あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

第六楽章 北浜高校の夏合宿

ソロオーディション③

「では、どうだった？みんな。」

栗本先生は観客席にいる部員全員に
聞いてみる。しかし、なかなか決められない。誰が最初に答えるのを待っている。

「では、拍手の数で決めてもらいましょうか？いいですか部長。」

「え、あ、はい！大丈夫です。」

いつもすぐ返事をする中畑先輩が
戸惑っている。

「いいよね。みんな。」

すると部員は首を縦に振るもの｡
小さく返事をするもの｡
それぞれバラバラだったが賛同した。

「では、野末さんが良かった人。」

「パチパチパチ。」

数人拍手している。
ほとんどの人たちが拍手をしている。

「では横山さん。」

「パチパチパチ｡」

野末先輩の拍手より音は小さいが
拍手をしている。だけど横山先輩は下を向いている。


「では最後に小林さんが良かった人。」

「、、、、｡」

拍手はない。

でもその瞬間雨宮は席を立って拍手をした。
誰にも負けないくらい。

すると、それに釣られて拍手が聞こえた。
振り返ると若菜が拍手をしていた。

「はい。」

栗本先生は席をたち大きな声で喋り出した。

「部員が決めるのはわからないよね。
誰がいいのか。上下関係もあるかもしれない。同情で拍手をしたかもしれない。
誰でもいいかもしれない人も
いるかもしれない、、、｡」

すると栗本先生は3人の方を見る。

「野末さん、
ソロはあなたが吹きますか？」

「、、いえ、、、吹けないです。」

野末先輩は下を向く。

「小林さん。あなたがソロです。
吹けますか？」

「はい｡」

「3人ともお疲れ様でした。
今日はそのまま夕飯まで個人練習です。
明日は最後の一日ですからがんばりましょう｡では解散。」

「はい。」