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第一部
第十四話 翔太のドックタグ
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総合体育館の入り口が見えてきたら、カラフルなジャージ姿の男子の姿が増えてきた。
建物の一角に、うちの学校カラーを纏ったジャージ集団を見つけた。
ひょうっとしたら翔太が居るかも…?、と思って目を凝らしたが、私の目には翔太の姿は見えなかった。
建物の中に入り、応援席のある2階のフロアに行けば、早速レギュラーじゃない空手部の同級生を見つけた。
「菅谷くん、うちの学校の応援スペースってあるの?」
数少ない翔太の友達で口を聞ける部員を捕まえて聞くと、
『西條には柘植に頼まれて特等席を取ってあるから案内するよ』
と言われ、空手部の部員でもないのに空手部が陣取る2階応援スペースの最前列に連れていかれた。いや、これ悪目立ちしますって…翔太さん。本人が居たら、突っ込んでたと思う。
折角、菅谷くん達が取ってくれたであろう席なので、有り難くそのスペースに座らせていただく事にした。左側の席には荷物がおいてあり、右は通路だったから荷物の当番でもして居るみたいにも見えなくもない…。
空手部のレギュラーメンバーが1階のフロアに姿を表した。
途端に黄色い声援が飛ぶ。もちろん翔太にも黄色い声援が飛ぶが、それは他校の女の子の声ばかりだ。うちの学校の女子からは、黄色い声というより、フツーに応援する言葉だけが聞こえる。いや、イインダヨ…。私が居るからって、黄色い声をかけないなんて遠慮しなくても。そう伝えてあげたいと思って居ると、下のフロアから、
「優香、優香ってば!」
と私を呼ぶ声が聞こえてきた。
何事かと思って、2階フロアの手すりに捉まり1階のフロアを覗けば、道着に着替えてジャージを肩に羽織ってた翔太が上を見上げて居るのが目に入った。
「翔太…、人の名前、連呼するのやめてよ…。恥ずかしいから。」
「優香、コレ、預けとく!」
と言って、何かをポンッと放り投げてきた。
私の手の中には、翔太のドックタグが落ちてきた。
「道着着てたら、着けとけないからな。二つで一つだ!ちゃんと持ってろよ!」
としっかり指差ししながら言って、フロアから顔を引っ込めた。
「おー、おーぉ、柘植のヤロー、盛大に彼女がいる事を公表したみたいだな。見てみろ、他所の学校の女の子らの悔しそうな顔…。西條、柘植の事ちゃんとコントロールしないと大変だぞ!」
主将の長野さんがフロアから言う。
主将の長野さんは、ご近所さんで小さい頃は翔太と共によく遊んでもらった仲だ。
「長野さんから、言ってくださいよ!翔太に!」
ダメ元で言ってみるだけ言ってみたけど、
「俺の言う事聞くなら、今、こんな状況になってないだろうが!しっかり手綱着けとけよ!」
って返された。うん、確かに…。
翔太に預かったドックタグを首にかければ、昨日と同じ私の胸のポジションに納まった。
翔太の試合は、団体戦が午前中、個人戦が午後に行われる。団体では、前年度は後一歩というところで負けてしまい、準優勝に甘んじていたので、リベンジとばかりに主将以下レギュラーメンバーは意気込んでいた。勿論、その中には翔太も含まれている。決勝まで、危ない片鱗も見せなかったチームだったが、決勝になって前年度の覇者である海皇学園との対戦になった途端、両者ともに互角の戦いに、ガラリと変わった。翔太は副将で、先鋒と中堅が勝っているので、副将が勝てば優勝が決まる試合に挑む羽目になっていた。競技場に入る前にチラッとこっちを見た翔太に、
「翔太!頑張って!優勝決めて!」
と叫んだ。口パクで、
「見てろよ!」
って、言われた気がした。
気迫のこもった翔太は、相手を圧倒しポイントを連取しあっという間に、勝利をもぎ取ってしまった。
試合終了の挨拶がすんで、昼食時間のために一旦解散となったら一目散に翔太は2階の応援席にやって来た。と、言うよりも、帰って来たといった方が正しいのかも知れない。
ジャージを羽織った翔太が応援席に姿を現せば、黄色い声があちこちから響いた。空手部の部員からは、揉みくちゃにされていた。そんな部員達を軽くあしらって(先輩もいるのに…)、私の隣にやって来た。
「ちゃんと、見てたか?」
「う、うん…、見てたよ。しっかりと…。でも、まだ午後から個人戦が残ってるんだから、そっちも結果残さなきゃ…でしょ?」
「ウチの婚約者様は、優勝一個じゃご不満なんだな…。」
最後の一言は、ニヤリと笑った翔太に耳元でコッソリ囁かれた。
「ちょっ…、それ反則!」
リュックから出そうとしていたランチバックを落としそうになる程だった。私の左隣に置かれていた荷物は翔太の物だったらしく、リュックの中から飲み物が入っているボトルを取り出して小脇に抱えると、
「天気いいし、外いこっか?ココだとギャラリー多いし。」
私のリュックと手を掴んで強引に外に歩みを進めた翔太。
建物脇の階段をさも我が家かの様に上がって、建物の屋上へと続く外階段に腰をかけた。
「ここ、実は穴場なんだ。人も来ないし、ゆっくり優香と過ごせる…。」
私のリュックから遠慮なくお弁当の入ったランチバックを取り出す翔太。
「翔太、ここって、多分なんだけど関係者以外立ち入り禁止区域だよね…?
