あの音になりたい! 北浜高校吹奏楽部へようこそ!

コウ

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第六楽章 北浜高校の夏合宿

ツーアウト、ランナーは二塁、三塁

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「かっ飛ばせ、山本!!」

現在9回の表の攻撃。
スコアは北浜高校が2点。
対する対戦校の東星学園は3点とリードしている。
ここで点を取らなければ負けてしまう。

ツーアウトランナー二塁、三塁の大チャンスだ。
打者は3年生の山本という部員だ。

「がんばれ。」と雨宮は心の中で祈る。

なぜだろう。特に喋ったこともない人なのに
応援してしまう。

しかしこれがスポーツなのだろうか。

野球部で4番打者。監督やチームに期待されて今、バッターボックスに立っているのだろう。

投手が投げる。
山本はひたすらにバットに当てる。

お互いの実力は互角。

「かっ飛ばせえっ、山本!!!!!」

三年生の先輩たちが叫ぶ。

「行け!蹴っ飛ばせ!シュート!」

優実が叫ぶ。何か他のスポーツと混じってる気がするんだけど。

「カキン!!!」

「あっ!」

バットにボールが当たる。
レフトにボールが飛ぶ。ボールが落ちる。
よし、これで逆転だ。

誰もがそう思った、だがレフトを守っている
外野手の選手が飛び込む。

グローブを上にあげる。
ボールはそのグローブに入っていた。

アウトだ。

北浜高校の野球部の夏が終わった。

東星学園の選手たちは喜び、
北浜高校の選手たちは泣いていた。

「負けた。」と雨宮はつぶやいた。

「負けたね。」と小林もつぶやいた。


スタンドに部員たちが挨拶しにきた。

「応援ありがとうございました!!」

応援席に拍手を送る。

「さぁ片付けだ。俺たちも頑張ろう。」と中畑先輩は部員に呼びかける。

「はい。」と吹奏楽部の部員は
全員で返事する。


勝ちや負けが決まる。
俺はどこまで勝てるのだろうか。
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