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第四楽章 中部日本吹奏楽コンクール

休み

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「ソロからの入りは全員よくなりました。ただ入ってくる時の音は大事にしてください。」

「はい。」部員全員が返事をする。

栗本先生が顎に手を当てる。
何か考えてるようだ。

「ホルン。いいですか?」

「はい。」
篠宮先輩と雨宮は返事をする。

「裏メロのところ1人ずつお願いします。」

「はい。」
2人とも大きな声で返事をする。

キタ。雨宮は心の中で思った。いきなりの指名。雨宮は緊張してきた。

「では美玲から。」

「はい。」

篠宮が演奏する。いつも通り安定感ある綺麗な音で演奏する。その音は誰にも負けない真のある音をしていた。

「わかりました。では次。」

「はい。」

雨宮は息を深く早く吸い込む。
練習してきた。大丈夫。吹けてる。篠宮先輩に敵わないかもしれないが精一杯吹く。
自分の中での理想のイメージはあるがだいぶ近づけた。だがまだ足りない。

「はい。そこまで。」

栗本先生は黙り込む。
どうだろうか。この沈黙が気持ちを不安にさせる。

「ホルン。ここは一本だけで。1stだけにしてください。」

「はい。」篠宮先輩は返事をする。

「はい。」雨宮は自分でもわかるくらい小さな声で返事をする。



ダメだった。間に合わなかった。
雨宮は何も考えられなくなった。

「では次もう一度44小節から。」

「はい。」部員全員が返事をする。

切り替えなくては。雨宮は強く思った。
しかし気持ちが入らない。
その時、背中に温かい手が雨宮の冷たくなった背中を溶かした。

篠宮先輩が気遣ってボソッと喋った。

「よく頑張った。」

少し悔しさの冷たいものが温かいやさしさが溶かしてくれたような気がした。




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