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第四楽章 中部日本吹奏楽コンクール

部長として。

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中部日本吹奏楽コンクールも終わり、
部長の中畑はひたすらに黒板を見ていた。
ただひたすらに。昼飯も食べた。だが全く身が入らない。

中畑は吹奏楽部が嫌いになったことがなかった。むしろ1日も部活を休んだことがなかった。初心者で3年目になるが、金賞を取ったことがあるのは一年生の夏の全日本吹奏楽コンクールだった。まぁ今年と一緒のダメ金なんだが。

でもあの時とは違う。一年生であの時は先輩にとにかくがむしゃらについていってダメ金だった。周りの先輩は泣いていたが自分は正直、あの時はまだ金賞とはどのくらいすごくて東海大会に行けなかったとか全然わからなかった。

だが3年目でようやくわかった。
東海大会に行くことはどれだけ狭き門であることも。一年生のダメ金以来、北浜高校は金賞から遠ざかっていたからだ。

「あの時の部長の気持ち、よくわかったよ、、、でもどうすればいいんだよ。」

ため息しか出ない。先輩たちが卒業してみんなから部長に任命された。
その理由は1番、リーダーシップがあるから。
あと真面目だからだ。

「別に俺はリーダーシップも真面目もないんだけど。どうすれば、。」

「おーい。ちょっといいか?」

すると話しかけてきたのはチューバの斉藤と
コントラバスの貝原だった。

「ん?」

3人は廊下に出て歩く。するともう一つ塊になってたグループがあった。

「おう。」

「よっ。」

そこには篠宮以外の三年生の吹奏楽部メンバーが集合していた。
しばらくいつものたわいもない話をするが
会話が全員だと続かない。
こんなことあまりない。

でも原田が中畑に尋ねる。

「中畑。昨日どうだったよ。」

痛いところをつかれる。

「昨日は全力で戦ったよ。でも負けた。
これが北浜高校のベストな演奏だよ。」

しばらく考えて中畑は話を続ける。

「俺は正直言わせてもらうとここで終わりでもいいんじゃないかと思ってる。」

「えっ?」

「今の一年生は優秀なメンバーが集まってるし二年生もいいメンバーが集まってる。」

三年生が固まる。
すると

「それ本気で言ってんの?部長?」

振り返るとそこには昼飯を持った篠宮が立っていた。

「いや、俺は、最後までやりたいよ!全国行きたいよ。」

「だろうな。」と原田。

「やっぱり部長だね。」と早乙女先輩。


すると中畑は両手で頬を叩く。


みんなびっくりして中畑を見る。


「しっかりしなきゃ。俺が揺らいでどうする。」

部長として最後の夏、全国に行きたい。
もう一度立ちたい。

もう一度、決意を固める。

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