あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

第四楽章 中部日本吹奏楽コンクール

バスの中で

「よし、じゃあみんな乗れよ。」
と篠宮先輩が全員に呼びかける｡

ぞろぞろバスに乗り始める｡
雨宮も席に座る｡

「あのーここいいですか～？」

「げっ、」

「あっ」
雨宮はその瞬間声をかける相手を間違えた｡
座ってたのは若菜だった。

「いや、」

「いやだ」と言う前に若菜の隣に座る｡

「なんで座るのよ｡」

「いや、もう座るところもうないし｡」

「変な噂されるしやめてよ｡その恥ずかしいし｡」
若菜は雨宮を見て言う。本当に嫌そうだ。


「あっ？若菜に恥ずかしいとかあるのか？」


「あんたはデリカシーがない｡」

「うんうん。そう言ってもらえると最高だよ。」

「私はバスの中でゆっくりしたいから｡
集中するから話しかけないでよ。」

「奇遇だな｡俺もだよ。」


「バス出発しまーす。」
と先輩の誰かが全員に呼びかけてバスが発車する｡
もう数時間後には本番なのかと思うと
心がだんだんとそわそわしてきた。