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第十一楽章 目指した先には

入学してしばらく経った頃②

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「ふー。」

「どうしたの?三葉」

「あ、、いやぁ。私たちもうじき部活卒業だなって。」

「あーそうだね。」

「寂しくないの水越は?」

「うーん。そうだなぁ特に。これで人生終わるわけではないし吹部は卒業してもあり続けるわけだし。」

「そんなもんだと思った。」

そういえば水越って変わらないよな。
早乙女三葉はこの水越と同じトロンボーンで2年と少しの間を過ごした中である。
水越はあった時から変わらない。
入部してたくさん喋ったことは今でも覚えている。

確かまだ4月の頃だ。

「ねぇ、水越くん。」

「ん?、何?早乙女さん?」

「あのさ、ここ教えて欲しいんだけど。」

「あぁそこはブレスのタイミングだね。
一つ一つの音の音程が重要だからロングトーンしっかりやればできるよ。」

「そうなんだありがとう。」

「うん。」

「、、、、、。」

「、、、、、。」

いつもこんな感じだ。
早乙女三葉は水越と一緒に練習していた。

本当は今日は白石先輩が練習を見てくれるはずだったんだけど少し部活に来るのが遅れてるようだ。

「ねぇ。」

「ん?」

「早乙女さんはなんで吹部に?
ここの部活あんまり強くないのに。」

「え?あーまぁ私は楽器をやろうかやらないか悩んでたんだけど先輩たちのコンサート見てたら楽しそうだったから。」

「ふーん。早乙女さんの音いい音してるから。」

「え?あ、ありがとう。中学でも言われたことないよ。」

「そうかぁ。」

「、、、、、。」

「、、、、、。」

「、、、、、もー何?!」

「え?何?」

「何かあるでしょ?他に言うこと。ねぇ水越くん、、いや水越!!それが素なの?ねぇ?」

「あー口数少ないとは言われる。
中学のときはよく言われた。」

「ふーん。」

「ねぇ水越は休みの日とか何してんの?」

「うーん。勉強して楽譜見てトロンボーン整備してご飯作って洗濯物干すとか?」

「えらっ。」

「まぁうち父親しかいないから。ほとんど家事は父親がやってるからね。休みは手伝ってる。」

「え、、ごめん。」

「なんで謝んの?」

「いや、、だってそのー。なんも知らないで水越のこと見てたから。」

「まぁそりゃあまだ知り合って月日もたってないしね。」

「私水越のこと無口で何考えてるかわからないしこんなやつと3年間やるの大丈夫かなぁと思ってたし。」

「凄いこと言うね。そんなふうに思ってたんだ。」

「でもいいやつだと思ってたから。」

「あ、、いいやつだとは思ってたんだ。
まぁあんまり人に興味がないんだよね。」

「あ、それはわかる。」

「あはは。1人でいるの結構好きだし。」

「へぇそうなんだ。」

「あ、、でも大人数でいるのも悪くはないんだけど少し苦手。
でも吹奏楽部は楽器が好きな人や音楽が好きな人。みんなが同じ方向を見てるから好きかな。なんか個々の部活はいい感じがする。」

「ふーん。水越今日はみんなでご飯食べに行こう!!」

「え?いや今日は早く帰りたいし。帰って映画みたい。」

「だめ!!みんなで行こう!!
私たち喋らなすぎ。こんなんで3年間過ごすのやだ。」

「ふ、、はは。早乙女さんって面白いね。」

水越は無口。
私とは性格反対。絶対合わない。
でも悪いやつじゃない。

これだけは確か。

「ねぇ、三葉。」

「なに?」

「そこ答え間違ってる。」

頭はめちゃくちゃいい。
こういうところは本当にムカつく。
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