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桃源星編
発展
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あれから2ヶ月が経ち、俺は桃源星の環境にも慣れつつあった。やはり天才科学者が考えたトレーニングメニューは効果も絶大なのだろうか。受験で鈍っていた体も最早過去の話である。
「いい感じになってきましたね。もう基礎はいいでしょう。」
「あぁ。徐々にこの環境にも慣れてきた。」
アダムに認められたような気がして俺は少し嬉しかった。
「では、明日からはいよいよ超能力について教えます。明日の朝9時頃に近くの運動場に来て下さい。今日はもう休んでいいですよ。」
「いや、いい。約半年後には生まれた時からこの環境に馴染んでる奴らと戦うんだろ?なら、その差を埋める為にはもっと身体能力を高める必要がある。」
もう今は5月下旬。12月にはU-20バトルトーナメントの予選があり、俺は少し焦っていた。
「…まぁ程々に。では私は仕事があるので。」
その後も俺はアダムのトレーニングメニューをこなして寮へ戻った。
次の日の朝、俺は言われた通りに運動場へ向かった。どうやら運動場もアダムの土地の一部らしい。底知れぬ程の金持ちである。
運動場にはアダムの他にもう1人見知らぬ男が立っていた。身長は185cm程あるだろうか。アダムより10cm位は高く見える。しかし、痩せ型で髪もボサボサ。どう見ても強そうには見えなかった。
「紹介します。彼が今日から君に超能力を教えるビティ•グラムです。まぁ仲良くやって下さいね。」
「よろしくお願いします。」
「…。」
ビティは黙ったままだった。
「では私はこれで。」
「ちょっと待て。」
「なんですか?ビティ?」
「なんで俺がコイツに超能力を教えなきゃならねんだよ。」
どうやら俺に超能力を教えることが不満らしい。
「まぁまぁ…。報酬はちゃんと払いますから。」
「当たり前だ!とっとと帰れ!」
「あら。人使いが荒いこと。だから君は彼女が出来ないんですよ。」
「ウルセェぞ!余計なお世話だ!」
軽く口論となったところでアダムは研究所へ戻っていった。
「よし。まずはお前の身体能力を見る。とりあえずこの運動場を100周しろ。」
「100周?!それはいくらなんでも…。」
運動場は一周200m程の広さである。2ヶ月間鍛えてきたとは言え、20kmを急に走れる程の体力はおそらくない。
「文句があんなら俺はもう教えねぇ。とっとと地球にでも帰りな。」
「…。」
俺は何も言えないままこの運動場の周りを走り出した。
1時間程経っただろうか。俺はようやく100周目を走り終えた。今まで感じたことがないほどに全身に痛みを感じる。
「ハァ…ハァ…。終わりましたよ。」
いくら体力が上がったとはいえ100周はキツすぎる。もう2度とこんなに走ることはないだろう。
「おう。お疲れさん。」
「100周も走ることに何か意味があるんですか?」
理不尽に100周も走らされて俺は少し頭にきていた。
「あぁ、あるね。」
ビティは断言した。
「何ですか?」
「お前がいかに超能力を覚えるのに向いていないかが分かった。」
「何でだ?」
俺はついイラついてタメ口になってしまった。だが、ビティは飄々とした態度で答える。
「お前が100周走るまでにかかった時間は1時間28分。まぁ世間一般から見れば早い方かも知れない。が、U-20に出るような奴らは同じ距離を1時間で走りきる。つまりお前とは28分も差がある。この差がどれ程の実力差なのかはお前さんでも分かんだろ?」
「100周するのと実際に戦うのじゃ訳が違うだろ?」
ビティの言うことは的を得ているが、俺も反論せずにはいられなかった。正直苦し紛れの言い訳に近かった。
「いーやそんなことはない。俺は数多の超能力者を見てきたが、戦いに勝つものは結局身体能力が高い人間なんだよ。超能力頼りの奴も中にはいるが、それでも最低限の身体能力は備えている。お前はそこにすら及ばない。言っておくが、お前じゃ予選にすら上がれないぞ。今のうちにアダムに辞めると言えば許してくれるはずだ。とっとと辞めて地球に帰った方がいい。」
ビティに軽く諭されたような形になったが俺はまだ諦めない。
「そんなの予選にならなきゃわからないだろ。それともアンタはやりもしないで今まで逃げてきたのかよ。」
