あの音になりたい! 北浜高校吹奏楽部へようこそ!

コウ

文字の大きさ
上 下
50 / 625
第三楽章 新生北浜高校吹奏楽部

コンクールの曲②

しおりを挟む
 

「はぁ。アレン如きが、何うちの団長を語ってるの?片腹痛いよね」
 おーーーい。急にどうした兄さん???
「何が如きだ!言っておくが、俺の方が歳上で、騎士としても先輩に当たる!そんな俺に対する態度がそれで良いと思っているのか?!」

「いいんじゃないの?尊敬に値出来る人なら、自然と敬うんだけどね」
「クラ!」
 ギャーギャーと言い争いを始めるクラとアレン。

 そんな2人を、呆然と見つめるキリアに、隣でニコニコと微笑みながら見ているカトレア。
「あーーの、これは、いつもの事ですか?」
 恐る恐る尋ねてみる。
「そうですね。通常の光景です」
 クラ兄さんーー!!!お城に来て何してるの?!いや、カトレアとかに対する態度は正解になったのかもしれないけど、大好きな団長さんの事で喧嘩するの止めてーー!?!?


「キリア、カトレア様の専属魔法使いになったとの事だけど」

 暫く喧嘩を続けた後、やっと一段落ついたクラ兄さんから、話し掛けられる。

「もし何か困った事があったら、すぐ俺に言うんだよ?カトレア様の専属魔法使いが嫌になったとかなら、すぐに家に帰ってもいいんだからね?」

 あ。根本的な部分は変わって無いんだね。でも駄目だよ?王子様の前でそんな事言ったら。

「大丈夫だよクラ兄さん。クラ兄さんも、騎士団の人達と仲良く!仲良くしてね」
 念を押して、2回同じ事を言う。大切だからね。
 それから暫く騎士団の練習を見学し、また、城の案内に戻る。
 余談だが、ラット騎士団長も途中練習に参加し、愛しい妹と弟が見ているとあって、クラとラットのやる気は倍増し、いつも以上に他の騎士達はボコボコにされたらしい。


「後はーーー」
 丁寧にお城の中を案内してくれるカトレア。カトレアは、最初から、ずっと、優しい。
 クラ兄さんもいて、頼りになるアレンもいて、何とか、お城での生活もやって行けそう。そう、思った矢先だったーーー

「あら、ゴミ屑じゃない」
「!!!」

 その声に、体がビクッと反応する。聞き覚えのある声。
 ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには、聞き覚えのあった声の主がいた。

「……サウィルンさん」
 私の元・家族の1人、姉のサウィルン・ラナン。

「あはっ。姉様、だなんて呼ばれなくて良かったー!あんたなんかうちの子じゃないもんね」
 それは、こちらも同じ。私の家族は貴女達じゃない。だから、姉だなんて二度と呼びたくない。

「サウィルン。貴女がお城に何の用ですか?」
 サッと、私の前に出て、姉から隠してくれるカトレア。アレンも、その隣で、1歩前に出た。そのアレンの表情は険しくて、サウィルンを警戒しているのが伺える。
 カトレア、ユーリさんーー元・兄とも面識があったけど、サウィルンさんとも面識があるんですね。


「貴方に会いに来たのよ、ダーリン♡」

 ーーーは?ダーリン?王族に向かって??

「サウィルン様!幾ら貴族であろうと、第7王子であるカトレア様に向かって、なんて口の利き方をーー!!」
 ほら、アレンさんが1発で激ギレしてるじゃないですか。
「うっさいわねー。いーの、私とカトレアは婚約者同士なんだから♡」
「貴女の婚約者になった覚えは一切有りません。お引き取り下さい」
 動揺する前に一瞬でカトレアが否定した。
「やだ。照れてるの?かぁわぁいー♡」
 ……元とは言え、実の姉の阿呆さ加減に頭が痛くなりますね。大丈夫?王族相手に、虚偽の婚約者名乗ってるの?ヤバくない?

「……不思議なのですが、この前から、どういった心境の変化なのですか?留学先で一緒だった時には、そのような態度では無かったですよね?それどころか、ニケが命を狙ってるから、精々怯えて過ごせば?と、笑いながら言ってきたじゃ有りませんか」

 サウィルンさんとはどこの知り合いなのかと思えば、留学先の学校?あの飛び級したやつの?最初に、カトレアが私達に依頼したーーー。
 そう言えば、私の事をニケさん(阿呆テスト男)に話したのは、サウィルンでしたね。成程。皆さん、同じクラスメイトだったんですね。

「やだーそんな過去の事!あれは、命が狙われてるから気を付けて!って意味だったの♡そのお陰で、命が助かったでしょ?」
 よく言いますね。カトレア殺人の容疑を、私に被せるためにニケに助言までしといて。

「僕の命が助かったのは、紅の魔法使いーーキリア達のお陰です」
「!」
「そこのゴミ屑がー?」

 不満そうな目を、カトレアの背中に守られている私に向ける。
「兄さんから聞いてたけど、あんたホントに生きてたのね」
 貴女達元・家族に、森に捨てられましたからね。ケイ先生が拾ってくれなきゃ、死んでましたよ。
「あはは!あそこで野垂れ死んでくれてれば良かったのに!そしたら、あんたの不細工で辛気臭い顔見なくて済んだんだから!」
 大きな声で笑いながら、人が傷付く事を、平気で言う。昔と何も変わらない。変わらないーーーけど。

「……サウィルンさん、随分、体型がーー変わりました。ね」
 母親譲りの緑の髪に、緑の瞳は変わっていないが、体型が、ぽっちゃりした、お相撲さんの体型になっている。昔はもっと痩せてたのに……。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

久野市さんは忍びたい

白い彗星
青春
一人暮らしの瀬戸原 木葉の下に現れた女の子。忍びの家系である久野市 忍はある使命のため、木葉と一緒に暮らすことに。同年代の女子との生活に戸惑う木葉だが……? 木葉を「主様」と慕う忍は、しかし現代生活に慣れておらず、結局木葉が忍の世話をすることに? 日常やトラブルを乗り越え、お互いに生活していく中で、二人の中でその関係性に変化が生まれていく。 「胸がぽかぽかする……この気持ちは、いったいなんでしょう」 これは使命感? それとも…… 現代世界に現れた古き忍びくノ一は、果たして己の使命をまっとうできるのか!? 木葉の周囲の人々とも徐々に関わりを持っていく……ドタバタ生活が始まる! 小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも連載しています!

処理中です...