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第七楽章 県大会が始まる。

海星女子

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「暑い。」
雨宮は会場の外に出て自動販売機を探していた。なぜこんなことになったのかというとそれは数時間前に遡る。

「ではまだ結果発表まで時間あるから各自自由にしててください。ただし結果発表の時までには会場に戻ってきてください。」

中畑先輩に言われたので雨宮は会場で他校の演奏を聞こうとしていたのだが
一年生たちでじゃんけんで負けた人が飲み物を買ってくるゲームをして見事に負けたので
一人で自動販売機を探していた。

「なんで会場の近くにないんだろうか。」

そんなことをブツブツ呟いていた。

「先生に怒られる~。」

「全く白石ちゃんが遅くまでご飯食べてるからでしょ。」

「気にしない気にしない。」

雨宮と同じ吹奏楽部だろうか。
2人の女子生徒が走っていった。
会場のお手伝いをしていた海星女子学園の
制服を着ていた。

「海星女子の人たちか。おっ自販機あったあった。」

お財布からお金を取り出そうしたその時
小銭を落としてしまった。

「あっやばい。」

お金を拾う。全部拾いそのまま自販機でお金を入れる。
すると同じくらいの年齢だろうか。声をかけられた。

「500円玉2枚。100円玉1枚。10円玉2枚
1円玉5枚。落としたよ。」

「えっ、でも、あっ本当だ。
ありがとうございます。」

「気にしないで、なんか落としたから」

「よく分かりましたね。」

「昔から耳はいいから。」

よく見ると海星女子の制服を着ていた。

「海星女子だ。」

「ん?知ってるの?」

「吹奏楽部をやってる人なら誰でも知ってるぜ。名門だろ。」

「別に名門じゃあないよ。」

「一年生?」

「うん。」

「すげぇ。大会メンバー?」

「まぁ一応。」

「一年でメンバーって。すげぇな。」

「北浜高校の演奏聴いてた。」

「おっ、ありがとう。」

「ソロうまかった。なんであの2人北浜高校なんだろ?そこが不思議。」

「だよな。俺も不思議だ。」

「えっ、変なの。」

クスクスと笑った。

「でも2人だけのチームじゃないからな。
俺も頑張る。」

「私聴いてた。ホルンだよね。」

「え、おう。見てたのか。」

「うーんうまく言えないんだけど2人にはないもの君には持ってる気がする。」

「なんだそれ。」

「じゃあ!」

海星女子の制服を着ていたその女は行ってしまった。
にしてもなんかどこかで見たことがある気がする。
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