俺はビティを睨んで挑発するようにそう言った。
「なかなか言うじゃねぇか。なら今から俺と勝負しろよ。そこでお前に今後も超能力を教えるかどうか判断してやるよ。」
「いい感じになってきましたね。もう基礎はいいでしょう。」
「あぁ。徐々にこの環境にも慣れてきた。」
アダムに認められたような気がして俺は少し嬉しかった。
「では、明日からはいよいよ超能力について教えます。明日の朝9時頃に近くの運動場に来て下さい。今日はもう休んでいいですよ。」
「いや、いい。約半年後には生まれた時からこの環境に馴染んでる奴らと戦うんだろ?なら、その差を埋める為にはもっと身体能力を高める必要がある。」
もう今は5月下旬。12月にはU-20バトルトーナメントの予選があり、俺は少し焦っていた。
「…まぁ程々に。では私は仕事があるので。」
その後も俺はアダムのトレーニングメニューをこなして寮へ戻った。
次の日の朝、俺は言われた通りに運動場へ向かった。どうやら運動場もアダムの土地の一部らしい。底知れぬ程の金持ちである。
運動場にはアダムの他にもう1人見知らぬ男が立っていた。身長は185cm程あるだろうか。アダムより10cm位は高く見える。しかし、痩せ型で髪もボサボサ。どう見ても強そうには見えなかった。
「紹介します。彼が今日から君に超能力を教えるビティ•グラムです。まぁ仲良くやって下さいね。」
「よろしくお願いします。」
「…。」
ビティは黙ったままだった。
「では私はこれで。」
「ちょっと待て。」
「なんですか?ビティ?」
「なんで俺がコイツに超能力を教えなきゃならねんだよ。」
どうやら俺に超能力を教えることが不満らしい。
「まぁまぁ…。報酬はちゃんと払いますから。」
「当たり前だ!とっとと帰れ!」
「あら。人使いが荒いこと。だから君は彼女が出来ないんですよ。」
「ウルセェぞ!余計なお世話だ!」
軽く口論となったところでアダムは研究所へ戻っていった。
「よし。まずはお前の身体能力を見る。とりあえずこの運動場を100周しろ。」
「100周?!それはいくらなんでも…。」
運動場は一周200m程の広さである。2ヶ月間鍛えてきたとは言え、20kmを急に走れる程の体力はおそらくない。
「文句があんなら俺はもう教えねぇ。とっとと地球にでも帰りな。」
「…。」
俺は何も言えないままこの運動場の周りを走り出した。
1時間程経っただろうか。俺はようやく100周目を走り終えた。今まで感じたことがないほどに全身に痛みを感じる。
「ハァ…ハァ…。終わりましたよ。」
いくら体力が上がったとはいえ100周はキツすぎる。もう2度とこんなに走ることはないだろう。
「おう。お疲れさん。」
「100周も走ることに何か意味があるんですか?」
理不尽に100周も走らされて俺は少し頭にきていた。
「あぁ、あるね。」
ビティは断言した。
「何ですか?」
「お前がいかに超能力を覚えるのに向いていないかが分かった。」
「何でだ?」
俺はついイラついてタメ口になってしまった。だが、ビティは飄々とした態度で答える。
「お前が100周走るまでにかかった時間は1時間28分。まぁ世間一般から見れば早い方かも知れない。が、U-20に出るような奴らは同じ距離を1時間で走りきる。つまりお前とは28分も差がある。この差がどれ程の実力差なのかはお前さんでも分かんだろ?」
「100周するのと実際に戦うのじゃ訳が違うだろ?」
ビティの言うことは的を得ているが、俺も反論せずにはいられなかった。正直苦し紛れの言い訳に近かった。
「いーやそんなことはない。俺は数多の超能力者を見てきたが、戦いに勝つものは結局身体能力が高い人間なんだよ。超能力頼りの奴も中にはいるが、それでも最低限の身体能力は備えている。お前はそこにすら及ばない。言っておくが、お前じゃ予選にすら上がれないぞ。今のうちにアダムに辞めると言えば許してくれるはずだ。とっとと辞めて地球に帰った方がいい。」
ビティに軽く諭されたような形になったが俺はまだ諦めない。
「そんなの予選にならなきゃわからないだろ。それともアンタはやりもしないで今まで逃げてきたのかよ。」
俺はビティを睨んで挑発するようにそう言った。
「なかなか言うじゃねぇか。なら今から俺と勝負しろよ。そこでお前に今後も超能力を教えるかどうか判断してやるよ。」
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