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第一部
第三話 初デート
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翔太と並んで歩いて近くの商店街まで行くことにした。
翔太が家を出て直ぐ、防大に行ったら、1年生の時だけは外出時は制服着用が義務付けられていてその時には、色々と行動が制限されている、って教えてくれた。
例えば、彼女と手を繋いで歩いてはいけない、食べ歩きはNG、歩き電話はダメ、歩きスマホもダメ、漫画喫茶に入ってはいけない、電車で座ってはいけないとか、色々と制約があるから、向こう1年半の間に防大在学中の分を先取りしておきたいって、手を繋いできた。
それも、指を絡ませた、いわゆる
『恋人繋ぎ』…。
嬉し恥ずかしとは、この事をいうのか?ってくらい2人して照れた。
それに加えて、車の通りの多い所じゃなくても必ず車道側に翔太が立ってくれていて、私を守ってくれてるんだなって実感した。
商店街に着くとお昼も少し過ぎてしまっていたので、ランチでも食べようという話になった。
「俺、どんなとこが良いか全然わかんねぇから、優香の行きたい店はないか?」
と、翔太が聞いてきた。
商店街の中ほどに、1ヶ月くらい前に新しく出来たカフェがあってそこのランチが人気だと一番仲のいい友達の香椎沙羅に聞いていたのを思い出し、翔太に伝えたら、
「そこ行ってみるか?」
って、すんなり言われた。
カフェの近くまで来たら、カフェの前には何人か待っている姿が見えた。
「並んでるね?別のお店にする?」
と、翔太に聞けば、
「時間あるし、俺は待ってもいいよ。」
って、言ってくれた。
カフェに近づいたら、待っている先頭に沙羅の姿を見つけた。
「沙羅が居るよ!」
小声で翔太に言えば、
「別に気にしなくていいじゃん。俺ら付き合い出したんだし。」
と、あっけらかんと答えた。
「それに、どうせ香椎にはいつかは言わなきゃダメだろ?優香と一番仲いいんだし。俺の彼女になったって、見せつけるチャンスじゃん!」
って、付け加えられて翔太には敵わないって思った。
部活の仲間と来ていた沙羅が私に気付いて、「優~」って大きく手を振って来た。
私は翔太と手を繋いでいない方の手を胸の前まで上げ小さく振り返した。
部活の仲間と何か話して、沙羅が私たちの方にやって来た。
沙羅は翔太をじーっと見て、「彼氏出来たの?」って私に聞いて来た。
「うん。」と答えれば、「超イケメンな彼じゃん!恋人繋ぎなんて羨ましぃ~!」って沙羅が私をばんばん叩いて喜ぶ。
翔太は、沙羅に超イケメンと言われた事が照れ臭いのか、赤くなって俯いていた。
「香椎、俺、柘植。」
翔太が、沙羅に言った。
沙羅は、自分が超イケメンと言った私の彼が同級生の柘植翔太と解って驚いたのか、私を叩いていた手が止まった。
「えっ?柘植くん?マジ⁈いつもと髪型違うから、気付かなかった!」
って、すっごく驚いてた。でも、
「そっか、やっとあんた達くっついたんだ。良かった~。」
って、喜んでくれた。
沙羅曰く、翔太も私も不自然にお互いを見てる事があったから、ひょっとしてお互いに好きなんじゃないかって、思ってたって。沙羅は、恋愛に関してはとっても感が働くから、周りは全然気付いてなくても気付けちゃってる事がよくある。
「多分、柘植くんと優はお隣同士の幼馴染ってみんな思ってるから、絶対くっついたって言ったら驚くよ!それに、柘植くんのファンの子も、優のファンの子もどっちのファンももう手は出せない最強カップル誕生じゃん!」
って、言い出して私達はギョッとした。
翔太が告白を受けてた噂は聞いた事があったからファンの子がいるってのは何と無く気付いてたけど、私にファンがいたって事に驚いた。後で聞いたら、翔太は、私にファンがいた事にちょっとショックを受けたみたいだったけど、自分がlock-on出来たから気にしない、でも他の男に優香は絶対に渡さないから俺だけ見ててね、って言われた。
カフェの順番が来て沙羅は、「詳しい話は、また追々聞かせてね!」って、部活仲間の元に帰って行った。
20分程経った頃に私の名前が呼ばれ、カフェの中に入る事が出来た。カフェの待ち時間中、店内から出て来たお客さんの中にも、今店内の中にいるお客さんの中にも、私達の通っている高校が振替で休校の為か、見知った顔がチラホラ見えた。
メニューを見て、見知った顔からの視線を感じない様にして翔太と注文を相談して決めた。
翔太は日替わりランチ、私はグラタンスパゲッティーのランチを頼んだ。
注文を終えた後、私のスマホのメッセージアプリがカフェに入ってからかなりの頻度でメッセージの着信を告げる画面が待ち受けに表示される。メッセージの内容の一部が待受に表示される度に、顔を赤くしていた私。
しまった!
