あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

第六楽章 北浜高校の夏合宿

夕日のバスの中で。

「すっかり寝てしまったね。栗本君もお疲れ様って、、寝てるし｡」

隣に寝ている栗本に気づいて志柿先生は声のボリュームを落とした。

「ずーと根気詰めて指導してましたし疲れも出たんでしょうね。」

桃葉直美は志柿に返答する。

「数年前に学校の指導者になったのは驚いたけどまさかちゃんと先生になってるんだもんな。びっくりしたよ。」

「そうですね。先輩たちが大学を卒業してから数年したら指揮者になってるんですもんね。驚きますよね。
オーケストラでみんなで吹いてる時はあんまりわからないんですけどやっぱり指導してる姿を見るとやっぱり指導者なんだなと思いますよね。」

「もう栗本大先生って感じだよね。！！」

「ですね。」

「桃葉ちゃん、もしよかったらこの後2人でご飯でも、、、」

「いきません！彼女さんに怒られますよ。」

「あっごめんごめん、ははは。」

「全くもう｡」

桃葉は志柿とは逆の方の窓を見つめた。

「北浜高校の吹奏楽の子たちはいい子が多かった。部長の中畑君は真面目でリーダーシップもあるしホルンの美玲君は変わった感じだけど面白い｡」

「そうですね、、フルートの野末さんはいろいろあったと思うけどとても上手だしもっと上手くなると思います｡」

「それに二年生もみんなうまい。
そして一年生も未経験者の子もかなり上手くなった。若いっていいなぁ。」

「そうですね。特に小林君と若菜さんは特に｡」

「そうだね。これから楽しみだ｡」


「先輩の一押しの子はどうでした？」

「ん？いやぁなんでだろなー｡なんかあの子だけ目にかけちゃったかな。」

「先生に似てますよね。」

「もしかして孫かも。」

「えーまさか。」

「世間は狭いですから！」


北浜高校吹奏楽部一行を乗せたバスは
夕日のなかをゆっくりと走っていった。