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第六楽章 北浜高校の夏合宿

朝花は心配する。

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「この後確か栗本先生の教えてるところに合流するんだよね?朝花ちゃん?!」

「え、うん、そうだね。」

朝花と絢辻明の2人は部屋でリズム練習をしていた。

原田先輩と野俣先輩と杉山先輩は栗本先生に呼ばれてるらしい。もう時期戻ってくると思うけど。

少し朝花は心配になっていた。
それは双子の妹の若菜のことだ。

中日吹が終わってから若菜はあまり元気がないように見えたのだ。

普段から元気がないわけではない。部活中はいつでもやる気があるし合奏もミスがない。

だけど家に帰ってからはソファーで考え事をしているようだし、話しかけても上の空だったこともよくある。

「どうしたの?朝花ちゃん?」

「いやぁなんでもないよ、、みんな、、なんの練習してるのかな、と思って、、」

「そうだね。5日間もあるからね。
夜とか楽しみだね。」

「えっ夜?」

「そう!なんかお泊まり会みたいで楽しみじゃない?」

「う、うん楽しみだね、、」

「どうしたの朝花ちゃん?なんか悩み事?」

「え?そんなことないよ明ちゃん!」

「そお?もしなんかあったら言ってね。同じパートなんだから。」

「ありがとう。頑張ろうね。」

「うん。」


部屋の鍵がガラガラと音を立てて扉が開く。

「2人とも30分後栗本先生のクラスに。」

杉山先輩が朝花と絢辻に声をかける。

「わかりました。」

朝花はいつも若菜といた。
だけど今回はちがう。

少し心配なところもあるが私も自分のことをしなくては。

そう思う朝花であった。
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