と私が思ったのは遅かったみたいで、翔太も、最初の数回こそ、なんだ?って表情で私のスマホをチラっと眺めていたが、女友達が多い私にきっと彼氏とデートしている事がバレてその連絡が来ているであろうと踏んだのか、スマホを持ってメッセージを見ている私に向かって
「友達に彼氏とデートしてるってバレた?」
ニコッと笑って私にスマホを向けていた。
カシャっ
という、シャッター音が聞こえ、
「うん、バッチリ!」
翔太の声が聞こえた。
翔太の笑顔がすごくカッコよくって、いつもの翔太とは雰囲気が違うので思わず私も写真アプリを立ち上げて気づかれない様に何枚かサイレントモードで翔太を撮影した。
「友達、なんてメッセ送って来たの?」
翔太に聞かれ、メッセージアプリを開いて翔太に見せた。
『奈緒が、優が男の人とデートしてるってメッセ送って来たけど彼氏出来たの?』『佐保ちんが、優が男の人とカフェにいるってメッセ送って来た!彼氏?』『絵里ちゃんが、イケメンとカフェにいるってメッセ送って来たけど、優いつの間に彼氏作ったの?』とか、結構な数のメッセージが来ていたけど全部彼氏いない歴実年齢の私がイケメンとカフェにいる事で、殆ど彼氏が出来たのか?っていう確認のメッセージだった。更に、相手が翔太だって誰も気づいていないことに驚きだった。
「俺ってバレてないんだ…。そこは残念だなぁ~。いつもの髪型にしとくべきだったなぁ。」
翔太が呟いた。
-side 翔太-
優香のスマホにカフェに入ってからかなりの頻度で、メッセージの着信を告げる画面が待ち受けに表示されていた。メッセージの内容の一部が待受に表示される度に、顔を赤くしていた優香。
その表情が可愛くって、思わず写メった俺。
その写真を待ち受けに設定してから、優香にどんなメッセージが来たのか聞いてみれば、メッセージ画面を俺に見せて来た。
彼氏が出来たのか?って言う確認のメッセージが殆どで、内容から見て相手が俺だとバレていない事が残念に思った。初めてのデートだし、優香がオシャレしたいって言ってくれたから、俺も普段は見せない髪型にしてみようと思って、優香ん家から一旦帰ってシャワー浴びた後髪を乾かしただけでいつも付けるワックスを少な目につけて、前髪を下ろした事が裏目に出たみたいだ。優香も俺の姿を見た時驚いたくらい印象が違うらしい。
確かに、優香の大親友の香椎ですら気付かなかったくらいだ。
ドックタグを渡して、虫除けをしたつもりだったけど、これじゃ全然虫除け対策になってないと思った俺は、
「うん。俺からカミングアウトしよ…」
と呟いて、スマホのメッセージアプリを開いて仲のいいグループメッセージにさっき撮った写メを添付して、『彼女出来ました!』ってコメントをつけて一斉送信した。
直ぐに既読の数がどんどん増えていき、『優ちゃんじゃんか!』『菜穂に、優ちゃんが男の人とデートしてるみたいってメッセ来てたけど相手、お前か!』『幼馴染から彼女に昇進おめでとう』とか、コメントがどんどん来た。中には、『俺、優ちゃん狙ってたのに…』と言うコメントもあり、牽制で『俺のだから、取んな!』って返しといた。
俺がカミングアウトした事で、仲のイイ奴と付き合ってる女の子達から伝播したのだろう、優香に届くメッセージが『彼って柘植くんなんだって!』『翔太くんとカレカノなんて羨ましい』と言った内容に変わったのは言うまでもない。俺の思惑通りになって、ちょっと嬉しかったのは優香には秘密だ。
====================================
翔太が、仲のイイ男友達のグループメッセージに、私の画像を添付して彼女出来ました!って送って来たって、翔太の友達と付き合ってる友達からメッセージが来てビックリした。私に来るメッセージも『彼って柘植くんなんだって!』『翔太くんとカレカノなんて羨ましい』ってな具合に変わって、彼カノになって数時間…、お互いの友達には公認になってしまいました。
