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プロローグ 最後のコンクール

帰り道、別れ道

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フミヤと約束した玄関先へむかう。音楽室は三階。玄関先まで少し距離がある。大会やマーチング、楽器運搬を3年間やった洸はこの階段の登り降りは全くキツくない。でも少し憂鬱と感じてしまうのがこの時間だった。

「よし帰ろうぜ!洸!」

下駄箱から運動靴を取り出して上履きから履き替える。夕陽が差し込み、秋から冬に変わる風が体を包み込む。
学校から家までは歩いて20分くらいで着く。
本当は自転車で登校したかったが、学区外だったため教師が許してくれなかった。


「そういえば、ウチのクラスってかわいい子多いよなー。」

「そうかなぁー。」

特に大事な話でもないが雑談する。
今日何があったか。どんなことした?
当たり障りもない会話を繰り返す。
フミヤは南中吹奏楽部でフルートを担当していた。洸と同じく初心者で入り、数少ない男子部員だったので自然と仲良くなり一緒に部活帰りは2人で帰ることが多くなった。

受験生のストレスもあってか進路のことは話題に出すのはやめようかなと思った矢先、フミヤがいつもの雑談を話す時のテンションで洸に話しかけてきた。


「俺、志望校受かったよ!部活動推薦だ!」

「おっ!すげーじゃん。どこに決めたよ?」

「静岡県立砂山学園!吹奏楽部の強豪校だぜ!」

静岡県は吹奏楽の激戦区でもあった。
音楽の街。有名な楽器メーカーもあるのが
静岡県である。
その中でも毎年、県大会を勝ち進んで東海大会、全国大会で金賞を毎年受賞をしている静岡県立海星女子学園という超名門校がある。

まぁ男子は入部どころか入学すらできないんだけど。

砂山学園は3度の全国大会出場を誇る古豪だ。この前の大会は珍しく県大会止まりだったので驚いたが。

「洸はどこ受けるんだよ?」

「まだ決めてないな。」

「だったら一緒に砂山学園にしろよ。
  2人で全国大会行こうぜ。」

「簡単にいけたら苦労しないよ。
 高校に行ったら吹奏楽部に入らないよ。
 適当にバイトしたり遊んだりするよ。」

「そうか。まぁ別に無理にとは言わないけど、でもお前と高校でも一緒に吹奏楽部やりたいな。」

なるべく進学して社会人になっても困らない高校にしようと意思を固めつつも周りの人間が決まっていて焦る雨宮洸だった。
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