた北浜で一緒にトランペットなんですかぁ?」

「あ!お前!!なんて事言うんだ!」

この男の先輩は3年生の一色先輩。
なんと中学も有村と一緒だったのだ。

「全く上手くなったと思ったのにあいからわず基礎練は嫌いなのな。」

「だって、、。」

「先輩、いじめないであげてくださいよ?
有村くんだってまだ入部したばっかなんですから。」

すると助けてくれた女の先輩は倉持先輩。

「倉持先輩に教えてもらおう。」

「あ、お前!」

「あははは。」

倉持先輩は面白がって笑ってる。
トランペットパートは結構仲がいい。

「にしても今年経験者多いですよね。貴重な戦力。」

「あぁ、。勧誘してよかったよ。お陰で最後、、、まで楽しめそうだ。」

「え?」

「いや、、よし!曲練しようか。」

「やった!!基礎練から解放だ。」

「おい!!」

「よかったね。有村くん。」

有村がボケて一色先輩が絡んで
倉持先輩がなだめる。

「そういえば有村って。中学どうだったんだよ。俺が卒業してから。」

「う、、あー、、別に普通でしたよ。
ずーと銅賞でした。ははは。」

「ふーんそうか。」

毎年銅賞。
有村はあまり吹奏楽部が好きではなかった。

これは少し中学の時。
一年生の頃は結構しっかりやっていた。

だが二年生になって顧問が変わり
うちの部は緩い部活になった。
顧問も音楽指導がない先生に変わりそこまでガッツリやってる中学ではなかった。

環境が悪いのは仕方がない。
だが有村は薄々わかっていた。

「もう終わりですか?」

「う、、うん。」

「最近練習時間短くないですか?」

「顧問がもう終了してって言ってた。」

「そうですか、、。」

そんなことが続いて部活自体の時間がどんどん短くなっていってしまった。

一年生の頃に戻りたい。

そして有村は二年生の終わり頃。

退部届を提出した。

「いいのか?」

「はい。」

「なぜやめる?部活辞めると成績表にも良くないぞ。」

「先生、、。俺は成績のために吹奏楽部やってるわけじゃありません。」

別に全てを辞めるわけじゃない。
トランペットは続ける。
環境が悪くったって、高校でちゃんとしたところでやるために。

3年間を無駄にしないための一年が始まる。

「?何笑ってんだよ有村。」

「いや、なんでもないですよ!一色先輩。」







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