頼んでいたランチが揃って運ばれて来た。翔太は飲み物をアイスコーヒーにしていた。私は、アイスミルクティーにした。翔太の頼んだ日替りランチは、ハンバーグにクリームコロッケ、チキン南蛮と千切りキャベツがこんもりと盛られたプレートだった。それに、ご飯とスープがついていた。私の頼んだグラタンスパゲッティーには、サラダとスープがついていた。
翔太は優雅な手つきでナイフとフォークを使って、料理を食べて行く。ちょっとした仕草にも、キュンときてしまったのは彼女目線になったからだと思う…。
私も、スプーンとフォークを使って、熱々のグラタンスパゲッティーを食べて行く。翔太が、
「ひとくち頂戴…」
って、言って口を開けてきた。
いわゆる、あーん、ってヤツをしろって事で、フォークでくるくるとスパゲッティーを絡めてスプーンの上で纏め「熱いよ?」って言ってから翔太の口の前に持っていけば、フーフーって冷ましてからパクっと口にした。
「コレ、うまっ!いつか、優香から何かこうやって食べさしてもらうの夢の一つだったんだ。ありがと…。」
って、言われめちゃくちゃ照れて顔が真っ赤になった。
翔太がハンバーグを一口大に切ってフォークに刺して、
「食えよ…。」
って、一言言って私の方に差し出してきた。
私も、あーん、ってヤツをやらされてしまった。恋愛初心者の私はハンバーグの味なんて、全然わからないくらい恥ずかしさと嬉しさでゴクッと飲み込んでしまった。
念願だった『あーん』が出来た翔太はその後、時々話はするものの黙々とプレートに乗っていた料理を食べて完食した。私は、味もわからない状態のままランチを完食した。
ランチを終えて、買い物に行こうと席を立ったら、伝票をサッと翔太が持ってレジに向かった。
「彼氏だし、初デートの記念に奢らせて。」
って、ご馳走してくれた。
翔太が家を出て直ぐ、防大に行ったら、1年生の時だけは外出時は制服着用が義務付けられていてその時には、色々と行動が制限されている、って教えてくれた。
例えば、彼女と手を繋いで歩いてはいけない、食べ歩きはNG、歩き電話はダメ、歩きスマホもダメ、漫画喫茶に入ってはいけない、電車で座ってはいけないとか、色々と制約があるから、向こう1年半の間に防大在学中の分を先取りしておきたいって、手を繋いできた。
それも、指を絡ませた、いわゆる
『恋人繋ぎ』…。
嬉し恥ずかしとは、この事をいうのか?ってくらい2人して照れた。
それに加えて、車の通りの多い所じゃなくても必ず車道側に翔太が立ってくれていて、私を守ってくれてるんだなって実感した。
商店街に着くとお昼も少し過ぎてしまっていたので、ランチでも食べようという話になった。
「俺、どんなとこが良いか全然わかんねぇから、優香の行きたい店はないか?」
と、翔太が聞いてきた。
商店街の中ほどに、1ヶ月くらい前に新しく出来たカフェがあってそこのランチが人気だと一番仲のいい友達の香椎沙羅に聞いていたのを思い出し、翔太に伝えたら、
「そこ行ってみるか?」
って、すんなり言われた。
カフェの近くまで来たら、カフェの前には何人か待っている姿が見えた。
「並んでるね?別のお店にする?」
と、翔太に聞けば、
「時間あるし、俺は待ってもいいよ。」
って、言ってくれた。
カフェに近づいたら、待っている先頭に沙羅の姿を見つけた。
「沙羅が居るよ!」
小声で翔太に言えば、
「別に気にしなくていいじゃん。俺ら付き合い出したんだし。」
と、あっけらかんと答えた。
「それに、どうせ香椎にはいつかは言わなきゃダメだろ?優香と一番仲いいんだし。俺の彼女になったって、見せつけるチャンスじゃん!」
って、付け加えられて翔太には敵わないって思った。
部活の仲間と来ていた沙羅が私に気付いて、「優~」って大きく手を振って来た。
私は翔太と手を繋いでいない方の手を胸の前まで上げ小さく振り返した。
部活の仲間と何か話して、沙羅が私たちの方にやって来た。
沙羅は翔太をじーっと見て、「彼氏出来たの?」って私に聞いて来た。
「うん。」と答えれば、「超イケメンな彼じゃん!恋人繋ぎなんて羨ましぃ~!」って沙羅が私をばんばん叩いて喜ぶ。
