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プロローグ 最後のコンクール

それでもやっぱり

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12月初旬。冬休み前で学生たちはワクワクドキドキする季節。
だが受験生にとっては憂鬱だ。
そんな中、雨宮洸は音楽室に来ていた。

今日は土曜日。吹奏楽部の後輩たちは練習がお休みだそうで、雨宮は気分転換にホルンを吹きに来ていた。勉強はしなくてはいけないのはわかってはいるが、なかなか机に向かうということは難しい。

「マジで勉強したくない。」そんなことを思いながらも勉強しなくてはいけないという罪悪感も持ちつつもホルンを吹きに来ていたのだ。


すると突然、
「勉強しなくていいのか?受験生。」

聞き覚えのある声だと思い振り返ると
そこにはいつも顔を見合わせる
教師の姿だった。

「なんだ、林先生か。」

「なんだとはなんだ。なんだとは」

「いやぁ林先生でよかったなーと思って。
学年主任とか生徒指導の先生とかだったら怒られてた。」

「まぁ私が報告すれば終わりだな。」

「それは勘弁してください。」

いつもこんな感じで冗談まじりの会話をするのが林先生だ。多くの生徒から好かれるのもわかる。なんで俺ばかりこんなに面倒を見てくれるのか不思議でしょうがない。

「そういえば進路希望。出してくれたな。
 ありがとう。推薦じゃないからな。
     しっかり受験対策しとけよ。」


「あとは受かればいいんですけどね。
  不安しかないです。」

「別に高校の受験なんだ。落ちるやつはほぼいないよ。進学校だから運悪かったら落ちるかもしれないが。」

「生徒に落ちるとか
  言わないでくれますか!」

「すまないすまない。
 でも落ち着いてやれば大丈夫だよ。」

受験生に向かって落ちるとか運が良ければとかこの人は無神経なのか、冗談なのか。

「さぁもう遅い。もう帰れ。
 受験生は家帰って勉強だ。部室の鍵閉めは私がやっておくから。」

「なんか腑に落ちないなぁ、、。
まぁいいか。お疲れ様でした。」

「気をつけて帰れよ。」


帰宅準備をして帰る後ろ姿の雨宮を見送り
林先生は呟く。

「吹奏楽部に入るつもりはないっていってるくせにホルンは吹きたいんだな、、。
 天邪鬼だな。」

残り3ヶ月。
生徒全員が決まるまで気を引き締める
林先生だった。



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