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第四楽章 中部日本吹奏楽コンクール

電話

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雨宮は若菜になんて声をかけたらわからなかった。
ずっと泣いていた。

あの悔しそうな顔が今でも雨宮の中に残っている。もう涙を流すのは嫌だ。

すると隣の席の若菜が雨宮の方を見る。
やばい。殴られる。そう直感して手で防御しようとする。だが、

「昨日はありがとう。」

予想していなかった言葉が返ってきて雨宮は焦る。びっくりした。

「おう。気にするな。」

それしか返すことができなかった。
やめたりしないよな。いや、若菜はそんなことでやめるようなやつではない。

するとスマホを見ると一通のメールが入っていた。中学のお世話になった、林先生だ。
たびたび高校に入ってからもたびたびメールをくれる生徒思いの先生だ。

雨宮は校舎を出て何故か電話をかけてしまった。
普段はメールをしないくせに。

何故だろうか、無性に電話をしてみたくなった。

「もしもし。」

「おぉー。雨宮。久しぶりだな。電話とは珍しいなどうした?」

少し懐かしい声。林先生の声だとすぐわかった。

「あっいえ、そのお久しぶりです。実はまぁなんとなく。」

「なんとなくだぁ?私だって暇じゃないんだぞ。」

「はハハっ。あの先生はその、誰かが好きなことを続けてもし嫌なことがあって、立ち止まったら、。」

「まて、正々堂々とこい。」

「はい。」

心の中まで読まれてる。この人は鬼か。

「あと一歩届かなくて、リベンジできる機会があったら先生ならどうしますか?」

「ほぅー。そうきたか。
答えは一つ。自分の心に従うんだ。たしかにリベンジして成功すればいいかもしれない。
でも失敗して成功しないかもしれない。誰か笑う奴もいるかもしれない。馬鹿にする奴もいるかもしれない。でも雨宮、お前はどうしたいんだ?」

「はー。林先生は変わらないですね。」

「失礼だな。私はいつも真剣なんだぞ?」

「ありがとうございました。また。」

「そうだ雨宮。」

「はい?」

「終わって一息ついたらなんか飯でも食いに行こう。」

「お酒は禁止ですよ。」

「バレなければいいんだ。」

「公務員の言うことですか?」

「じゃあな頑張れ。」

「はい。」電話切る。

林は電話を切る。
窓を見ながらつぶやく。

「なんだ元気そうじゃないか。」
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