翔太は、沙羅に超イケメンと言われた事が照れ臭いのか、赤くなって俯いていた。
「香椎、俺、柘植。」
翔太が、沙羅に言った。
沙羅は、自分が超イケメンと言った私の彼が同級生の柘植翔太と解って驚いたのか、私を叩いていた手が止まった。
「えっ?柘植くん?マジ⁈いつもと髪型違うから、気付かなかった!」
って、すっごく驚いてた。でも、
「そっか、やっとあんた達くっついたんだ。良かった~。」
って、喜んでくれた。
沙羅曰く、翔太も私も不自然にお互いを見てる事があったから、ひょっとしてお互いに好きなんじゃないかって、思ってたって。沙羅は、恋愛に関してはとっても感が働くから、周りは全然気付いてなくても気付けちゃってる事がよくある。
「多分、柘植くんと優はお隣同士の幼馴染ってみんな思ってるから、絶対くっついたって言ったら驚くよ!それに、柘植くんのファンの子も、優のファンの子もどっちのファンももう手は出せない最強カップル誕生じゃん!」
って、言い出して私達はギョッとした。
翔太が告白を受けてた噂は聞いた事があったからファンの子がいるってのは何と無く気付いてたけど、私にファンがいたって事に驚いた。後で聞いたら、翔太は、私にファンがいた事にちょっとショックを受けたみたいだったけど、自分がlock-on出来たから気にしない、でも他の男に優香は絶対に渡さないから俺だけ見ててね、って言われた。
カフェの順番が来て沙羅は、「詳しい話は、また追々聞かせてね!」って、部活仲間の元に帰って行った。
20分程経った頃に私の名前が呼ばれ、カフェの中に入る事が出来た。カフェの待ち時間中、店内から出て来たお客さんの中にも、今店内の中にいるお客さんの中にも、私達の通っている高校が振替で休校の為か、見知った顔がチラホラ見えた。
メニューを見て、見知った顔からの視線を感じない様にして翔太と注文を相談して決めた。
翔太は日替わりランチ、私はグラタンスパゲッティーのランチを頼んだ。
注文を終えた後、私のスマホのメッセージアプリがカフェに入ってからかなりの頻度でメッセージの着信を告げる画面が待ち受けに表示される。メッセージの内容の一部が待受に表示される度に、顔を赤くしていた私。
しまった!
と私が思ったのは遅かったみたいで、翔太も、最初の数回こそ、なんだ?って表情で私のスマホをチラっと眺めていたが、女友達が多い私にきっと彼氏とデートしている事がバレてその連絡が来ているであろうと踏んだのか、スマホを持ってメッセージを見ている私に向かって
「友達に彼氏とデートしてるってバレた?」
ニコッと笑って私にスマホを向けていた。
カシャっ
という、シャッター音が聞こえ、
「うん、バッチリ!」
翔太の声が聞こえた。
翔太の笑顔がすごくカッコよくって、いつもの翔太とは雰囲気が違うので思わず私も写真アプリを立ち上げて気づかれない様に何枚かサイレントモードで翔太を撮影した。
「友達、なんてメッセ送って来たの?」
翔太に聞かれ、メッセージアプリを開いて翔太に見せた。
『奈緒が、優が男の人とデートしてるってメッセ送って来たけど彼氏出来たの?』『佐保ちんが、優が男の人とカフェにいるってメッセ送って来た!彼氏?』『絵里ちゃんが、イケメンとカフェにいるってメッセ送って来たけど、優いつの間に彼氏作ったの?』とか、結構な数のメッセージが来ていたけど全部彼氏いない歴実年齢の私がイケメンとカフェにいる事で、殆ど彼氏が出来たのか?っていう確認のメッセージだった。更に、相手が翔太だって誰も気づいていないことに驚きだった。
「俺ってバレてないんだ…。そこは残念だなぁ~。いつもの髪型にしとくべきだったなぁ。」
翔太が呟いた。
-side 翔太-
優香のスマホにカフェに入ってからかなりの頻度で、メッセージの着信を告げる画面が待ち受けに表示されていた。メッセージの内容の一部が待受に表示される度に、顔を赤くしていた優香。
その表情が可愛くって、思わず写メった俺。