「う~ん、とも、言うかも知れない。」
疑問形もどきで誤魔化した様に言いましたけど、あっさり認めましたよね…?ココ、立ち入り禁止区域じゃん!
「この場所は前に、千賀一佐から聞いたんだよ。優香知ってたか?千賀一佐って、ウチのOBなんだぜ。」
「はっ?千賀一佐って、ウチの高校の卒業生なの?嘘でしょ?」
「嘘じゃないよ。空手部のOBでもあるから、俺も下手げな成績で居られないんだよね。団体優勝は出来たけど、優香以外にも個人戦での好成績の報告を待っている小松の鬼神がいらっしゃるんでね…。」
「鬼神?」
「千賀一佐、アグレッサーの教導で鬼みたいな指導するんだって。そこで、今も千賀一佐の下についてる中町一佐って人が僚機の時につけたニックネーム?二つ名って言うのかな…。それが代々受け継がれて、司令になった今もそう呼ばれてるんだって。全国の戦闘機パイロットに、『小松の鬼神』って言っただけで、みんなビビるって言う噂もあるらしいよ。」
「え~、あんなにジェントルマンでロマンス・グレーな千賀さんが?」
「教導だからね…。千賀さんの機動見たら、優香も何と無く納得するかもしれないね。って、今日の弁当はおかずだけっ?」
お弁当箱を開けた翔太が声を上げた。
「あ、今日はおにぎりにしたの。翔太のランチバックじゃなくて私のランチバックの方が、保冷が効くからそっちに入れてるの。」
私のランチバックからおにぎりシートに包まれたおにぎりを3つ手渡した。シートを止めているシールにそれぞれ中に入っている具材を書いておいた。
「シャケに明太子におかか…。おまけにオカズがミニカツって、好物だらけな上に、必勝祈願?」
「験担ぎ?かな…。翔太には、良い成績残して欲しいから。」
おにぎりを頬張りながら、
「じゃあさ、俺がもし優勝したら、泊まりでデートしに行こうか?」
「へっ?」
「だから、個人戦で優勝したら、泊りがけで何処かにデートしに行こう。2人だけで。」
「個人戦、優勝したらね…。団体戦と合わせて2冠のお祝い…だね!」
「約束だぞ。行き先については、拒否なしな!」
「い…、いいよ。女に二言はありません。」
若干、行き先が不安ではあるものの、翔太が本当に優勝したら千賀一佐にもいい報告が出来るし、私としても自分の事以上に嬉しいの一言に尽きない。
「じゃあ、本気出しますか!」
んっ?今、本気出すって言った?じゃあ、今までは本気じゃなかったのかっ!相手に失礼だぞ、翔太!!
