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第四楽章 中部日本吹奏楽コンクール

楽器運搬

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「はい。じゃあ音合わせはここまであとはリハーサルで。全員準備を。」

「はい。」

課題曲、自由曲を両方とも大事なところを確認してソロも曲を通して合わせた。
大事なところはもう一度念のためにやる。
本番は一回きり。たった10分くらいの短い時間で全てが決まってしまう。
練習に費やしてきた時間がたった一回きりで終わる。

だから本番は怖い。

「バスもう時期来るそうです。」と
パーカッションの野俣先輩が部室の扉を開けながら大きな声で全員に伝える。

「オッケー。じゃあ楽器の準備を。」

「はい。じゃあみんな楽器と持ち物だけ用意して。一年生、何か分からないことがあったら先輩にすぐ伝えて。何かトラブルがあったら連絡すること。」

「はい。」

部長の中畑先輩が指示をする。
全員で楽器を運搬しトラックの運転手さんにお願いする。

「雨宮くん。これ持って。」と早乙女先輩。

「あっはい。」

すると篠宮先輩が

「そしたらこれも。」


「あ、わかりました。」

吹奏楽部の楽器運搬は基本的には男子部員が率先して行う。
女子が多い吹奏楽部だがこういう時は男子の出番だ。基本こき使われる。

「基本俺らがやるんだな。」と松山が荷物を持ちながら雨宮に話しかけてくる。

「何もいうな。」

「そうだぞ、松山。こういう時は男子が率先してやるんだ。ただでさえ立場が弱い男子部員はこういうところで役に立つんだ。女子は敵に回してはいけない。」

と話しかけてきたのは時田先輩だ。
松山と同じバリトンサックスだ。

「ううっ。時田先輩がそう言うなら本当だな。」

イケメンの時田先輩でも女子には弱いらしい。
そう考えると北浜高校は部長と副部長が男子部員の中畑先輩と原田先輩だ。

雨宮は中学の時には3年間、女子が部長、副部長をやっていたので珍しかった。

そんなことを考えてるうちに楽器を全て
トラックに詰め込んだ。

「じゃあ運転手さんに挨拶。」

「よろしくお願いします。」

部員全員でトラックの運転手さんに
挨拶をする。

「では会場で楽器下ろしますのでよろしくお願いします。」

トラックはゆっくりと動き出して出発した。

「じゃあ俺らもバスに乗りましょう。」
と中畑先輩が全員に呼びかける。

「はい。」

いよいよ会場に向かう。






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