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第六楽章 北浜高校の夏合宿

響く音に

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「響く音を作るにはまず根本的から直さなければならない。」

「え、でもそれをやってしまったら今まで吹いてる形を崩すってことですか?」

「ダメかい?」

「いやダメでもないですけどでもこの拭き方は中学の時に教わってて今に至ります。大会まで残り数日なんですよ。もし今の演奏スタイルを崩してしまったら、、」

「いや、そこまで言ってないよ。ただ、僕がするのはアドバイス。これが合わなかったら辞めればいい。」

「は、はい。わかりました。」

「じゃあまずは、、仰向けになってもらおうか。」


「え?」

「少しマッサージしようかな。」

雨宮はタオルを下に敷き、
仰向けになる。
すると、志柿先生は雨宮の手を背中の方にやり肩甲骨に手を入れ始めた。

「痛たたたたたた!!!!、
痛い痛い、何するんですか?志柿先生!
殺す気ですか?」

「肩甲骨を剥がしてやろう。」

「えっえええ、えええーーーーー。」

「行くぞ!ほい。」

すると鈍い音が聞こえる。

グキっ!!!


「うぎゃあああああ。」

雨宮は力が抜けた。

「鬼か、」

「オッケー。じゃあ楽器吹いてみて。」

「、、、、」

楽器を持つ。雨宮は楽器を持つ。

「じゃあロングトーンやってみようか。」

「はい。」

雨宮は吹き始める。

うっなんだこのへん感じは
ふわふわする。とても音階なんて吹けない。

あれ、でもいつもより楽器に音が入る。
なんでだ。それにまだ息に余裕がある。

でも今までにないいい音が出せてる感覚がある。
ロングトーンを終えマウスピースを
口から話す。

「うん。よくなった。姿勢をしっかりするだけでもだいぶ違ったね。」

「はい。良い姿勢なったのでお腹の空気を全部だせたような。あと、息も余裕がありました。」

「ベルも向ける方向も変わったしね。
何か変えると楽器はまた違った音を出す。」

「ホルンはマウスピースからベルまで距離が長い。丸くなってるからそうは見えないけど。そのためたくさんの息を使わなければいい音が出ない。これも一番難しい楽器と言われてる名残かもしれないね。」

「はい。」

「ホルンを吹くのならホルンをよく知ってないといけない。
合宿中は姿勢、あと楽器をよく知ること。
そうすれば君はもっと上手くなれる。」

「はい。ありがとうございます。」

この感覚を忘れないように。
今は早く吹きたい気分だ。

すると部屋の扉が開く。

「おい、洸!変な声したけど大丈夫か?」

大海が聞いてくる。
聞かれてたのか。

「大丈夫。なんでもないよ。」

「そうか?夕飯後は風呂も音出しは9時までだからな。」

「わかった。ありがとな。」

大海は教室を後にする。

「じゃあ僕もそろそろ行こうかな。練習はほどほどにね。またいつでもマッサージするから」

志柿先生は部屋を出ようとする。

「それは別にいいです。」

あのマッサージはもう懲り懲りだ。
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