そう思って、
「翔太、じゃあさ、今までは本気出して無かって事なの?それだったら、相手にすごく失礼じゃない?」
って言った。
「本気で戦ってたよ。今言った、本気は、強いて言えば、優香とお泊りデートをする為に本気を追加するって感じかな?」
サラリと言い切った。
真っ赤になった私を他所に、翔太はお弁当を黙々と食べていく。
あっという間にお弁当を食べ終わった翔太は、私の膝のゴロリと頭を預けた。
私の首からぶら下がっている自分のドックタグを人差し指でチャラチャラと鳴らす。
音の鳴る自分の胸元に目線を落とせば、翔太が反対の手でチョイチョイと手招きをするので、お弁当箱を片してそのまま身体を倒せば、唇に暖かいものがゆっくりと触れて離れた。
「さて、燃料も満タンになったし、そろそろ準備しますか…。優香にカッコいいとこ見せないとな。」
お弁当箱を片付け終わった私に向かい、手を差し出してきた。しっかり、その手を握りしめた私を翔太はちゃんと、応援席までエスコートして送り届けてくれた。
建物の一角に、うちの学校カラーを纏ったジャージ集団を見つけた。
ひょうっとしたら翔太が居るかも…?、と思って目を凝らしたが、私の目には翔太の姿は見えなかった。
建物の中に入り、応援席のある2階のフロアに行けば、早速レギュラーじゃない空手部の同級生を見つけた。
「菅谷くん、うちの学校の応援スペースってあるの?」
数少ない翔太の友達で口を聞ける部員を捕まえて聞くと、
『西條には柘植に頼まれて特等席を取ってあるから案内するよ』
と言われ、空手部の部員でもないのに空手部が陣取る2階応援スペースの最前列に連れていかれた。いや、これ悪目立ちしますって…翔太さん。本人が居たら、突っ込んでたと思う。
折角、菅谷くん達が取ってくれたであろう席なので、有り難くそのスペースに座らせていただく事にした。左側の席には荷物がおいてあり、右は通路だったから荷物の当番でもして居るみたいにも見えなくもない…。
空手部のレギュラーメンバーが1階のフロアに姿を表した。
途端に黄色い声援が飛ぶ。もちろん翔太にも黄色い声援が飛ぶが、それは他校の女の子の声ばかりだ。うちの学校の女子からは、黄色い声というより、フツーに応援する言葉だけが聞こえる。いや、イインダヨ…。私が居るからって、黄色い声をかけないなんて遠慮しなくても。そう伝えてあげたいと思って居ると、下のフロアから、
「優香、優香ってば!」
と私を呼ぶ声が聞こえてきた。
何事かと思って、2階フロアの手すりに捉まり1階のフロアを覗けば、道着に着替えてジャージを肩に羽織ってた翔太が上を見上げて居るのが目に入った。
「翔太…、人の名前、連呼するのやめてよ…。恥ずかしいから。」
「優香、コレ、預けとく!」
と言って、何かをポンッと放り投げてきた。
私の手の中には、翔太のドックタグが落ちてきた。
「道着着てたら、着けとけないからな。二つで一つだ!ちゃんと持ってろよ!」
としっかり指差ししながら言って、フロアから顔を引っ込めた。
「おー、おーぉ、柘植のヤロー、盛大に彼女がいる事を公表したみたいだな。見てみろ、他所の学校の女の子らの悔しそうな顔…。西條、柘植の事ちゃんとコントロールしないと大変だぞ!」
主将の長野さんがフロアから言う。
主将の長野さんは、ご近所さんで小さい頃は翔太と共によく遊んでもらった仲だ。
「長野さんから、言ってくださいよ!翔太に!」
ダメ元で言ってみるだけ言ってみたけど、
「俺の言う事聞くなら、今、こんな状況になってないだろうが!しっかり手綱着けとけよ!」
って返された。うん、確かに…。
翔太に預かったドックタグを首にかければ、昨日と同じ私の胸のポジションに納まった。
翔太の試合は、団体戦が午前中、個人戦が午後に行われる。団体では、前年度は後一歩というところで負けてしまい、準優勝に甘んじていたので、リベンジとばかりに主将以下レギュラーメンバーは意気込んでいた。勿論、その中には翔太も含まれている。決勝まで、危ない片鱗も見せなかったチームだったが、決勝になって前年度の覇者である海皇学園との対戦になった途端、両者ともに互角の戦いに、ガラリと変わった。翔太は副将で、先鋒と中堅が勝っているので、副将が勝てば優勝が決まる試合に挑む羽目になっていた。競技場に入る前にチラッとこっちを見た翔太に、
「翔太!頑張って!優勝決めて!」
と叫んだ。口パクで、
「見てろよ!」
って、言われた気がした。
気迫のこもった翔太は、相手を圧倒しポイントを連取しあっという間に、勝利をもぎ取ってしまった。
試合終了の挨拶がすんで、昼食時間のために一旦解散となったら一目散に翔太は2階の応援席にやって来た。と、言うよりも、帰って来たといった方が正しいのかも知れない。
ジャージを羽織った翔太が応援席に姿を現せば、黄色い声があちこちから響いた。空手部の部員からは、揉みくちゃにされていた。そんな部員達を軽くあしらって(先輩もいるのに…)、私の隣にやって来た。
「ちゃんと、見てたか?」
「う、うん…、見てたよ。しっかりと…。でも、まだ午後から個人戦が残ってるんだから、そっちも結果残さなきゃ…でしょ?」
「ウチの婚約者様は、優勝一個じゃご不満なんだな…。」
最後の一言は、ニヤリと笑った翔太に耳元でコッソリ囁かれた。
「ちょっ…、それ反則!」
リュックから出そうとしていたランチバックを落としそうになる程だった。私の左隣に置かれていた荷物は翔太の物だったらしく、リュックの中から飲み物が入っているボトルを取り出して小脇に抱えると、
「天気いいし、外いこっか?ココだとギャラリー多いし。」
私のリュックと手を掴んで強引に外に歩みを進めた翔太。
建物脇の階段をさも我が家かの様に上がって、建物の屋上へと続く外階段に腰をかけた。
「ここ、実は穴場なんだ。人も来ないし、ゆっくり優香と過ごせる…。」
私のリュックから遠慮なくお弁当の入ったランチバックを取り出す翔太。
「翔太、ここって、多分なんだけど関係者以外立ち入り禁止区域だよね…?