その写真を待ち受けに設定してから、優香にどんなメッセージが来たのか聞いてみれば、メッセージ画面を俺に見せて来た。
彼氏が出来たのか?って言う確認のメッセージが殆どで、内容から見て相手が俺だとバレていない事が残念に思った。初めてのデートだし、優香がオシャレしたいって言ってくれたから、俺も普段は見せない髪型にしてみようと思って、優香ん家から一旦帰ってシャワー浴びた後髪を乾かしただけでいつも付けるワックスを少な目につけて、前髪を下ろした事が裏目に出たみたいだ。優香も俺の姿を見た時驚いたくらい印象が違うらしい。
確かに、優香の大親友の香椎ですら気付かなかったくらいだ。
ドックタグを渡して、虫除けをしたつもりだったけど、これじゃ全然虫除け対策になってないと思った俺は、
「うん。俺からカミングアウトしよ…」
と呟いて、スマホのメッセージアプリを開いて仲のいいグループメッセージにさっき撮った写メを添付して、『彼女出来ました!』ってコメントをつけて一斉送信した。
直ぐに既読の数がどんどん増えていき、『優ちゃんじゃんか!』『菜穂に、優ちゃんが男の人とデートしてるみたいってメッセ来てたけど相手、お前か!』『幼馴染から彼女に昇進おめでとう』とか、コメントがどんどん来た。中には、『俺、優ちゃん狙ってたのに…』と言うコメントもあり、牽制で『俺のだから、取んな!』って返しといた。
俺がカミングアウトした事で、仲のイイ奴と付き合ってる女の子達から伝播したのだろう、優香に届くメッセージが『彼って柘植くんなんだって!』『翔太くんとカレカノなんて羨ましい』と言った内容に変わったのは言うまでもない。俺の思惑通りになって、ちょっと嬉しかったのは優香には秘密だ。
====================================
翔太が、仲のイイ男友達のグループメッセージに、私の画像を添付して彼女出来ました!って送って来たって、翔太の友達と付き合ってる友達からメッセージが来てビックリした。私に来るメッセージも『彼って柘植くんなんだって!』『翔太くんとカレカノなんて羨ましい』ってな具合に変わって、彼カノになって数時間…、お互いの友達には公認になってしまいました。
頼んでいたランチが揃って運ばれて来た。翔太は飲み物をアイスコーヒーにしていた。私は、アイスミルクティーにした。翔太の頼んだ日替りランチは、ハンバーグにクリームコロッケ、チキン南蛮と千切りキャベツがこんもりと盛られたプレートだった。それに、ご飯とスープがついていた。私の頼んだグラタンスパゲッティーには、サラダとスープがついていた。
翔太は優雅な手つきでナイフとフォークを使って、料理を食べて行く。ちょっとした仕草にも、キュンときてしまったのは彼女目線になったからだと思う…。
私も、スプーンとフォークを使って、熱々のグラタンスパゲッティーを食べて行く。翔太が、
「ひとくち頂戴…」
って、言って口を開けてきた。
いわゆる、あーん、ってヤツをしろって事で、フォークでくるくるとスパゲッティーを絡めてスプーンの上で纏め「熱いよ?」って言ってから翔太の口の前に持っていけば、フーフーって冷ましてからパクっと口にした。
「コレ、うまっ!いつか、優香から何かこうやって食べさしてもらうの夢の一つだったんだ。ありがと…。」
って、言われめちゃくちゃ照れて顔が真っ赤になった。
翔太がハンバーグを一口大に切ってフォークに刺して、
「食えよ…。」
って、一言言って私の方に差し出してきた。
私も、あーん、ってヤツをやらされてしまった。恋愛初心者の私はハンバーグの味なんて、全然わからないくらい恥ずかしさと嬉しさでゴクッと飲み込んでしまった。
念願だった『あーん』が出来た翔太はその後、時々話はするものの黙々とプレートに乗っていた料理を食べて完食した。私は、味もわからない状態のままランチを完食した。
ランチを終えて、買い物に行こうと席を立ったら、伝票をサッと翔太が持ってレジに向かった。
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