Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

浅葱

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別れの時

荷物整理

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マンションの玄関で、義兄にいさんにスペアの内の1枚のカードキーを渡した。
エントランスを入れば、コンシェルジュが控えるフロントには、渡瀬さんの姿があった。

「渡瀬さん」

と声をかければ、

「七草様、お身体の具合はいかがですか?退院なされたのですか?」

と聞かれ、

「外出許可貰えたので、少し荷物を取りにきたんです。」

と伝えた。

「そうでしたか…。司波様が、とても心配されている御様子で、最近はお元気がありませんでしたので、気になっていたんですよ。まだ、暫くは御入院生活が続くんですね。お大事になさって下さいませ。」

と言われた。

「ウチの姉に、少し部屋の掃除とかを頼んだので、僕の部屋を尋ねてくる女性が居たらそのまま部屋に通して下さい。」

とお願いした。

「畏まりました。申し送っておきます。」

と渡瀬さんが言ってくれた。
足早に、エントランスを抜けエレベーターで最上階の自室を目指した。
玄関のドアのオートロックをカードキーで解除し、リビングのテーブルの上に支給されているスマホを置き、寝室へ向かった。
寝室は、僕が朦朧として居た時の状態を全く留めて居なくて、きちんとベッド周りも整えてあった。

理さんとがやってくれたんだろうな…

クローゼットの反対の収納から、出張の際によく使っていた小さめなスーツケースを引っ張り出し、お気に入りの服や下着などを収めていった。
いつも出勤時に使っていたカバンには、ノートパソコン一式を収め新品のお気に入りのルームフレグランスの小瓶を一つ忍ばせた。
寝室の向かいの部屋の鍵を開け、机の上に置きっ放しになっていた練習中だった道具を片付け、その中から持針器と小鑷子などを専用のツールロールに収めて持ち出し、カバンに詰め込んだ。
テーブルの上のメモ用紙を1枚取り、

『暫く使えないので、置いていきます。』

と走り書きをして、リビングのテーブルに置いたスマホの下に挟んだ。
側には、理さんの部屋のマスターキーのカードキーを置いた。

多分、僕が姿を消したら理さんは必ずこの部屋にきてコレを見て気付くだろう…。
僕が、自分の意思で姿を消した事を…。

姿を消す前に、もう一度だけ理さんに会って僕の身体に理さんを刻みつけておきたい…。
そう思った僕は、自分のスマホを取り出し義兄にいさんに連絡を取った。

こちらを出る前に、どうしてもやっておきたい事があるから1日だけ退院日を前倒しにさせて欲しいと頼む為にだ。

義兄にいさんは、連絡すれば直ぐに出てくれて、体調さえいいなら許可は出せる、と言ってくれた。

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