「う~ん、とも、言うかも知れない。」
疑問形もどきで誤魔化した様に言いましたけど、あっさり認めましたよね…?ココ、立ち入り禁止区域じゃん!
「この場所は前に、千賀一佐から聞いたんだよ。優香知ってたか?千賀一佐って、ウチのOBなんだぜ。」
「はっ?千賀一佐って、ウチの高校の卒業生なの?嘘でしょ?」
「嘘じゃないよ。空手部のOBでもあるから、俺も下手げな成績で居られないんだよね。団体優勝は出来たけど、優香以外にも個人戦での好成績の報告を待っている小松の鬼神がいらっしゃるんでね…。」
「鬼神?」
「千賀一佐、アグレッサーの教導で鬼みたいな指導するんだって。そこで、今も千賀一佐の下についてる中町一佐って人が僚機の時につけたニックネーム?二つ名って言うのかな…。それが代々受け継がれて、司令になった今もそう呼ばれてるんだって。全国の戦闘機パイロットに、『小松の鬼神』って言っただけで、みんなビビるって言う噂もあるらしいよ。」
「え~、あんなにジェントルマンでロマンス・グレーな千賀さんが?」
「教導だからね…。千賀さんの機動見たら、優香も何と無く納得するかもしれないね。って、今日の弁当はおかずだけっ?」
お弁当箱を開けた翔太が声を上げた。
「あ、今日はおにぎりにしたの。翔太のランチバックじゃなくて私のランチバックの方が、保冷が効くからそっちに入れてるの。」
私のランチバックからおにぎりシートに包まれたおにぎりを3つ手渡した。シートを止めているシールにそれぞれ中に入っている具材を書いておいた。
「シャケに明太子におかか…。おまけにオカズがミニカツって、好物だらけな上に、必勝祈願?」
「験担ぎ?かな…。翔太には、良い成績残して欲しいから。」
おにぎりを頬張りながら、
「じゃあさ、俺がもし優勝したら、泊まりでデートしに行こうか?」
「へっ?」
「だから、個人戦で優勝したら、泊りがけで何処かにデートしに行こう。2人だけで。」
「個人戦、優勝したらね…。団体戦と合わせて2冠のお祝い…だね!」
「約束だぞ。行き先については、拒否なしな!」
「い…、いいよ。女に二言はありません。」
若干、行き先が不安ではあるものの、翔太が本当に優勝したら千賀一佐にもいい報告が出来るし、私としても自分の事以上に嬉しいの一言に尽きない。
「じゃあ、本気出しますか!」
んっ?今、本気出すって言った?じゃあ、今までは本気じゃなかったのかっ!相手に失礼だぞ、翔太!!
そう思って、
「翔太、じゃあさ、今までは本気出して無かって事なの?それだったら、相手にすごく失礼じゃない?」
って言った。
「本気で戦ってたよ。今言った、本気は、強いて言えば、優香とお泊りデートをする為に本気を追加するって感じかな?」
サラリと言い切った。
真っ赤になった私を他所に、翔太はお弁当を黙々と食べていく。
あっという間にお弁当を食べ終わった翔太は、私の膝のゴロリと頭を預けた。
私の首からぶら下がっている自分のドックタグを人差し指でチャラチャラと鳴らす。
音の鳴る自分の胸元に目線を落とせば、翔太が反対の手でチョイチョイと手招きをするので、お弁当箱を片してそのまま身体を倒せば、唇に暖かいものがゆっくりと触れて離れた。
「さて、燃料も満タンになったし、そろそろ準備しますか…。優香にカッコいいとこ見せないとな。」
お弁当箱を片付け終わった私に向かい、手を差し出してきた。しっかり、その手を握りしめた私を翔太はちゃんと、応援席までエスコートして送り届けてくれた。
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